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関西電力が「株式会社モアクト」を設立――Web3やAIの活用で新領域の社会インフラを構築

株式会社モアクト 始動

 関西電力株式会社は、2024年11月より実証を進めてきた社会貢献促進サービス「モアクト」の事業を7月1日付けで分社化し、株式会社モアクトを設立した。代表取締役には、関西電力にてモアクトサービス推進責任者を務めていた小山陽平氏が就任している。

モアクト 代表取締役 小山陽平氏

 モアクトは、ゼロカーボンなど社会課題の解決に取り組む企業や団体と生活者を結びつけ、企業のサステナビリティ戦略をバックアップしつつ、生活者の社会貢献活動を推進するサービスだ。スマートフォンなどで利用できるモアクトアプリを通じ、同サービスのパートナー企業が社会課題解決につながる行動を「ミッション」として生活者に提示し、生活者はそのミッションを達成することでポイントを得る仕組みとなっている。

モアクトの事業

 モアクトとは、「モア(もっと)」と「アクト(行動する)」を組み合わせた造語で、より多くの社会貢献活動に結びつくことを意図したもの。新会社の方針について小山氏は、「行動変容を創出する社会インフラ企業になることを目指す」としている。

 小山氏は、関西電力が実施した調査から、約8割の人が地球に配慮したサステナブルな活動が必要だと感じながらも、実際に行動できているのは4割にとどまっているという現状を指摘。その背景として、個人の善意や良い行動が「残らない、見えない、だから続かない」と分析する。

 モアクトはこの課題に対し、Web3のブロックチェーン技術を活用し、個人の行動データを記録して証明するシステムを構築。また、具体的に何をすればいいのか分からない個人に対し、AIを活用して個人のデジタルクローンを生成、それぞれのユーザーに最適化されたミッションが設計できるよう検証を進めているという。これにポイント還元という経済的メリットを組み合わせることで、「良い行動が消えずに資産として残り、自然と定着していく社会インフラを実現したい」と小山氏は説明している。

 同社が提供するサービスの収益モデルは、パートナー企業や自治体からの利用料および参加料が基本となる。具体的な仕組みはパートナーによって異なり、「ポイントの流通量に応じて運営費をいただく成果報酬型の場合や、コンサルティングも含めたパッケージとして提案するケースもある」と小山氏は説明。一例として、100万ポイント分のミッションを実施する際、原資にプラスして50万円の運営費を徴収するといった仕組みを挙げた。

 2024年11月のサービス開始以来、ユーザー数は10万人、パートナー企業は34社、累計ミッション実施回数は1705万回に達している。利用者の拡大構想としては、2026年度末に30万人、2027年度には100万人の到達を掲げる。また、パートナーの数についても「来年度には100社近くと協力していきたい」(小山氏)としている。

関西電力の「エネルギー3.0」実現へ

 関西電力 代表執行役副社長の藤野研一氏によると、モアクトの設立は同社の「経営計画2026」で掲げる「エネルギー3.0」推進の中核として位置づけられているという。

関西電力 代表執行役副社長 藤野研一氏

 同社のいう「エネルギー3.0」とは、従来の電気やガスといったインフラの供給(エネルギー1.0)や付加価値サービス(エネルギー2.0)の枠を超え、「顧客や社会のニーズに向き合い、エネルギーとソリューションを一体として提供しながら、新たな事業領域へ挑戦する成長戦略だ」と藤野氏は説明する。

関西電力の「エネルギー3.0」

 あえて関西電力のサービスにとどめず分社化に踏み切った背景について藤野氏は、「より多くの企業や自治体、大学、地域、そして生活者が参加できる開かれた社会実装プラットフォームに進化させるためだ」とする。「関西電力グループが培ってきた事業基盤と技術力、事業創造力、地域との連携基盤、そしてスタートアップならではのスピードと柔軟性を掛け合わせることで、社会課題に資する事業をスピーディに展開し、社会貢献を一過性の取り組みではなく続けていく行動に変えていきたい」と藤野氏は述べている。

 小山氏も、「モアクトは関西に閉じたサービスではなく、全国展開するサービス。より開かれた柔軟な連携ができるようにしたい」としている。

モアクト 代表取締役 小山陽平氏(左)と関西電力 代表執行役副社長 藤野研一氏(右)