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ヴイエムウェア、モダンプライベートクラウド基盤「VMware Cloud Foundation 9.1」を日本市場で発表、AIワークロード実行基盤としても注目
2026年5月25日 06:00
ヴイエムウェア株式会社は20日、モダンプライベートクラウドプラットフォーム「VMware Cloud Foundation(VCF) 9.1」を日本市場において提供開始することを発表した。ヴイエムウェア Broadcom カントリーマネージャ 山内光氏は「VCF 9の国内提供を発表してからちょうど1年が経過したが、経済の不確実性や労働人口の減少、地政学リスクなど日本を取り巻く状況はますます厳しくなってきている。こうした課題に日本企業が対応していくにはありとあらゆるアプリケーションワークロードに対応できるモダンプライベートクラウドが求められており、従来の仮想環境からITインフラを再定義していく必要がある」と語り、そうしたニーズに応えるプラットフォームがVCF 9.1だとあらためて強調した。
VCF 9.1は、ヴイエムウェアの親会社である米Broadcomが2025年6月に発表した「VMware Cloud Foundation 9」のアップデートバージョンで、米国では5月5日付けで提供が開始されている。VCF 9は「パブリッククラウドに代わるモダンプライベートクラウドインフラ基盤」として、大企業を中心に導入が進んでいるプラットフォームだが、
・従来の仮想環境(VM)上で動くトラディショナルなエンタープライズアプリケーション
・コンテナ/Kubernetes上で動くクラウドネイティブなモダンアプリケーション
・従来のAIから生成AI、エージェンティックAIまでを含む幅広いAIワークロード
といった、エンタープライズで要求されるあらゆるアプリケーションワークロードをカバーできる点が特徴だ。
BroadcomのVCF部門で製品担当バイスプレジデントを務めるポール・ターナー(Paul Turner)氏によれば、リリースから1年でVCF 9を導入した企業はグローバルで約2000社を超え、現在も継続してユーザー数が伸びているという。
特にユーザーからの注目度が高い機能として、ターナー氏は「本番AIワークロードの実行基盤」を挙げており、「AIがコアビジネスを動かすワークロードになりつつある現在にあって、プライベートクラウドプラットフォームであるVCF 9がその実行基盤として選択されている」(ターナー氏)点が、“ITインフラの再定義”を象徴していると語る。
ターナー氏は続けて、VCF 9.1のプラットフォームとしての特徴として
・大規模環境における効率的なインフラと運用
・高度なアプリケーションデリバリ
・サイバーレジリエンスとデータセキュリティ
を挙げている。
また、今回のアップデートにおける特に重要な機能として、以下を紹介している。
・NVMeを利用したメモリ階層化(ハイブリッドメモリ)によるキャパシティの拡大とコスト効率の向上 … 世界的なメモリ価格の高騰にも対応できるよう、DRAM(tier0)を追加することなくNVMeを第2階層ストレージ(tier1)として活用することで、メモリキャパシティを拡大し、サーバーの総コストを最大で40%低減、またNVMeデバイスの状態を常に可視化しておくことで摩耗状況を把握し、ダウンタイムのリスクを低減
・CaaS(Container-as-a-Service)のデプロイ … ESXiホスト上で直接Kubernetesワークロードを実行できる「vSphere Pod」を使って仮想マシン(VM)と並行してコンテナを実行/管理できるようになり、コンテナの迅速なデプロイが実現、最適なランタイムを同一プラットフォーム上で容易に選択可能に
・AIオブザーバビリティ … AIワークロードにおける主要なメトリクス(トークン/秒、KVキャッシュ利用率、AIエージェント、MCPサーバー数など)を管理ツール「VCF Operations」および生成AI環境「Private AI Services(PAIS)」に標準搭載、ボトルネックの特定からモデルのチューニング、ハードウェアの使用状況の監視、データの主権管理などをリアルタイムに本番環境で実現し、AIコンプライアンスを徹底
・ゼロダウンタイムパッチの適用の拡張 … ESXiおよびvCenterのユースケース全体の最大80%でライブパッチ適用をサポート、クリティカルセキュリティパッチの適用時のダウンタイムを最小限またはゼロに抑え、本番環境のAI推論サービスやエージェンティックAIアプリへのダウンタイム影響を回避
・オンプレミス環境のサイバーリカバリ … サイバー攻撃からの迅速な復旧を図るために、エアギャップ隔離されたクリーンルームにバックアップをイミュータブル(書き換え不可)に退避させ、新たにサポートされた「CrowdStrike Falcon Endpoint Security」(オプション)を含む統合検証ツールで検証を実施、復旧は自動ワークフローにもとづいて行われ、目標復旧時間(RTO)を向上
全体的にAIワークロードの増大に対応したアップデート項目が多い印象だが、ターナー氏は「グローバルマーケットは現在、セキュリティとモダンアプリケーションに強い関心を寄せている。もちろんエージェンティックAIも重要なトレンドだが、VCFの顧客はコンテナ/Kubernetes(VKS)でセキュアに動くアプリケーションを増やし、その延長線上でAIワークロードを拡大していきたいという要望が多い」と語っており、“モダン”プライベートクラウドプラットフォームとしてバランスの取れた成長を目指している点を強調する。
また日本では、オンプレミス/プライベートクラウド環境におけるAIワークロードの本番稼働事例はまだあまり多くないが、山内氏は「現状での日本企業のAI適用は、コア事業よりもAIを活用してデスクワークを効率化するといった非競争領域でのケースが目立つ。事業に直結する分野でAIを積極的に活用することについては、現在議論を重ねている企業が多いのでは。我々としては、コア事業のインフラプラットフォームとしてVCFのメリットを実感していただいたうえで、顧客企業がAIをコア事業に活用するとなったときに、実はVCFがAIプラットフォームとしても十分に使えることに気づいてもらえればと思っている」と語っており、あくまでモダンプライベートクラウドプラットフォームの延長線上でAIプラットフォームとしての価値を訴求していきたいとしている。
ヴイエムウェア 執行役員 ソリューションアーキテクト本部 本部長 塩﨑崇氏は、AIプラットフォームとしてのVCFの可能性について、「単にAIのワークロードを載せられるプラットフォームではなく、主権(ソブリン)やハードウェアコスト、サイバーリカバリ、自動化、スケールなどさまざまな課題に対応できる“スキのない”プラットフォームを目指していく」と語っており、山内氏と同様にプライベートクラウドインフラとしての実力と実績がAIプラットフォームとしての土台となる点を強調している。
現在、BroadcomはグローバルのVMware主要顧客に対してVCFへの移行を積極的に推進しているが、日本でも新たなVCF導入事例として日本気象協会と日本中央競馬会のケースが発表されており、いずれもVCFのコスト削減効果やランサムウェア対応などのセキュリティ、業務運用の自動化などが高く評価されたものとなっている。
こうしたモダンプライベートクラウドプラットフォームとしての実績を着実に積み上げたうえで、AIワークロードの実行基盤としても存在感を高めていく――次のアップデートではAIプラットフォームとしてのVCF活用事例も含め、日本企業からも多様なユースケースが出てくることに期待したい。









