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シスコ、インフラ全体にAIを展開するフレームワーク「Secure AI Factory with NVIDIA」の拡張を発表
2026年4月3日 08:00
米Cisco(以下、シスコ)は現地時間3月18日、集約型データセンターからデータ生成や意思決定が行われるローカル拠点まで、顧客のインフラ全体にAIを展開するフレームワーク「Secure AI Factory with NVIDIA」の拡張を発表した。
今回の拡張により、企業、ネオクラウド事業者、ソブリンクラウド、サービスプロバイダーが、分断されたシステムを組み合わせることなくAIを試験段階から本格的な本番運用に移行でき、導入期間を数カ月から数週間へと短縮し、初期段階からセキュリティを組み込めるとしている。
シスコとNVIDIAは、組織がエッジ推論ユースケースに対応できるよう支援する。AI推論は、データが存在し、即時の意思決定が求められる現場で実行され、病院や製造現場でのリアルタイム分析などに対応するため、インフラはデータやデバイスの近くで処理を行う必要がある。このため、推論ワークロードはローカル拠点、つまりデータやデバイスに近く、意思決定が必要なタイミングで処理することが求められており、インフラのあり方が根底から変わりつつあるとしている。
取り組みでは、Cisco UCSおよびCisco Unified Edgeポートフォリオ全体でNVIDIA RTX PRO 4500 Blackwell Server Edition GPUに対応する。これにより企業は、データセンター規模のハードウェアに伴うエネルギーコストや設置スペースを必要とすることなく、ミッションクリティカルなAIワークロードをエッジ環境で実行できるようになる。
また、シスコは、Cisco Mobility Service PlatformとNVIDIA RTX PRO Blackwell Series GPUを組み合わせたリファレンスデザインである「Cisco AI Grid with NVIDIA」を発表した。これにより、サービスプロバイダーは既存のネットワークを活用し、キャリアグレードの信頼性とデータ主権を備えたエッジAIアプリケーション向けマネージドサービスを提供できるようになる。
大規模AI Factoryに向けたパフォーマンスと効率の向上として、シスコはスケールアウト向けのCisco Silicon One G300およびスケールアクロス向けのP200を搭載した最新システムを投入しており、あらゆるプロセスの高速化と簡素化を実現しつつ、パフォーマンスの限界をさらに高め続けていると説明している。
NVIDIA Spectrum-6 Ethernetスイッチシリコンを搭載した新型4Tbps Cisco N9100など、最新の高速スイッチは、最も要件の厳しいAIワークロードに対応する。これは、現在一般提供されているNVIDIA Spectrum-4 Ethernetスイッチシリコン搭載の800G N9100に加わる製品となる。
現在Cisco Nexus Oneの一部となっているCisco Nexus Hyperfabricは、NVIDIA Spectrum-X Ethernetシリコンを搭載したN9100シリーズを含む、Cisco N9000シリーズスイッチに対応する。これにより、組織は複雑なマルチベンダーの統合作業という課題を、シンプルなフルスタックのソリューションに転換でき、導入時間を短縮してIT部門の負担を軽減できる。
大規模なAI Factoryを構築する顧客に対しては、2つの検証済みアプローチを提供する。NVIDIA Cloud Partner(NCP)プログラムに準拠したリファレンスアーキテクチャに基づくAI Factoryか、同じ設計原則に基づきCisco Silicon One上に構築されたCisco Cloud Reference Architectureから選択できる。
セキュリティ面でも、AIモデルが価値の高い資産となり、エージェントが自律的に行動して判断し、他のエージェントと連携する時代において、セキュリティは最優先事項だと説明する。シスコは、Secure AI Factory with NVIDIAの基盤全体に保護機能を組み込み、外部からの脅威と不正なエージェント挙動の双方に対する防御を実現する。
AIインフラの保護では、Cisco Hybrid Mesh Firewallが、ネットワークスイッチやワークロードエージェントなど、さまざまな適用ポイントにわたって一貫したセキュリティポリシーを提供する。シスコはこのCisco Hybrid Mesh Firewallを拡大し、Cisco Nexus Oneファブリックに接続されたNVIDIA GPUサーバーに組み込まれたNVIDIA BlueFieldデータプロセシングユニット(DPU)上でポリシーを適用することで、脅威を組織のデータに到達する前にサーバーレベルで遮断する。その結果、パフォーマンスを損なうことなく、AIワークロードを内側から包括的に保護できる。
AIエージェントの保護では、Cisco AI Defenseはモデルセキュリティや自動化された脆弱性テストに加え、NVIDIA AI Enterpriseソフトウェアの一部であるNVIDIA NeMo Guardrailsとの統合により、エッジにおけるAIエージェント向けに設計されたガードレールを提供する。これにより、AI開発者やセキュリティ部門は新たな脅威に先回りして対応し、AIに対する信頼を維持できる。AIの導入がますます分散化し、エッジ拠点のエージェントがコアのエージェントと連携してタスクを遂行し、ワークフローを実行するようになっている状況において、Cisco Secure AI Factory with NVIDIAの一部であるAI Defenseは、こうしたエージェント間の相互作用の安全性も確保する。
シスコは、 AIインフラのあらゆるレイヤーやエージェント型ワークフォースにセキュリティを組み込むという取り組みをさらに進め、Cisco AI DefenseがNVIDIA Agent Toolkitの一部であるOpenShellランタイムに対応し、そのセキュリティを確保するため、エージェントやClaw(自律型AI)の動作を管理するための制御機能やガードレールを追加すると発表した。
Cisco AI Defenseは、エージェントが実行するすべてのツールやアクションを継続的に監視、検証することで、企業が安心してAIエージェントを展開し、セキュリティを損なうことなく重要なワークフローを管理できるよう支援する。この統合は、イノベーションとリスクの間に存在するギャップを解消し、組織が自律的なシステムを信頼し、安全かつ確実に運用できるようにする。