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NEC、サプライヤーとの調達交渉を自動化するAIエージェントサービスを提供
2025年12月3日 10:00
日本電気株式会社(以下、NEC)は2日、同社独自のAI技術「自動交渉AI」を活用し、製造業の調達業務において最良の取引条件を自律的に生成し、サプライヤーと交渉する「NEC 調達交渉AIエージェントサービス」を12月に提供開始すると発表した。
NEC 調達交渉AIエージェントサービスは、製造業における複雑な納期・数量調整交渉を自動化することで、取引に関わる交渉に費やされる時間を削減し、需要変動への迅速な対応と業務効率の向上を実現するサービス。
NECの自動交渉AIは、人間が実施しているさまざまな調整を人間の代わりに調整・交渉するAI技術。調整に際しての必須条件と望ましい条件を自動で導出し、双方にとって受け入れ可能で最適な条件を自動で提案する。AIと人間だけでなく、AI同士での調整・交渉も想定している。
また、国連の標準化団体(UN/CEFACT)でE-Negotiationの国際標準として採用されており、海外の取引先との交渉においても、国際標準に準拠した円滑な連携と合意形成を可能にし、グローバルサプライチェーンの最適化に貢献するとしている。
サービスでは、あらゆるオーダーの中から、在庫最適化のために納期・数量調整が必要なものを自動で検出し、交渉案を生成する。AIエージェントを介して取引先に交渉案を提示し、インタラクティブに交渉を実行することで、人手で行っていた膨大な調整業務を削減する。
自動交渉AIが取引データに基づき最適な交渉案を計算し、双方が納得するWin-Winの合意形成を支援する。これにより、欠品防止・納期遅延回避を実現し、販売機会の損失を低減する。過剰在庫の抑制にも貢献し、サプライチェーン全体のコスト最適化と柔軟性・安定性の向上を実現する。
日常的な交渉業務の自動化により、調達担当者はより高度なサプライヤー戦略の策定やリスクマネジメント、新規サプライヤー開拓など、戦略的な業務に注力できるようになり、調達部門全体の生産性向上と付加価値創出に貢献する。
ERPなどの各種既存システムと連携することで、調達業務をワンストップで行えるDXを実現する。これにより、システム刷新の負担を抑えつつ、スムーズな導入と運用が可能になる。
NECは、2024年11月にNECグループ会社で実証実験を行い、約1300品目の部品調達における取引先との納期・数量調整の自動化に成功した。実証では、購買側の担当者が介在せずAIのみで合意が達成された割合を示す「自動合意達成率」が95%に達し、取引先と同社双方にとって最適な条件で交渉が成立した。これにより、従来数時間から数日を要していた交渉開始から完了までの調整時間をわずか約80秒に短縮できることを確認し、業務効率の大幅な向上を実現したとしている。
NEC 調達交渉AIエージェントサービスの価格は年額3600万円からで、別途初期費用が必要。NECでは、今後5年間で100社への導入を目標とする。
