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AWS、AIエージェントの大規模な展開・運用に向けた「Amazon Bedrock AgentCore」を一般提供開始

 米Amazon Web Services(AWS)は現地時間13日、AIエージェントを安全かつ大規模に展開および運用できる「Amazon Bedrock AgentCore(以下、AgentCore)」を発表した。AgentCoreは現在、東京を含む世界9つのAWSリージョンで一般提供されている。

 AWSは、数十億ものAIエージェントが協働し、日常業務から複雑なビジネスプロセスまであらゆるものを変革する世界を思い描いているが、これを現実のものとするには、フレームワークやローコードの開発者向けツール以上のものが必要だと説明。AWSのミッションクリティカルなシステム構築支援の経験を生かし、多様な組織が自信を持ってエージェンティックシステムを本番環境へ移行できる包括的な基盤を、AgentCoreを通じて提供するとしている。

 AgentCoreにより、すべての開発者がAIエージェントをパイロット環境からフルスケールの本番環境へ迅速に移行できると説明。AgentCoreはAIエージェントの構築、デプロイ、運用に必要な基盤を提供し、エージェントに複雑なワークフローを処理するためのツール、メモリ、データを簡単に取り入れられる。数行のコードを書くだけで、現在利用可能なランタイム環境の一つの選択肢にAIエージェントをデプロイできる。

 また、エンタープライズグレードでの展開に必要なコントロールとアクセス管理を備え、これらのエージェントを運用できる。これらすべてをインフラ管理なしで実行でき、任意のモデルやエージェントフレームワークを使って簡単に開始できる。

 AgentCore SDKは、多様な業界の顧客に既に100万回以上ダウンロードされており、初期の顧客には、Clearwater Analytics(CWAN)、Cox Automotive、Druva、Ericsson、Experian、Heroku、National Australia Bank、ソニーグループ、Thomson Reutersなどが含まれるという。AgentCoreはまた、Accenture、Cisco、Deloitte、SalesforceなどのAWSパートナーによってサポートされ、すでに変革をもたらし始めているとしている。

 AIエージェントの構築に向けては、AgentCoreのサービス群はモジュールとして提供されているため、必要に応じて組み合わせて利用することも、単独で利用することもでき、開発者はAIエージェントを望む方法で構築できる。組織としては、チームが必要とするAgentCoreのサービスを選択しながら、好みのフレームワーク(CrewAI、Google ADK、LangGraph、LlamaIndex、OpenAI Agents SDK、Strands Agentsを含む)とモデル(Amazon Bedrockで利用可能なモデルや、OpenAIやGeminiなどBedrock以外で利用可能なモデルを含む)を使用できるため、望む方法で自由に構築できる。

 AgentCore Code Interpreterにより、AIエージェントは分離された環境でコードを安全に生成・実行でき、AgentCore Browserは、AIエージェントがウェブアプリケーションを大規模に操作できるようにする。AgentCore Gatewayは、既存のAPIやAWS Lambda関数をエージェント互換のツールに変換し、既存のMCPサーバーに接続し、必要不可欠なサードパーティのビジネスツールやサービス(JiraやAsana、Zendeskなど)とのシームレスな統合を提供する。この統一されたアクセスポイントにより、企業システム全体にわたる安全な統合が可能になり、AgentCore Identityを使用すると、エージェントはOAuth標準を使用した適切な認証と認可によって、これらのツール全体に安全にアクセスし、操作できる。

 さらに、AIエージェントが真に効果的であるためには、時間の経過とともに対話からコンテキストを維持し、学習する必要があると説明。AgentCore Memoryは、開発者が複雑なメモリインフラストラクチャを管理することなく、高度なコンテキスト対応エクスペリエンスの構築を支援し、AIエージェントがユーザーの好み、過去のやり取り、会話を豊かにする関連コンテキストの詳細な理解を構築・維持できるようにする。

 AgentCore Observabilityは、リアルタイムダッシュボードと詳細な監査証跡を通じて包括的なモニタリングを提供する。組織はAIエージェントのすべてのアクションを追跡し、問題を迅速にデバッグし、パフォーマンスを継続的に最適化できる。AgentCore Observabilityは、メトリクス、ログ、トレースなどのテレメトリデータを収集してルーティングするための標準化されたプロトコルとツールを提供する、オープンソースのオブザーバビリティフレームワークであるOpenTelemetry(OTEL)との互換性を提供する。これにより、Dynatrace、Datadog、Arize Phoenix、LangSmith、Langfuseなどの既存のモニタリングツールと連携できる。

 また、従来のアプリケーションとは異なり、AIエージェントのワークロード持続時間は本質的に予測不可能だと説明。AgentCore Runtimeはこうした変動性に対応し、必要に応じてゼロから数千のセッションへと自動的にスケーリングして、長時間実行タスク向けに8時間のランタイムを提供する。

 セキュリティ面についても、AgentCoreはAIエージェントが安全に運用できるよう、すべてのサービスにセキュリティを組み込んでいると説明。バーチャルプライベートクラウド(VPC)環境とAWS PrivateLinkをサポートし、ネットワークトラフィックをプライベートで安全に保つ。AgentCore RuntimeはmicroVM技術を通じてセキュリティを提供し、各AIエージェントのセッションに独自の分離されたコンピューティング環境を与え、データ漏えいを防止し、すべての相互作用の完全性を維持する。

 AgentCoreは、KiroやCursor AIなどの統合開発環境(IDE)で動作するMCPサーバーを通じて、本番環境対応のAIエージェントを簡単に構築できる。開始にはわずか数分しかかからず、堅牢なセキュリティを維持しながら、ゼロから数千のセッションへと即座にスケールできる、フル機能の本番環境対応ソリューションを提供する。顧客のチームは、AIエージェントが実証済みの基盤上に構築されていることを理解した上で、アイデアからデプロイメントまで自信を持って迅速に進められるとしている。