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NTTドコモビジネス、自動運転レベル4の遠隔監視を支える先進技術をパッケージ化した「通信安定化ソリューション」を提供
2025年10月8日 14:33
NTTドコモビジネス株式会社(旧:NTTコミュニケーションズ)は8日、NTT株式会社と進めてきた、自動運転車両など移動しながら安定した通信を必要とするモビリティ向けの通信安定化ソリューションの技術実証の成果を受け、同ソリューションを自動運転の実証実験や社会実装を目指す顧客向けに提供開始した。
NTTドコモビジネスとNTTはこれまで、地域の公共交通において運行業務の担い手が不足していることへの対策として、全国で自動運転の実証実験に参画し、自動運転レベル4の社会実装に必要な、遠隔監視における通信の安定化に取り組んできた。
自動運転向けの通信では、基地局の切り替えやエリアの干渉によって無線品質が一時的に不安定になり、遠隔監視の映像が途切れるなど、走行の安全性に影響を及ぼすリスクが顕在化している。また、これまで通信品質の安定化を実現するために必要な複数の技術が個別に提供されていたことから、導入時のリードタイムが課題となっていた。
提供するソリューションでは、自動運転車両と遠隔監視システム間を複数回線でマルチパス接続するとともに、無線品質の変化を先回りして予測し、マルチパスを制御することで遠隔監視の映像が途切れるリスクを抑制した信頼性の高い通信環境を提供する。
また、データ連携システムを用いることで、走行データや車載センサーの検知情報、AI画像解析の結果などの複数データをリアルタイムに遠隔監視システムへ連携できる。
これらの技術を組み合わせてパッケージ化することで、自動運転の社会実装を目指す自治体などで、導入時のリードタイム短縮を図り、より容易に最先端の通信技術を利用できる。
ソリューションでは、無線品質予測、マルチパス通信制御、リアルタイムでのデータ伝送の3点の技術をパッケージ化して提供する。
無線品質予測は、公衆ネットワーク、ローカル5G、Wi-Fiなど、無線の種類ごとに機械学習に基づいて、無線の品質を予測する。マルチパス通信制御は、無線品質予測や通信状況に応じて、複数回線によるマルチパスを制御し、高い接続性を実現する。リアルタイムでのデータ伝送は、車両などのデバイスで収集したカメラ映像やセンサーデータ、通信状況情報を集約し、複数のデータをリアルタイムで遠隔監視システムに連携する。
ソリューションを活用することで、通信状況を可視化しつつ通信の安定性を向上させ、安定した伝送が可能になる。実証環境下において、自動運転の遅延の目安水準400ms以下の割合が95%に対し、技術を適用しない場合は1回線目が92%、2回線目が53%にとどまるが、本技術を適用した場合は99%と目安水準を満たすことが確認できたという。
ソリューションを用いて通信を安定化することにより、自動運転における安定した遠隔監視を実現し、地域の交通課題の解決に貢献する。また、自動運転の社会実装の推進を図るだけでなく、建設機械やロボットなど、移動しながら通信を必要とする他のユースケースでの活用にも取り組むことで、建設現場、工場、倉庫などにおける遠隔操作や自動化を実現し、人手不足や作業の安全性の確保といった課題解決に貢献していくとしている。