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PFN、IIJ、JAISTの3者、直接水冷方式の高密度AIサーバーとハイブリッド冷却データセンターによるAI計算基盤技術の実証実験を実施

 株式会社Preferred Networks(以下、PFN)、株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)、国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学(以下、JAIST)の3者は11日、経済産業省およびNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の公募「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/ポスト5G情報通信システムの開発(委託)」に共同提案して採択された「超高効率AI計算基盤の研究開発」の取り組みとして、IIJの松江データセンターパーク(以下、松江DCP)とJAIST石川キャンパスで、超高効率AIアクセラレーターシステムの試験稼働を7月に開始したと発表した。

松江DCPに設置された直接水冷のMN-Core 2サーバー30ノードおよび水冷設備

 PFNでは、同社が開発するAIプロセッサー「次世代MN-Coreシリーズ」に求められる高い計算力の実現に向け、プロセッサーの計算力向上に伴って増える稼働時の熱を効率的に処理するため、従来の空冷方式から、熱処理効率の高い直接水冷方式を今回初めて採用し、MN-Core 2ボードを8枚搭載できる直接水冷機構を備えた高密度サーバーを開発した。7月から、このテストベッド(試験環境)を松江DCPに30ノード(MN-Core 2合計240基)、JAIST石川キャンパスに2ノード(MN-Core 2合計16基)構築し、試験稼働を開始した。

 今回の試験稼働では、IIJとPFNが共同で直接水冷方式の高密度AIサーバーを空冷データセンター内に設置し、水冷固有の課題への対策を検証する。また、JAISTとPFNが共同で、水冷設備と水冷サーバーの協調動作(Software Defined Liquid Cooling Facility)によるデータセンターの高効率化に関する研究を行う。さらに、PFN、IIJ、JAISTが共同で、今後PFNが開発する次世代MN-Coreシリーズの水冷技術および高密度化の実証実験を行う。

 IIJは、ファシリティとしての直接水冷方式に対応した水冷モジュール型データセンターの開発を進めており、今回の実証実験ではその一環として水配管の施工や漏水などの水冷固有の課題への対策効果を検証するため、松江DCP内の空冷サーバールームに、既存の空冷設備を生かして短期間で導入できるAALC(Air Assisted Liquid Cooling)と呼ばれる冷却技術を導入し、空冷空調技術と水冷技術を組み合わせたハイブリッド冷却方式の環境を試作した。IIJは今回の実証実験、および開発事業の成果を活用し、AI基盤構築を支援するソリューションを提供する予定としている。

 試験稼働において、PFNは次世代MN-Coreシリーズに向けた直接水冷サーバーの検証、AI計算基盤の構成要素としての効率性・運用性の検証、および次世代技術の検討を行う。IIJとPFNは、水冷固有の課題への対策の検証、各モジュール間での相互運用性の検証を行う。JAISTとPFNは、水冷設備と水冷サーバーの協調(Software Defined Liquid Cooling Facility)によるデータセンターの高効率化の実験を行う。

 PFN、IIJ、JAISTは、2026年度からテストベッドにおいて実際のAIワークロードを用いたAI計算基盤の協調制御による資源割り当ての最適化・効率化に関する研究開発に取り組み、超高効率AI計算基盤の実現を目指す。