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シュナイダー、ソニーとの協業によりAIによる製造現場向け安全性向上ソリューションを提供

 シュナイダーエレクトリック(以下、シュナイダー)は6日、ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社(以下、ソニー)との協業のもと、ソニーのインテリジェントビジョンセンサーとシュナイダーの産業用コンピューターを用いたAI活用による安全性向上ソリューションの提供を開始した。

 ソリューションは、AI処理機能を搭載したソニーのインテリジェントビジョンセンサー「IMX500」と、シュナイダーのPro-faceブランドが手掛ける産業用コンピューター「PS6000シリーズ」を組み合わせて実現したもの。IMX500はセンサー内でAI処理を行えるため、クラウドへの接続を必要とせず、シンプルなシステム構成により現場への迅速なAI導入が実現できる。

 提供に先立ち、シュナイダーの泉大津事業所に同ソリューションのテスト導入を行った。泉大津事業所は、HMIや産業用コンピューターをはじめとするPro-faceブランド製品の最終組み立てや個別カスタム対応を行う拠点で、カスタマイズ用のさまざまな部品を保管するエリアでは、転倒や物の落下に備え、作業時に安全防具(ヘルメット・安全靴・安全ジャケット)の着用が必須となる。

 作業現場の状況を、IMX500を搭載したAIカメラでリアルタイムに検知して、産業用コンピューターを介して通知することにより、安全防具を着用せずに危険エリアに侵入・作業している危険な状態の発生を抑制し、製造現場の安全性と管理効率を向上した。

具体的な導入ソリューションの構成

 導入したソリューションは、インテリジェントビジョンセンサーによる高精度な認識が可能で、ヘルメット、安全靴、安全ジャケットなどの着用状況をリアルタイムで自動検知する。また、Pro-faceの産業用コンピューターとの連携により、検知結果を現場のHMI上で即時に可視化・通知する。シンプルな構成と導入のしやすさも特徴で、複雑な配線や大規模な設備変更は不要で、既存環境に柔軟に対応する。

 シュナイダーでは、ソニーのインテリジェントビジョンセンサー内蔵カメラとシュナイダーの産業用コンピューターによるソリューションは、低コストでクイックに製造現場へのAI導入を行えると説明。泉大津事業所におけるような安全性向上のみならず、製造現場のさまざまなシーンで活用できるとしている。

 展開可能な利用シーンとしては、作業者や機械の状態を監視してセキュアな工場を実現する安全衛生、製品の状態を監視して目視検査を自動化・定量化する目視監視・検査代替、工場の状態監視から非効率な工程を改善する生産性向上などを挙げている。

 また、これらのハードウェアで処理・蓄積・取得したデータのさらなる分析や意思決定への活用に向けて、今後はシュナイダーのグループ企業である英AVEVAのクラウドソリューション「CONNECT」とのデータ連携を強化していく。

 シュナイダーはソニーとの協業のもと、両社の持つ製品や技術を組み合わせることにより、今後も製造現場での幅広いAIの利活用を目指し、最先端技術の融合によるコラボレーションを加速させるとしている。