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マクニカ、やまびこの横須賀事業所に製造現場DXサービス「DSF Cyclone」を提供

 株式会社マクニカは5日、株式会社やまびこの横須賀事業所に、オリジナルの製造現場DXサービス「DSF Cyclone」を提供したと発表した。

 やまびこは、森林・農業・緑地管理向けの屋外作業機械を展開する総合メーカーで、横須賀事業所はエンジンの鋳造から組み立てまで一貫生産を行う基幹工場となる。同社では、2021年に「ITインフラ整備」を全社方針として掲げたことをきっかけに、横須賀事業所でデジタル化を本格的に推進することになった。

 これまでも現場主導で、Excelを活用した日報集計や、段取り時間の手作業による計測などの「見える化」に取り組んできたが、データ分析や活用には人手や専門知識の不足から限界があった。また、ライン数が多いこともあり、こうした業務の全社的な横展開にも課題を抱えており、その結果、手作業を中心とした現状の体制ではリソースへの負担が大きく、持続可能な仕組みとは言えない状況が続いていた。

 DSF Cycloneが選ばれた理由は、やまびこ独自の全社的な生産方式であるYAPS(Yamabiko Production System)の理念と、DSF Cycloneの特長に高い親和性があったためだという。

 YAPSは、「無駄の排除による経営効率の向上」を目的とし、長年にわたり全社的な改善文化の中核を担ってきた。その活動は現場の感覚や経験だけに頼るものではなく、継続的な改善を通じて徹底的に無駄を排除し、生産性や品質の向上を実現する仕組みとなる。

 一方、DSF Cycloneは、生産現場の状況や設備の稼働状況をリアルタイムで可視化し、生産計画と実績の差異や設備停止情報を即座に把握できる機能を備えている。これにより、データに基づく自律的な改善活動を推進することが可能となる。

 YAPSの理念と、DSF Cycloneの「データドリブンな自律的改善」の考え方が合致し、やまびこの持続的な改善文化をさらに深化させる共通言語となる点が、導入の決め手となった。

 導入の効果としては、従来は現場の感覚や経験に頼っていた判断を、DSF Cycloneによるリアルタイムデータで裏付けることで、数値に基づく確かな根拠を持った意思決定が可能となり、改善活動の精度と効果が向上した。

 横須賀事業所内の生産ライン横のモニターで、生産計画と実績の差異や設備停止情報、単位時間あたりの生産量などを即座に確認できる仕組みを構築。これにより異常発見から対応までの時間が短縮され、生産管理の効率化と安定稼働が実現した。

 現場作業者が主体的にデータ活用や改善提案に参加しやすい環境を整えたことで、成果が見えることでやりがいや達成感が高まり、現場には考える文化が根付いてきたという。

 また、DSF Cycloneはスモールスタートに適し、横展開しやすい構成となっており、横須賀事業所の複数ラインだけでなく、海外拠点も見据えたデジタル基盤の整備により、地域ごとの生産体制を連携させる「見える工場」の実現に向けた第一歩となったとしている。

 マクニカは、やまびこが目指す、省人化と競争力強化を実現するスマート工場構想の推進を支援するとともに、国内外の拠点をつなぐ共通のデジタル基盤づくりを通じて、持続可能な改善文化の定着とグローバルな生産体制の最適化に貢献していくとしている。