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富士通や金沢ケーブルなど3社、ミリ波レーダーを活用した仮設住宅での高齢者見守りの実証実験を実施
2025年6月24日 14:11
富士通株式会社、富士通ネットワークソリューションズ株式会社(以下、FNETS)、金沢ケーブル株式会社の3社は24日、富士通の「Fujitsu ミリ波レーダ見守りシステム」を用いて、仮設住宅内の高齢者見守りの実証実験を石川県能登町において実施し、有効性を確認したと発表した。
近年、激甚化する自然災害などによる予期せぬ事態が常態化しており、長期に渡って仮設住宅で避難生活を余儀なくされるケースが増加しているとのこと。そうした生活では、独居高齢者のプライバシーを確保しながら、いかに安否確認や入居の長期化に伴う健康状態の確認などを行うかといった課題が高まっているものの、巡回や訪問の人手不足が深刻な社会課題になっていること。
そこで3社では、こうした課題の解決を見据えて、能登町の協力のもと、能登半島地震に伴って建設された仮設住宅2戸の居室内にミリ波レーダー装置を設置し、家具などの障害物がある環境下でのミリ波による見守りについて、3月10日~6月9日の期間で検証を行った。
ここで利用した富士通の「ミリ波レーダ見守りシステム」は、カメラを使わず、ミリ波レーダーでプライバシーを保護しながら見守りを実現するシステムで、介護施設、サービス付き高齢者住宅などの居室、バリアフリートイレといった、プライバシー保護の観点からカメラの設置が難しい空間において、利用者の安全を見守ることができるという。
今回は、居室内の寝室として利用される洋室の床面から1.8mの場所にミリ波レーダー装置を設置。居住者の位置を点群データとしてとらえ、金沢ケーブルが用意したインターネット回線経由でクラウドへリアルタイムに転送して、「ミリ波レーダ見守りシステム」に搭載された富士通独自のAIで分析し、居住者の在室・不在、居室内での滞在位置や行動量をヒートマップや時間別のグラフデータとして可視化した。あわせて、転倒などの異常事態をAIで検知する検証も実施している。
その結果、介護施設や商業施設などとは建材が異なる仮設住宅においても、同程度の性能で居住者の状態を検知でき、居住者へヒアリングした実際の状況とも差異がないことを確認したとのこと。
今回の結果を踏まえ、FNETSと金沢ケーブルは、石川県内での独居高齢者の安否確認対策など、地域が抱える課題解決に向けて検討し、ビジネス創出を行う考えだ。