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Netskope、日本での事業ビジョンや製品展開、生成AI利用の最新調査結果などを説明
Microsoftとの戦略的パートナーシップを拡大なども発表
2025年5月29日 11:00
Netskope Japan株式会社(以下、ネットスコープ)は28日、1月に同社の新カントリーマネージャーに権田裕一氏が就任したことを機に、データセキュリティの現状や日本市場でのビジネス展開、および統合型セキュリティプラットフォーム「Netskope One」の機能強化やMicrosoftとのパートナーシップについて説明するメディア向けイベントを開催した。
またイベントでは、Netskope 共同創設者 兼 最高技術責任者(CTO)のクリシュナ・ナラヤナスワミ氏が登壇し、日本企業における生成AIの利用状況とリスクに関する最新調査結果、および量子コンピューティング時代のセキュリティ課題への対応策について説明した。
Netskopeは、統合型セキュリティプラットフォーム「Netskope One」やグローバルネットワークインフラストラクチャ「Netskope NewEdge Network」、ゼロトラストエンジンなどを展開し、現在、Fortune100企業の30社以上を含む3500社超の顧客が同社のソリューションを活用している。特に、金融サービスでは大手5社のうち3社、ヘルスケアでは大手5社のうち4社、通信では大手4社のうち3社、小売でも大手4社のうち3社が同社の顧客となっているという。
ネットスコープ バイスプレジデント兼カントリーマネージャーの権田裕一氏は、現在多くの組織が抱えているデータセキュリティとネットワークの課題について、「インターネットからクラウド、SNS、IoT、そしてAIと、テクノロジーの急速な発展にともない、日々生成されるデータ量も加速度的に増大を続けている。この膨大なデータ量に対して、従来のセキュリティとネットワークでは対応が難しくなってきており、多くの組織がさまざまな面で『妥協』を強いられる状況になっている。その中で当社が問題視しているのが、セキュリティとパフォーマンスで妥協が生まれることだ。例えば、セキュリティを強化すればするほど、パフォーマンスは悪くなり、ユーザーエクスペリエンスが低下する。一方で、パフォーマンスを高めると、セキュリティが弱まり、脆弱性を引き起こすことにつながる」と指摘する。
「こうした課題に対して、当社では、パフォーマンスに妥協することなくセキュリティを提供できるネットワークインフラストラクチャ『Netskope NewEdge Network』をグローバルに展開しており、現在75以上の地域をカバーし、自社データセンター数は120を超えている。国内にも東京と大阪にそれぞれ2か所のデータセンターを設置している」という。
そして、このインフラをベースに、同社が提供するネットワークセキュリティプラットフォームのポイントとして、1)ユーザー・アプリ・データが存在する場所を問わず、あらゆるネットワークおよびセキュリティサービスへの高速で回復力のあるアクセスを実現、2)すべてのサービスに単一のポリシーとコンソールを備えた効率的な統合プラットフォームを提供、3)最高レベルの脅威・データ保護により、すべてのトラフィックにわたる完全なセキュリティの可視性とコンテキストを実現――の3つを挙げた。
国内での展開については、「当社では100%パートナー経由でのビジネスを国内で展開しており、導入実績も拡大している。今後もパートナー企業と協力し、従来のセキュリティ体制とネットワーク環境を再考することを提案するとともに、国内の組織がセキュリティとパフォーマンスに『妥協』する必要のないネットワークセキュリティプラットフォームの提供に力を注いでいく」との考えを示した。
続いて、ネットスコープ シニアソリューションエンジニア マネージャーの小林宏光氏が、統合型セキュリティプラットフォーム「Netskope One」に関する最新の取り組みについて説明した。「『Netskope One』は、当社のデータセキュリティ機能を統合し、単一の管理コンソール、単一のポリシーセット、単一のプラットフォームで提供するソリューション。これにより、組織のデータがどこに移動しても、どのように使われても、どこに保存されていても、容易にデータを保護し、管理することができる」という。
「Netskope One」の機能強化としては、SSE(Security Service Edge)機能と完全に統合した企業向けブラウザ「Netskope One Enterprise Browser」を2月にリリース。また、DLP(Data Loss Prevention)機能をAPI経由で提供する「Netskope One DLP On Demand」を4月に発表した。そして新たに、DSPM(データセキュリティポスチャ管理)のアップデートにより、AIセキュリティ機能を強化したことを本日付で発表した。
「今回の機能強化では、既存のパブリックアプリとプライベートアプリの包括的な保護機能を基盤として、ユーザー、エージェント、データ、アプリケーションにまたがるAI利用の保護と安全確保を実現。また、完全な可視性とコンテキストに基づいたリアルタイム制御を提供することで、幅広いAIセキュリティのユースケースに対応し、エンドツーエンドでの安全なAI活用を可能にする」と説明した。
さらに、「Netskope One」のパートナー展開の新たな動きとして、企業のクラウドおよびAI環境への包括的なデータセキュリティの提供に向けて、Microsoftとの戦略的パートナーシップを拡大することを本日付で発表した。
Microsoftとは、すでにID・アカウント管理サービス「Microsoft Entra」でパートナーシップを結んでおり、「Netskope One SSE」とのシームレスな統合を実現している。今回のパートナーシップ拡大では、統合データ管理ソリューション「Microsoft Purview」との連携を強化。「Microsoft Purview」のDLPによるデータ分析機能を、Microsoftのエコシステムの枠を超えて広範なネットワークに拡大する。また、「Netskope One」の統合データセキュリティ機能を活用することで、AIアプリとの通信、認可されていないクラウドストレージへの機密情報のアップロード、SNS投稿、ウェブフォーム送信など、あらゆる場面での機密データの検出と分類を確実に行うことが可能となる。
この後、Netskope 共同創設者 兼 最高技術責任者(CTO)のクリシュナ・ナラヤナスワミ氏が、日本企業における生成AIの利用状況とリスクに関するNetskope Threat Labsの最新調査結果、および量子コンピューティング時代のセキュリティ対策について説明した。
「Netskope Threat Labsの調査結果によると、日本のユーザーの生成AIアプリにおけるデータポリシー違反の種類は、『知的財産』が最も多く90%を占め、次いで『規制対象データ』(6%)、『ソースコード』(4%)となった。日本における生成AIの利用状況を見ると、組織の68%(グローバル:90%)が職場で従業員が生成AIを直接利用しており、全従業員のうち平均1.4%(グローバル:平均5%)が月間アクティブユーザーであることがわかった」とのこと。
「生成AI機能を搭載したビジネスアプリを利用している日本の組織は98%(グローバル:98%)に達し、従業員の34%(グローバル:75%)が生成AI機能搭載のビジネスアプリを利用していた。また、日本の従業員の18%(グローバル:35%)が、ユーザーデータを活用してAIモデルをトレーニングするアプリを利用しており、こうしたアプリを利用している組織は94%(グローバル:97%)を占めていた。生成AIを活用している組織は、自社のユーザーデータがAIモデルの学習に使われているのかをしっかり認識し、対応していく必要がある」と、調査結果のポイントについて解説した。
量子コンピューティング時代のセキュリティ対策としては、「量子コンピューティングが本格的に立ち上がるのは数年先になると思われるが、その時には組織のセンシティブなデータを窃取しようする量子攻撃が確実に行われると予想されている。このため、量子コンピューティング時代に備えて、今からインフラの保護を検討していく必要がある」と訴える。
「米国では、ポスト量子暗号(PQC)に向けた取り組みが進んでおり、量子耐性が期待されるアルゴリズムの最初の実装バージョンとしてオープン量子安全(OQS)が採択された。当社では、この進捗を見守りながら、ポスト量子暗号を製品の中にどのように取り入れていくのかを検討している。現時点では、ユーザー/デバイス/場所からNetskope Oneプラットフォームへの内部接続/トンネルに、ML-KEM 768量子耐性暗号化を使用。Netskope Oneプラットフォームは、宛先(アプリ、ウェブサイトなど)が量子暗号をサポートしている場合、その宛先への量子耐性接続を開始する。これによって、エンドツーエンドで耐量子性を担保する。この量子耐性オプションは、今年第3四半期 (8月~9月頃)に顧客によるサンドボックステストを実施する予定」と、「Netskope One」における量子耐性オプションのリリース計画を明らかにした。