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NTTデータ経営研究所、「金融機関向けAI導入コンサルティングサービス」を提供

 株式会社NTTデータ経営研究所は7日、メガバンク・地方銀行・証券会社などの金融機関を対象に、金融規制対応とAIガバナンスに精通したコンサルタントが設計する「金融機関向けAI導入コンサルティングサービス」全18サービスの提供を開始した。

 NTTデータ経営研究所はサービス提供の背景として、国内の金融機関では生成AIの導入が進み、社内向けのAIツールの活用も広がりつつある一方で、「AIを入れたが次に何をすべきかわからない」「ベンダーからの提案が乱立し全体設計が見えない」「AIへの投資対効果を経営に説明できない」「PoCは動いたが本番で使われなくなった」といった課題が顕在化していると説明する。

 こうした課題の根本には、AIツールを導入する前に「業務知識をAIが使える形に構造化する」という工程が不足していることや、既存のRPA・RAG・AIツールといった資産をゼロから作り直そうとする設計思想の問題があるという。また、世界的にも金融機関におけるモデルリスク管理やガバナンスの見直しが進んでおり、金融機関においてはAI利活用とガバナンスを両立する設計の重要性が高まっているという。

 NTTデータ経営研究所では、金融政策コンサルティングユニットで培った金融規制対応・業務知識・ガバナンスの知見を生かし、金融機関の現場課題に正面から応えるサービスとして、サービスを体系的に整備した。

 金融機関向けAI導入コンサルティングサービスは、金融機関の業務知識を「Skills」として構造化・継承する知識層と、AIエージェントの判断・実行を制御する「Harness(ハーネス)」と呼ばれるフロー制御層を分離する設計思想を特徴としている。

 金融機関の業務知識は、ベテラン行員の判断基準・審査ノウハウ・例外処理ルールなど、これまで暗黙知として蓄積されてきた資産だとして、NTTデータ経営研究所ではこれらを人の頭の中から取り出しSkillsとしてライブラリ化し、AIエージェントに継承させる設計を行う。これにより、AIモデルが進化・切り替わっても、金融機関が長年かけて築いてきた業務知識が資産として残り続ける。

 一方、Harnessは、AIエージェントが「いつ・どの業務知識を参照し・どのタイミングで人間の承認を得るか」を制御する層となる。金融業務では、人間の最終判断を担保するHITL(Human-in-the-Loop)設計や、「3つの防衛線(three lines of defense)」に基づく、第1線・第2線・第3線の職掌分離といった金融機関固有のガバナンス要件が不可欠であり、Harness層でこれらを明示的に設計することで、金融規制への適合性と業務品質を両立する。

 この2層分離の設計思想により、業務知識とAIモデルそれぞれを独立に進化させやすい構造を設計段階から整え、AIモデルの世代交代や規制変化に振り回されない、長期的に耐える金融機関のAI基盤を実現する。

 サービスは、Phase 1〜Phase 4の4フェーズ・全18サービスで構成される。「Phase 1:AI戦略・構想策定(6サービス)」は、金融機関の業務知識がどこにあり、AIがどこまで活用できるかを診断する。「Phase 2:業務AI実装方針策定・BPR(6サービス)」は、Phase 1の診断結果をもとに、業務知識をAIが活用できる形に整理する方針と、AIエージェントの実装方針を策定する。

 「Phase 3:AIガバナンス・リスク管理(5サービス)」は、稼働中のAIの品質モニタリング、モデルリスク管理、AIガバナンス体制の構築を支援する。「Phase 4:AI活用進化支援サービス(年間リテーナー:1サービス)」は、Phase 1〜3で構築したAIエージェント・業務知識ライブラリ・ガバナンス体制を継続的にモニタリング・更新し、AI投資のROIを経営層に可視化し続ける。

 また、サービスでは、主要AIプラットフォームについて、クライアントの既存インフラ・ベンダー関係・コスト条件を踏まえた中立的な評価と推奨を行う。特定ベンダーへの誘導を行わないことを原則としており、クライアントが将来にわたって最適なAIプラットフォームを選択し続けられる設計を支援する。

 導入形態についても、全行一斉導入は必要なく、「まず現状把握のみ」「特定業務のPoCから」「ガバナンス整備だけ先に」「AI脅威対応を急ぎたい」「評価制度・人材育成から着手したい」「既存AIのROI可視化が課題」など、クライアントの状況に応じたエントリーポイントから支援を開始できる。

 NTTデータ経営研究所は、サービスを通じて金融機関のAI活用における「業務設計」と「ガバナンス」の両面から支援していくとしている。また、メガバンク・地方銀行に加え、証券会社・保険会社など金融機関全般への展開を予定する。