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日立、2014年度上期の連結決算は増収増益~通期は過去最高の営業利益5800億円目指す

 株式会社日立製作所(以下、日立)は29日、2014年度上期(2014年4月~9月)の連結業績を発表した。

 売上高は前年同期比0.6%増の4兆4967億円、営業利益は同23.4%増の2140億円、税引前利益は同54.6%増の2095億円、当期純利益は同179.4%増の915億円となった。

 日立の中村豊明執行役副社長兼CFOは、「情報・通信システム部門をはじめとして8部門において、増収増益となった。火力事業統合および日立マクセルの持分法化におけるマイナス影響があった電力システム事業の悪化を、操業度改善、原価低減などで補った。Hitachi Smart Transformation Projectの効果は、480億円に達している。第2四半期の営業利益は過去最高となった」とし、「優、良、可、不可という点からみれば、可といった程度の成績」と厳しい見方をした。

2014年度上期の業績ハイライト
2014年度上期の業績

 2014年度上期業績の国内売上高は前年並の2兆4018億円、海外売上高が前年同期比2%増の2兆949億円。海外売上高比率は47%になった。

 「中国では昇降機、北米では自動車関連、欧州では医療および英国向け鉄道事業が成長している」という。

国内・海外売上高
日立の中村豊明執行役副社長兼CFO

情報・通信システムは増収増益も、営業利益は見通しに届かず

事業部門別の業績

 事業部門別の売上高では情報・通信システムの売上高が、前年同期比7%増の9349億円、営業利益は前年同期から60億円増の368億円、EBITは66億円増の353億円となった。

 情報・通信システム事業部門のうち、システムソリューションの売上高は前年同期比7%増の5457億円、営業利益が同270%増の176億円。プラットフォームの売上高が同7%増の4168億円、営業利益が同4%増の233億円。通信ネットワークの売上高が同10%減の890億円、営業損失が前年の3億円の赤字から、56億円の赤字へと拡大した。

 また、ストレージソリューション事業は、売上高が前年同期比9%増の2180億円となった。

 「情報・通信システムは、売上高は伸ばすことができたが、海外ビッグデータをはじめ、ソリューション事業の拡大にあわせて人材強化を図っている。そのため、営業利益に関しては、情報・通信システムだけが見通しに届かなかった」とした。

 公共システムや金融システムを中心としたシステムソリューションやストレージソリューションが好調に推移。2014年3月にインドPrizm Payment Services、日立システムズパワーサービスを子会社化したことも、売上高のプラスに影響している。また、システムソリューションにおける不採算プロジェクトが収束したことも増益に寄与した。

 「プロジェクトマネジメントを進化させないと問題が出てくる。2013年度からの大口案件受注において暴れているものはない。今後、金融、公共での大規模プロジェクトがつながっていくので、いかに優秀なプロジェクトマネージャーを当てるかが鍵になる」と語った。

 また、社会、金融、公共分野のシステムソリューション事業を統合し、提案力強化に取り組んだことにも言及。シンガポールでは日立コンサルティングがStone Apple Solutionsを買収。マレーシアでは日立システムズがデータセンター運用会社のFree Net Business Solutionsを買収して、ソリューション体制を強化している点にも触れた。

 一方、2014年度上期の事業グループ別業績は、インフラシステムの売上高は前年同期比6%増の1兆5768億円、営業利益は前年から407億円増の604億円。電力システムの売上高は前年同期比45%減の2051億円、営業損失は前年から247億円減の226億円の赤字。建設機械は売上高が前年比4%増の3732億円、営業利益は前年から44億円減の250億円。高機能材料の売上高は前年同期比3%増の6886億円、営業利益は前年から37億円増の529億円。オートモーティブシステムの売上高は5%増の4462億円、営業利益は前年から73億円増の281億円。金融サービスの売上高は前年同期比11%増の1818億円、営業利益は前年から24億円増の185億円となった。

 なお、部門別での生活・エコシステムの売上高は前年同期比4%増の3883億円、営業利益は84億円増の143億円となった。

通期見通しを上方修正、営業利益は過去最高を目指す

 今回の業績を受けて、2014年度通期業績見通しを上方修正。売上高は前回予想から1000億円増の9兆5000億円、営業利益は同200億円増の5800億円、当期純利益は同200億円増の2500億円。営業利益は過去最高を目指すことになる。

 「営業利益率は6.1%となるが、実行面ではもう少し高いところを目指したい」とした。国内市場は雇用環境の改善や設備投資の回復により、緩やかに成長するとみている。

 部門別では、情報・通信システム事業部門の2014年度通期見通しは、売上高は前年比2%増の1兆9800億円に上方修正。営業利益は294億円増の1360億円、EBITは296億円増の1260億円と据え置いた

 情報・通信システム以外では、社会・産業システム、建設機械、高機能材料の3部門で上方修正。営業利益は社会・産業システムや生活・エコシステムなど5部門で上方修正した。

2014年度通期の見通し
2014年度通期 事業部門別の見通し

 なお、Hitachi Smart Transformation Projectは、当初は年間900億円のコスト低減目標を掲げていたが、これを1000億円に引き上げることも明らかにし、キャッシュ創出力の向上、部門横断的な知見およびノウハウ共有によるプロジェクトマネジメントの強化のほか、日立物流のIT基盤活用による在庫の適正化を進めるグローバルロジスティクス改革の推進、国内財務間接業務のBPOへ移管するなどのオペレーションの改革に取り組むという。

Hitachi Smart Transformation Projectの進ちょくと今後の展開

大河原 克行