ニュース

ブイキューブ、パイオニアのWeb・テレビ会議子会社を傘下に

文教・製造・自動車などの業界へ事業拡大

ブイキューブ代表取締役社長の間下直晃氏

 株式会社ブイキューブとパイオニア株式会社は24日、ブイキューブによるパイオニアソリューションズ株式会社(以下、PSC)の子会社化で基本合意した。ブイキューブがパイオニアソリューションズの株式のうち51%を5億円で買い取り、7月1日付けでパイオニアVC株式会社(以下、PVC)を新設する。

 ブイキューブとPSCはともにWeb会議/テレビ会議を提供する企業。ブイキューブはSaaS型で、パイオニアソリューションズはオンプレミス型(パッケージ)で、それぞれ国内トップシェアを持つ。ナンバーワン企業同士の資本提携となるわけだ。

クラウド型とオンプレミス型のWeb・テレビ会議でそれぞれ国内トップシェアの両社

 目的は「国内シェアの拡大と潜在市場の開拓」(ブイキューブ代表取締役社長の間下直晃氏)。具体的に期待される効果として、「国内シェアの急拡大と、規模の論理の活用」「単なるWeb会議からの脱却の加速」「文教・自動車セクターでの新たな可能性」の3点を挙げる。

7月1日付けでブイキューブ子会社としてパイオニアVCを設立
期待される効果として挙げた3点

市場はかぶらない両社、シナジーに期待

 両社はともに「遠隔会議」に関する製品を提供する会社だが、ブイキューブは「ソフトウェア指向」かつ「一般用途」、PSCは「ハードウェア指向」かつ「特定用途(災害対策・設計コラボレーション・デジタル教育)」に寄っている。このため、「基本的にマーケットは競合せず、相互補完によって拡大が可能。クラウド型・オンプレミス型を合わせたマーケットシェアも、(カリバリズムを起こさず)それぞれのシェアを純粋に合算した31.4%になる見込み。販売代理店もかぶっておらず、双方の直販・販売代理店網を活用したクロスセルも可能なため、シナジーが出しやすい」(同氏)という。

 併せて、データセンターや双方の開発リソース、サポート、各国のローカルオフィスなどのサービス提供インフラも共通化。コストダウンと事業の拡大を図る。

市場はかぶらない両社
マーケットシェアは純粋に合算値(31.4%)に
クロスセルも可能となる

 PSCは現在、売上の拡大と利益面の回復局面にあるが、子会社化によって加速し、2014年12月期(2014年4月~12月の8カ月)で利益面での赤字を脱却し、以降は黒字となる見込みという。これらを「国内シェアの急拡大と、規模の論理の活用」と表現している。

PSCの業績予測

単なるWeb会議からの脱却の加速

ハードウェアと融合させたユニークなソリューションを提供しているPSC

 PSCは、Web・テレビ会議のパッケージ製品をさまざまなハードウェアと融合させたユニークなソリューションを提供している。また、図面・CADの遠隔コラボレーションや、電子黒板を活用した教育ソリューション、災害対策ソリューションなども手がけている。

 一方、オンラインミーティング、オンラインセミナーなどの一般用途を対象としたWeb会議ソリューションを手がけてきたブイキューブは昨今、アジア展開時のオンラインでのやり取り(製造業向け)、遠隔集合型の双方向授業(文教向け)、金融特化ソリューションなど業界特化型のソリューションにも手を広げつつある。

 PSCの製品・サービスをポートフォリオに加えることで、事業戦略の1つである「単なるWeb会議からの脱却」を加速させる考えだ。

文教・自動車セクターでの新たな可能性

 中でも、政府が2020年までに各教室1台の配備を後押ししている電子黒板市場や、「コネクテッド・カー」をはじめ、大きな変革が訪れようとしている自動車産業への存在感を強めたい意向。「電子黒板は政府の後押しにより、今後40万台近い需要が出てくる。そこを狙う。また自動車関連としては、中国で車載無線LANルーターにV-CUBEライセンスをバンドルして搭載したすでにクルマが製造されている。こうした海外での事業展開についても共同で取り組んでいく」とした。

川島 弘之