ニュース

弥生、クラウド版「やよいの白色申告 オンライン」~2014年1月開始

2014年末までは無料、白色申告義務化を前に個人事業主を全面サポート

「やよいの白色申告 オンライン」を発表する弥生株式会社 代表取締役社長 岡本 浩一郎氏

 弥生株式会社は21日、「やよいの白色申告 オンライン」を2014年1月からスタートすることを発表した。会計業務を支援する「弥生会計」などの中小企業向け業務ソフトを開発している同社では、2012年9月より店舗経営者向けの決算・申告業務支援サービス「やよいの店舗経営 オンライン」でクラウドサービス化を果たしており、「やよいの白色申告 オンライン」は「弥生オンライン」シリーズの第2弾に位置づけられる。

 2014年1月からの白色申告義務化を機に白色申告の対象となる事業者が増加することから、税制上のメリットは少ないもののニーズは今後高まると判断。同社代表取締役社長 岡本 浩一郎氏は記者発表会で、「すべての個人事業主に、スムーズな確定申告を。」を合い言葉に、今後は業務支援のためのさまざまなクラウドサービスの提供を念頭に事業展開していくと語った。

弥生史上初めてMacOSにも対応

 「やよいの白色申告 オンライン」は、個人事業主が確定申告する際の「白色申告」に必要なデータの管理、申告書の作成を支援するクラウドサービス。HTML5ベースで開発されており、Webブラウザー上で売上や仕入などの記録を簡単に行えるとともに、白色申告に必要な書類を半自動で作成。手順に沿って操作していくだけで確定申告に必要な作業を完了させることができる。

 弥生シリーズでは、初めてMacOSに対応。Windows Vista/7/8以降またはMacOS X 10.6.0以降の、Internet Explorer、Google Chrome、Firefox、Safariの各Webブラウザーで利用可能となっている。すでにリリースしているデスクトップアプリケーション版や、「やよいの店舗経営 オンライン」については、これまで通りWindowsのみの対応となる。

 従来は所得金額が300万円以上の場合に白色申告の義務が発生していたところ、2014年1月からは所得300万円未満でも白色申告しなければならなくなった。これまで弥生では、ユーザーである個人事業主に対して税制上のメリットが大きい青色申告を推奨してきたが、白色申告義務化がきっかけで青色申告に変える意志をもつ人は全体のわずか18%という独自の調査結果などから、手間が大幅に少ない白色申告を選ぶケースが増えてくると予測。「どうせ手間をかけるんだったら青色申告がいい、となるはずだが、これは理想論」であるとし、150万人規模と見られる新たな白色申告対象事業者のニーズを見越してサービス開発を進めてきた。

 クラウドサービス化した理由については、一般の個人事業主や企業だけでなく、会計事務所からも、多数の端末から同じデータを扱えるようにしたい、万が一のデータ損失に備えたい、データ共有したいといった要望が多く寄せられたことを挙げた。Webベースであれば多くのユーザーが慣れ親しんだネットサービスに近い操作性・使い勝手を実現できることも、クラウドサービス化した理由の1つだという。

会計事務所などからもクラウド化の要望は大きくなってきているという
従来のデスクトップアプリケーション版の「弥生」シリーズと「弥生オンライン」シリーズは全く別のラインナップとなる
弥生としては手間はかかるがメリットの多い青色申告を強く勧めている
新たに対象となる白色申告事業者の数はおよそ150万人。しかし、8割は白色申告を選ぶという調査結果が出た
「やよいの白色申告 オンライン」サービスの特徴
「やよいの白色申告 オンライン」入力、操作は簡単
確定申告に必要な手順が一目でわかり、作成中に用語や具体例が同一画面内で見られる
HTML5ベースでタブレットからの利用も視野に

2014年末までは無料で利用可能に

 「やよいの白色申告 オンライン」は、2014年1月14日からβ版としてサービスをスタートし、4月以降に正式版として公開する予定。2014年12月31日までは利用料金が0円となる「無料トライアルキャンペーン」を実施し、2015年1月以降は通常の利用料金として年額4500円(税抜)かかるものの、利用開始から最大3カ月間は無料となる。

 今後はタブレット端末からの利用も想定したサービスの改善を検討するほか、金融機関等の取引データの自動取り込み機能、スマートフォンアプリとの連携機能、集計・レポート機能など、機能拡充を図ることで「1年間に10万ユーザーの獲得を目指したい」とした。さらに、2014年内をめどに「やよいの青色申告 オンライン(仮称)」をリリースし、白色申告ユーザーからのスムーズな移行も可能にする。2015年以降は「弥生オンライン」シリーズのラインナップ拡充も目標として掲げた。また、既存のデスクトップアプリケーション版についても、クラウド上のデータベースに直接アクセスできる機能を2015年末頃から実装する計画だ。

クラウドアプリケーションの新規開発
デスクトップアプリのクラウドDB対応
1年間10万ユーザーの利用を目指す
2014年春から夏にかけて大幅な機能強化を予定
無料トライアルキャンペーンなどで2014年末まで利用料金は無料

 なお、デスクトップアプリケーション版の「やよいの青色申告」と「やよいの青色申告 オンライン(仮称)」については、前者がフル機能版と言える内容とし、後者が必要最小限の機能に絞りシンプル化したもの、といった差別化を図るとしている。しかしながら岡本氏は、今後の市場の情勢によっては1つのアプリ・サービスに統合していくことも十分に考えられるという認識を示した。

日沼 諭史