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デロイト トーマツ、レガシーシステムのモダナイゼーションサービスを提供

 デロイト トーマツ コンサルティング合同会社(以下、デロイト トーマツ)は13日、レガシーシステムのモダナイゼーションを、独自のツールを用いて安全かつ効率よく実現するサービスを4月に本格展開すると発表した。

 サービスでは、デロイトが米国で特許をもつ独自のツール「innoWake」を使用する。innoWakeは、COBOLを最新のJavaに自動変換した上で、当該システムを小さな独立したサービスの集合体に分割できる機能(マイクロサービス化)を特徴とする。メインフレームで稼働しているCOBOLを1行単位で、最新のJavaなどのオープン言語に1対1で自動変換し、ソースコードの構造変更を極力少なくすることで、不良の発生リスクを抑え、低リスクと時間短縮を両立する。さらに、メインフレーム上のデータベースを、オンプレミスまたはクラウド上の表形式のデータベースに自動移行できる。

 また、レガシーシステム脱却では従来、クラウド移行して言語をJavaへ単純変換するのみにとどまることが一般的となっていたが、innoWakeではJava変換後、塊になっている業務処理のプログラムやデータベースを、独立したプログラムやコンポーネントに機械的に分解する、マイクロサービス化も行える。

 さらに、生成AI機能により、レガシーシステムの分析のために平易な質問文で該当箇所の検索が行え、処理内容が回答される。プログラムやコンポーネントのソースコードに設計書が無い場合には設計書を自動生成し、アセンブラプログラムをJavaに再実装する際には、要件定義と要求機能を導出して自動でコードを生成する。

 COBOLのロジックや、金融や保険など各業界特有のITシステム近代化のトレンド、ビジネスプロセス改善など専門的な知見に精通したメンバーで、プロジェクトごとに専門チームを組み、各企業とともにモダナイゼーションを進める。

 また、メインフレームのソースコード処理を独自ツールで分析し、モジュール間の依存関係を可視化。これをもとに、COBOLおよび業界の知見に精通した専門家が、企業側の開発ガイドラインに合わせてシステム上の意味や重要性、難易度を判断して優先度を付けてマッピングし、企業側とともに計画の範囲やゴールを決める。

 次に、マッピングをもとに、独自ツールを使ってCOBOLのコードをJavaに自動変換する。人手による作業は、バッチ処理などで性能のチューニングが必要な場合や、複数の異なるデータ形式の統合が必要な場合などに数を減らして、開発リスクを最小限に抑える。

 さらに、プログラムの機能分割やデータベースの分割箇所を、専門チームのメンバーが過去の経験や知見に基づいて決定し、独自ツールのモノリスカッターやDBカッターで分割してマイクロサービス化する。分割後の各コンポーネントに対しては、生成AIで要件定義の書き起こしからコード生成、ドキュメント生成を実行する。これにより、レガシーシステムでは実現できなかったビジネスプロセスの変革を可能にし、市場動向やニーズ対応可能な「本当の意味のモダナイゼーション」を実現するとしている。

 デロイト トーマツでは、企業のIT企画部門やDX推進部門の役員・マネジメント層が、レガシーシステムのモダナイゼーションの進め方を体感できる「Application Modernization Studio Tokyo」を、東京都千代田区に開設した。メインフレームからクラウドまで幅広い知識をもった専門チームが、各企業のモダナイゼーションプロジェクトの前に、企業側と現状把握や課題解決に向けた道筋をともに考えるワークショップの実施や、メインフレームの分析や自動コード変換、DBカッター、モノリスカッターなどを活用する、安全かつ効率の良い手法のデモンストレーションを提供する。また、各企業ごと、もしくは業界に共通する課題解決に向けたセミナーも開催していく。