ニュース

2024年の国内パブリッククラウド市場は前年比16.3%増の4兆1423億円、IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は19日、国内プライベートクラウド市場予測を発表した。2024年の国内パブリッククラウドサービス市場は、前年比26.1%増の4兆1423億円(売上額ベース)で、同市場の2024年~2029年の年間平均成長率は16.3%で推移し、2029年の市場規模は2024年比約2.1倍の8兆8164億円になると予測している。

 2024年の国内パブリッククラウドサービス市場は、Generative AI(以下、生成AI)に関わる動向が活況となり、関連の製品/サービスが大きく売り上げを伸ばしたと分析。また、クラウドに移行しやすいシステムのクラウドマイグレーションはピークを過ぎたものの、レガシーマイグレーションやスクラッチ開発したシステムのクラウドマイグレーションの本格化が見られ、さらには、生成AIの活用に限らず、企業のデジタルビジネスの実践を目的とした投資も活性化したとしている。

 今後の国内パブリッククラウドサービス市場については、クラウドマイグレーション、クラウドネイティブ化、生成AIの活用、デジタルビジネスに対する投資の拡大によって、高い成長を継続すると予測。生成AIの活用では、生成AI機能が組み込まれたSaaSが提供されており、すでに生産性ユースケースでの本格導入が始まっていると分析している。

 生産性ユースケースには、「翻訳」「ドキュメントの要約、キーワードの抽出」「コンテンツ作成支援」「プログラミング支援」などがあり、一方でビジネス機能ユースケースは、データの準備やプロセスの可視化/標準化などの課題が多く、先駆的な企業が概念実証を行っている段階となっているとしている。

 2024年は、ベンダー各社のAIエージェントに対する取り組みが加速した年となり、AIエージェントは人間の代わりに自律的にプロセスを判断して、外部のシステムを活用しながら、タスクを実行する特徴を有しているため、生産性向上だけではなく、ビジネスプロセスの自動化を可能とし、生成AIのユースケースを飛躍的に拡大すると説明。また、AIエージェントは、SaaSとして提供されることが多いAIアシスタントとは異なり、ユーザー企業が既存アプリケーションや社内データを活用してシステムを構築するため、ベンダー各社は、開発環境、データプラットフォーム/ナレッジベース基盤の整備、導入支援サービスの提供および強化を行っており、今後、AIエージェントの発展が、ビジネス機能ユースケースの普及を促進すると予測している。

 国内市場において、パブリッククラウドサービスは普及し、その用途もIT/業務の効率化から、デジタルビジネスの実現へと拡大しており、こうした中で生成AIが登場し、この動向を加速していると説明。また、ほとんどすべてのベンダーが生成AIに関連する製品/サービスの開発/提供、エコシステムの拡充に注力しており、ベンダー間の競合状況の激化に加え、協業状況が複雑化していると分析している。

 IDC Japan Software & Services リサーチディレクターの松本聡氏は、「ベンダーはユーザー企業の業務変革を支援すると共に、AI Everywhere(どこでもAI)時代における競合優位性を示すためにアーリーアダプターに対するアプローチの強化とコミュニティの活性化を図るべきである」と述べている。

国内パブリッククラウドサービス市場予測、2024年~2029年(出典:IDC Japan)