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シャープ、エッジAIを活用した議事録作成支援ソリューションを発表

法人向けショールーム「3×3 Hub」の内覧会も実施

議事録作成支援ソリューション「eAssistant Minutes」

 シャープ株式会社は18日、独自のエッジAIを活用した議事録作成支援ソリューション「eAssistant Minutes」を、3月中旬に販売開始すると発表した。記者説明会では、「eAssistant Minutes」の開発背景、およびソリューションの概要について紹介。また、説明会終了後には、昨年11月にリニューアルした法人向けショールーム「3×3 Hub(SHARP Interactive Showroom)」の内覧会を実施した。

システム構成(イメージ)

 会議などの議事録作成にかかる業務負担の軽減に向けて、クラウドAIを活用した文字起こしサービスや要約サービスに注目が集まっている。一方で、これらのサービスを利用したくても、多くの企業は導入にまで踏み切れていないのが実情だという。

 企業への導入が進まない要因について、シャープ ワークプレイスイノベーション事業部 ソリューション企画部 部長の古川勝康氏は、「まず、セキュリティ面の観点から、機密情報が含まれる会議の内容をクラウドにアップすることへの懸念が挙げられる。また、クラウドサービスではユーザーライセンス数や月間の利用時間・データ容量などさまざまな利用制限がある。さらに、初期設定が面倒だったり、会議中にリアルタイムで文字起こしができなかったりなど、ユーザビリティの問題も導入への障壁になっている」と指摘。

 「これらの課題を解決するべく、音声認識から話者分離、要約作成まで、すべての処理を本体内のエッジAIで実現する議事録作成支援ソリューション『eAssistant Minutes』を新たに開発した」と述べた。

シャープ ワークプレイスイノベーション事業部 ソリューション企画部 部長の古川勝康氏

 「eAssistant Minutes」は、同社独自のエッジAI技術「CE-LLM」を本体に搭載することにより、外部ネットワークに接続することなく、会議などの議事録をリアルタイムに自動作成することができる。会議室や商談室に本体を設置し、専用のコントロールアプリをインストールしたホストパソコンとネットワークを介して接続。会議が始まると、会話を全文即時に文字起こしするとともに、一定量ごとに自動で要約を生成する。

 文字起こしされた内容や要約文は、ホストパソコンのアプリはもちろん、会議の参加者もブラウザ上から確認することが可能。また、話者分離機能も搭載している。オンライン会議ツールとの併用も可能で、付属のオーディオアダプタでオンライン会議ツールを使用するパソコンと本体を接続することで、ローカルとリモート両方の音声を入力できる。

「eAssistant Minutes」のソリューション概要

 会議が終了すると、ホストパソコンのみに文字起こしや要約データ、音声データが自動で保存され、本体内のデータは消去される。これにより、ネットワークを介した情報漏えいのリスクを低減し、セキュアに利用できる。また、アプリケーション上で、文字起こしされたテキストの、聞き返したい部分をクリックするだけで、必要な部分だけを聞き返すことができる。

「eAssistant Minutes」専用アプリのデモ画面

 クラウドサービスとは異なり、ユーザーライセンス数、データ容量、利用回数、利用時間が無制限で、使い放題となる点も大きな特徴。ユーザーごとのライセンス契約やユーザー管理も不要となるため、会議室に本体を設置するだけで、簡単に利用を開始できる。

 想定される使用シーンとしては、「機密情報を扱う会議」「セミナー」「対面相談」を挙げている。取締役会や経営会議、新製品会議など機密情報を扱う会議では、すべての処理を社外ネットワークに接続することなく、本体内で処理するため、安全に利用することが可能。また、本体内に議事録データが残らないため、複数人で共同利用する会議室での会議に最適となっている。

 セミナーや講義、パネルディスカッションでは、発言内容を正確に記録し、リアルタイムで文字起こし・要約結果を提供することで、参加者全員が内容を把握しやすくなる。商談やコンサル、法律・保険・金融相談など対面での相談では、会話の内容を記録し、重要なポイントをリアルタイムで要約することで、接客に集中することができる。さらに、相談内容の振り返りや今後のフォローアップにも役立てることができるとした。

 「eAssistant Minutes」の発売は3月中旬を予定しており、価格はオープン。商品には、導入時設置/設定サービス、本体5年保証、ヘルプデスク/オンサイトハード保守(5年)、ソフトウェアアップデート(5年間)が含まれる。現在、法人向けショールーム「3×3 Hub」で商品展示を行っている。ショールームでは、実際に「eAssistant Minutes」を使ったリアルタイム文字起こしを体験することが可能で、オンラインでのデモにも対応する。このほか、顧客企業に機材を貸与し、自社環境での効果や利便性を確認できる「トライアルプログラム」も用意している。

 今後の展開について古川氏は、「まずは、議事録機能の充実化を図っていく。さまざまな議事録テンプレートを提供するとともに、導入先企業で利用されている議事録フォーマットに合わせた議事録生成を可能にする。また、海外企業との会議にも対応できるよう翻訳機能をオプションで提供する予定。さらに、業務効率化に向けて、AIを活用した会話のデータベース化や会議Botによる会議ファシリテーション機能の提供を目指す。将来的には、社内にサーバーを設置し、複数の会議室で『eAssistant Minutes』を利用できるようシステム化を進めていく」との考えを示した。

「eAssistant Minutes」の将来の方向性

 なお、説明会終了後には、昨年11月11日にリニューアルオープンした完全予約制(無料)の法人向けショールーム「3×3 Hub」の内覧会が行われた。「3×3 Hub」は、「Smart Office」、「Smart Retail」、「Smart Logistics」の3つのゾーンで構成されている。「Smart Office」は、働きやすい環境を構築するさまざまなオフィスソリューションを紹介するゾーン。「Discussion Hub」コーナーでは、気軽に集まってディスカッションができる、スムーズなコミュニケーションスタイルを提案する。「Board Meeting Space」コーナーでは、情報や状況を正確に表現できる大型ディスプレイを活用したボードミーティングを提案する。「COCORD OFFICE Space」コーナーでは、スマートオフィスを実現するCOCORD OFFICEソリューションによる柔軟で多彩な働き方を体感できる。

「Smart Office」ゾーンの大型ディスプレイの展示

 「Smart Retail」ゾーンは、リテールソリューションからサイネージソリューション、バックオフィスソリューションまで、リテール市場で欠かせない各種ソリューションを紹介する。「Back Office/Control Room」コーナーでは、店頭に設置したサイネージのコンテンツ配信・管理・制御や物流倉庫の状況の監視・確認・スケジュール共有など情報共有しやすく働きやすいバックオフィスソリューションを提案。「Retail Gallery」コーナーでは、店舗演出に役立つサイネージディスプレイや決済端末など、シャープが提供する最先端のリテールソリューションを体感できる。

「Smart Retail」ゾーンのリテールソリューションの展示

 「Smart Logistics」ゾーンは、ロボットによる搬送の自動化など、ファクトリーソリューションを中心に展示しており、物流革新による省人化を提案する。「Backyard」コーナーでは、自動搬送装置などによる効率化・省人化を実現する各種ソリューションを紹介。「Parking」コーナーでは、駐車場が抱えるさまざまな悩みを最新技術によって解決するソリューションを提案する。

「Smart Logistics」ゾーンのファクトリーソリューションの展示