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インプレス「データセンター調査報告書2025」を発売、AI需要を受けデータセンターの新規計画が相次ぐが、計画には遅延傾向も

 株式会社インプレスは1月30日、新産業調査レポート「データセンター調査報告書2025[高まるAIへの需要を受け投資が拡大]」を発売した。価格(税込)は、CD(PDF)版・電子版が18万7000円、CD(PDF)+冊子版が19万8000円。

 報告書では、近年の国内データセンター新設動向や、データセンター事業者と利用企業の調査などから、クラウドおよび生成AIが拡大する中でのデータセンター市場を多角的に分析。ハイバースケール型とリテール型のそれぞれの新設動向と今後の計画、政府の施策動向、AI対応サービスへの取り組みと動向、関東・関西ならびに各地方の新設動向、利用企業のITインフラ利用の現状と意向などをまとめている。また、不動産市況からみたデータセンター市場についての有識者による寄稿も掲載している。

「データセンター調査報告書2025[高まるAIへの需要を受け投資が拡大]」

 データセンター調査報告書2025は、インプレスの専門メディア「クラウド&データセンター完全ガイド」監修のもと、データセンターの市場動向、データセンター事業者の動向、企業の利用動向などをまとめた調査報告書。2007年度に1回目のレポートを発行し、今年度で18回目となる。

 日本国内の商用データセンターについては、2023年末にハイパースケール型のラック数がリテール型を初めて上回ったが、その後もハイパースケール型のラック数は急速に増加しており、この1年の間にも新規参入や新たな新設計画の発表も相次いでいるとしている。

 その一方で、後ろ倒しになっているプロジェクトが散見されており、竣工予定の年月を過ぎても着工すらしていないプロジェクトや、1棟竣工した後に小休止となっているデータセンターも見られるようになっていると指摘。2024年は多くのデータセンターが竣工したものの、2025年はやや落ち着く見込みで、計画が2025年度中や2026年にスライドしているものも多く、それ以降の計画も含めて、今後予定通りに竣工するか注視していく必要があるとしている。

 一方、リテール型の新設は、都市部での主にインターコネクション用の新設が続いており、今後数年はその傾向が続くとみられるが、それ以降は減少に転ずると推測されるとしている。

ハイパースケール型・リテール型データセンター それぞれの累積ラック数(2017年~2031年)

 また、報告書では、近年および今後計画されている商用データセンターの立地状況を、一覧表および地図にマッピングして整理しており、ハイパースケール型データセンターの建設状況など含めて一目で把握できる。首都圏や印西・白井、彩都、けいはんなのデータセンター新設マップも掲載している。

2023年、2024年に新設されたデータセンターマップ
印西・白井エリア、彩都のデータセンター新設マップ

 国内データセンター業界の状況としては、DXの進展やICTサービスの需要増を支えるクラウドサービスの利用増を背景に、その基盤となるデータセンターは急拡大し、ハイパースケール型、リテール型ともに活況を呈していると説明。近年は、生成AI需要の高まりも加わり、投資が増大するとともに、大規模なAIデータセンターの新設計画も相次いでいるほか、大手クラウド事業者の膨大な投資も発表されているとしている。

 また、データセンター事業者はAI対応に迫られており、GPUサーバーやHPCサーバーなどの安定稼働を提供する「高発熱サーバー対応サービス」のほか、LLMの開発やAIサービス提供、AI利用に使用する計算リソースを提供する「AIクラウドサービス」のどちらも拡大していると説明。その一方で、カーボンニュートラルに向けた再生可能エネルギーへの取り組みも加速しているとしている。

 データセンターを利用する企業も、AIなどの用途に向けた高負荷サーバーへの関心が高まっている。企業に対して、生成AIなどに利用されるGPUサーバーや高速な計算・解析を行うHPCサーバーなど、高発熱・高排熱サーバー、高負荷サーバーの利用状況と利用意向を尋ねたアンケートでは、「すでに利用している」が12.7%。さらに、「今後利用したい」が13.5%、「利用を検討中」が21.7%となり、両者を合わせた利用に前向きな層が34.2%となった。利用中から検討中まで含めて、調査対象者の半分が利用に興味を持っており、特に売り上げ規模が1000億円以上の大企業において利用率が30%を超えている。

高発熱サーバーの利用状況と利用意向