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東京海上レジリエンス、NEC、アビームコンサルティングの3社、東京都で風水害時における要配慮者の個別避難を支援する実証を実施

 東京海上レジリエンス株式会社、日本電気株式会社(以下、NEC)、アビームコンサルティング株式会社の3社は14日、東京都が運営する「東京データプラットフォーム」のケーススタディ事業に採択され、「要配慮者の個別避難トータルサポートプロジェクト」を2024年8月から実施していると発表した。

 東京都では、デジタルの力で東京のポテンシャルを引き出す「スマート東京」の実現に向け、官民のさまざまなデータの利活用を促進し、新たなサービスの創出を後押しする「東京データプラットフォーム(TDPF)」を運営している。

 TDPFでは、データ利活用促進の一環として、官民のさまざまな分野のデータの掛け合わせや、新たなデータ利活用のユースケースを創出する先駆的なプロジェクトを選定し、支援するケーススタディ事業に取り組んでいる。

 近年、日本の全国各地で甚大な被害をもたらす自然災害が頻発しているが、高齢者や障がい者などの災害要配慮者(以下、要配慮者)はさまざまな理由により逃げ遅れてしまうことがある。また、要配慮者のうち、自ら避難することが困難で特に支援が必要な避難行動要支援者(以下、要支援者)については、災害対策基本法の改正により、「誰と(支援者)」「どうやって(避難手段)」「どこに(避難先)」避難するか、あらかじめ決めておく「個別避難計画」の作成が区市町村の努力義務とされた。

 こうした背景を踏まえ、風水害における要配慮者の個別避難を支援するため、官民の防災関連データやデジタルツール「NEC避難行動支援サービス」を活用した取り組みを、東京都多摩市・江戸川区で検証する。実証期間は2024年8月~2025年3月。さらに、多摩市・江戸川区以外の東京都内の基礎自治体に対して、検証内容の共有およびサービスのニーズ調査によって実効性のあるサービス開発を行い、東京都全域、ひいては全国自治体への展開を目指していくとしている。

実証の全体像

 多摩市では、個別避難計画作成から災害時の避難に関する一連の課題解決のため、デジタルツールや道路通行実績データなどを活用した各種取り組みを実施する。

 個別避難計画作成の高度化では、蓄積された道路通行実績データなどの多様なデータを活用し、パソコンやタブレットで個別避難計画を作成するシステムを構築。計画作成の効率化とリスク回避につながるかを検証する。

システム構築イメージ

 安否確認の高度化では、要支援者の支援状況を支援者が回答し、その回答結果を自動で集約できるアプリを用いて、自治体職員の安否確認業務の負荷低減、支援が行き届いていない支援者への迅速なフォローにつながるかどうかを検証する。

システム画面イメージ

 災害時の支援者サポートでは、要支援者の支援に必要な情報を支援者所有のデバイスにプッシュ通知するアプリを用いて、支援者に支援の際に必要な複数データを一元的に提示することが支援のしやすさにつながるかどうかを検証する。

システム画面イメージ

 さらに、要支援者移動の連携スキーム検証として、多摩市が災害時応援協定を締結している民間事業者とワークショップを実施し、要支援者の避難における車両提供に関する連携スキームを検証。多摩市へのヒアリングを実施し、個別避難計画作成から避難支援業務の現行フロー・課題を整理する。取り組み結果も踏まえ、課題解決の方向性を導き出す。

進め方イメージ

 江戸川区での取り組みでは、大規模な水害が予測される際の広域避難を促進するため、避難先となるホテルを予約するサイトの有効性検証を実施した。

 災害時における要配慮者の新たな避難先検証では、ハザードマップなどで水害リスクを考慮した宿泊施設(ホテル・旅館など)の予約サイトを用意し、安全な宿泊先を予約できる方法があることが広域避難の動機付けとなるのかを検証した。

 参加者のアンケート結果から、水害リスクを考慮した宿泊施設(ホテル・旅館など)の予約サイトが広域避難の動機付けとなり得るという成果が得られ、参加者のうち約7割が、「今回の体験会を機にホテルや旅館などへの広域避難を考えるようになった」と回答した。