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NEC、生成AI連携機能を搭載したPLMソフト「Obbligato」新版を提供

 日本電気株式会社(以下、NEC)は20日、図面・仕様書・部品表などの製品技術情報を一元管理するPLMソフトウェア「Obbligato」に、生成AIとの連携機能を搭載した「Obbligato R3.6」を2025年4月に提供開始すると発表した。

Obbligatoのイメージ図

 Obbligato R3.6では、ObbligatoとLLM(大規模言語モデル)の連携により、過去の製品開発を通じて蓄積された技術ドキュメントをLLMが効率的かつ高精度に検索し、設計者の質問に的確な回答を提示する。AIが人の相談相手となり、対話形式で曖昧な情報から適切な情報にたどり着き、設計業務における必要な情報の探索時間を大幅に短縮することで、本来の設計業務や設計検討に時間を使うことを可能にする。連携するLLMは、NEC開発のLLM「cotomi」と、Microsoft Azure OpenAI Serviceの「GPT」モデルから選択が可能。

生成AI連携機能のイメージ

 NECでは、3DCADデータ管理については、設計者の利便性と、全社レベルでのデータ利活用や運用面の効率化という観点から、設計中のデータはCADデータ管理用PDM、全社で共有すべき情報は全社PLM「Obbligato」に分けて管理し、PDMとObbligatoを連携した運用を推奨している。

 今回、CAD用PDM連携コネクターとして標準サポートしているSOLIDWORKS PDMに加えて、PLMジャパンの「PLMconsole xCAD(以下、xCAD)」を標準サポートする。xCADは、CATIA V5、NX、Creo Parametric、SOLIDWORKS、Autodesk Inventor/AutoCAD、iCAD SXに対応し、マルチCADデータ管理が可能。xCADとObbligatoの連携により、CAD、PLM、関連システムを連携することで、エンジニアリングチェーンの分断で起きていたタイムロスや伝達ミスを削減し、製品のタイムリーな市場投入を実現する。

 さらに、3Dデータ活用の支援機能として、BOMと3D Viewを連動して双方向のハイライト表示が可能になる。これにより3Dイメージの閲覧性を向上し、設計部門の他、生産技術や製造などものづくりに関わるあらゆる部門の業務効率化や品質向上に寄与する。

 また、複数の3DCADの管理やBOMと3Dモデルとを連動したビューイング機能により、取引先OEMメーカーごとに異なるCADを扱う、自動車部品業などでの利用を促進する。

マルチCADデータ管理と3Dビュー機能のイメージ

 設計BOMと生産BOMでは構造が異なり、設計変更時に製造側での生産BOMへの変更の適用やBOMのメンテナンスは、手間が多く、ミスが起きやすいという課題に対しては、設計変更の生産BOM自動反映機能により、設計部門での設計BOMの変更を、製造部門が作成する生産BOMに対して、品目情報および構成情報の変更が自動反映されるようになる。また、変更情報適用時の生産BOMの状態によっては、品目情報のみを自動反映し、それ以外はアラート表示させるなど、複雑な運用を考慮している。

 同機能は、Obbligatoの統合BOM機能(用途別BOMの統合管理)を活用しているさまざまな顧客の導入ノウハウから標準機能としてリリースする。BOM自動反映による設計部門と生産部門の連携効率化および品質向上を実現する。

設計BOMから生産BOMへの自動反映機能イメージ

 生成AI連携オプションの価格は月額10万円(税別)から。NECでは、今後3年間で100社への販売を目標とする。