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NTTコムウェア、NEC、長崎大学の3者、橋梁の維持管理高度化に向けた実証実験に成功

 NTTコムウェア株式会社、日本電気株式会社(以下、NEC)、国立大学法人長崎大学の3者は7日、点検・診断・措置・計画というメンテナンスサイクル構築による橋梁の維持管理高度化を目指し、2023年10月に共同研究および技術的連携を開始。連携の第一弾として2024年1月、橋梁などインフラ構造物の維持管理における長崎大学の工学的知見に基づく、NTTコムウェアのインフラメンテナンス画像認識AIと、NECの3Dデータ解析技術を活用した橋梁点検の実証に成功したと発表した。

 3者は、日本の道路や橋梁といったインフラ構造物の多くは高度経済成長期に整備されており、今後老朽化が進行していくと説明。特に、橋梁は構造物として部材の種類が多く、点検・診断には熟練者のスキルや川辺・高所など多様な環境条件への対応が必要で、メンテナンス品質や安全性を確保することが課題となっており、さらに将来を見据えた修繕計画策定や予防保全といった全体のメンテナンスサイクルの構築による、戦略的な維持管理とライフサイクルコスト(LCC)最適化が必要となっているという。

 こうした背景のもと、NTTコムウェア、NEC、長崎大学の3者は、橋梁の維持管理高度化を実現するソリューション提供に向け、メンテナンスサイクルの点検・診断工程での実証を行った。実証は、NTTコムウェアが設備メンテナンス&オペレーションのDXサービス「SmartMainTech」のインフラメンテナンスで培ってきた画像認識AIによる劣化検出技術と、NECの3Dデータ解析技術を連携し、長崎大学の橋梁診断の知見を得て実現した。

 ソリューション化にむけては、点検・診断・措置・計画のメンテナンスサイクルの各工程をAIで支援するとともに、基盤上にデジタルツイン化して記録を蓄積、統合的なデータ活用を可能とする。

 実証では2024年1月、長崎市内のコンクリート橋梁2基を対象に、インフラメンテナンス画像認識AIによる損傷検出や、3Dモデルでの損傷箇所管理など、NTTコムウェアとNECの技術を組み合わせて点検データを取得し、長崎大学の診断モデルへ連携することに成功した。メンテナンスサイクルにおいて、AIによる点検判定をデジタル出力し、診断を行うまでの処理フローを確立、デジタルツイン化による点検業務の省力化と品質の均一化の実現性を確認した。これらの技術が点検・診断業務に活用されることで、点検・診断業務に要する時間の約3割削減を見込むという。

 さらに、ライフサイクルコストの最適化につながる統合的なソリューション提供に向け、措置・計画工程では、修繕計画策定を支援するAIや、劣化予測AIとの組み合わせにより予防保全を可能とするなど、メンテナンスサイクル全体で蓄積したデータを分析・活用することで戦略的な維持管理を実現するために、3者で連携して取り組む。

 今後は、長崎県内の各市町村における橋梁点検業務への展開をはじめとして、全国への展開を目指すと説明。3者で連携し、点検・診断・措置・計画のメンテナンスサイクル全体を支援するソリューションを社会実装することにより、橋梁維持管理の社会インフラコストの最適化に貢献するとしている。