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NEC、「プラスチック情報流通プラットフォーム」のプロトタイプを開発

 日本電気株式会社(以下、NEC)は27日、内閣府が主導する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の研究課題「サーキュラーエコノミーシステムの構築」において、プラスチックなどの素材のライフサイクルを管理し、国内外で利用できる「プラスチック情報流通プラットフォーム」のプロトタイプを開発したと発表した。

 NECでは、消費された資源をリサイクル・再利用することなく廃棄してしまうリニアエコノミーによる社会の持続性低下が問題とされており、欧州などの先進国はサーキュラーエコノミーにシフトし始めていると説明。欧州では輸入製品のリサイクル率を定め、リサイクル率の低い製品に関しては規制を強化するなど、サーキュラーエコノミーを支える制度や仕組み、システム化が進んでおり、欧州同様に日本も透明性・信頼性の強化の観点から製品のトレーサビリティ対応が求められているという。

 開発するプラットフォームは、素材を起点とした基盤システムで、素材開発、製品製造、流通、回収、分別など、素材のライフサイクルの証跡をダッシュボード上で管理・可視化することを目指す。また、素材の特徴を示す指標である物性や再生材の情報管理機能、高い信頼性を実現するトラスト機能を組み込むことで、幅広い用途において安心して活用できるようにする。研究開発では、日々の生活において必要不可欠な素材となっている一方、その廃棄が大きな問題となっているプラスチックを対象に取り組みを始める。

プラスチック情報流通プラットフォームの仕組み

 素材ベンダーや製品ベンダー、リサイクラーが素材の製造ロット番号や原材料などの情報をプラットフォームに登録することで、素材のライフサイクルの証跡管理ができる。プラットフォームに登録された素材や製品のデータをブロックチェーン技術で分散管理するとともに、システムに保管しているデータの完全性を担保することで、第三者によるデータの改ざんができない安全性の高い証跡管理を可能にする。

 プラットフォームは、コネクタ機能により国内外の他プラットフォームとデータ連携ができるため、国内の取引だけでなく、よりトレーサビリティが求められる輸出入の際の素材や製品の証跡としても活用可能。国内では電子マニュフェストシステム、DATA-EX、Ouranos Ecosystemと、海外ではGAIA-Xなどとのデータ連携を予定する。

 NECが保有するデジタル署名・検証を利用した真正性機能と、データを秘匿化したままデータ分析・活用を行う秘密計算技術を活用することで、GAIA-Xなどの欧州データ連携基盤との接続に必要となるプライバシーやセキュリティに配慮した情報のやり取りが可能となる。

 NECでは、同研究課題に参加している東レ株式会社、アミタホールディングス株式会社と共同で、2024年4月から実証試験を開始する。また、今後、活用評価のための実証実験に参加する企業の拡大を図りつつ、プロトタイプシステムの機能強化に努め、2027年度までに社会実装を行い、自動車・建築業務など、SIPの取り組みとして200社の利用を目指すとしている。