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NEC、我孫子事業場の太陽光発電で余剰電力の本社ビルへの自己託送を開始

発電量と電力消費量の高精度な予測を可能とする独自AIを活用

NEC 我孫子事業場の太陽光発電設備

 日本電気株式会社(以下、NEC)は5日、遠隔地で発電した電力を電力会社の送配電ネットワークを利用して送電する自己託送により、NEC我孫子事業場(千葉県我孫子市)に設置する太陽光発電設備で発電した余剰電力の、NEC本社ビル(東京都港区)への送電を開始したと発表した。

 取り組みは、発電量と電力消費量の高精度な予測などを可能とするNEC独自のAI技術を活用して、高度なインバランス(需要計画と需要実績間または発電計画と発電実績間の差分)管理を実現している。

 これにより、NEC本社ビルの年間消費電力において、最大約10%を我孫子事業場からの自己託送による再生可能エネルギーでまかなうことが可能となり、CO2排出削減量も年間最大約100トンの効果を見込む。本社ビルでは、これまで電力会社が提供するグリーン電力メニューや非化石証書の活用を進めてきたが、今回の取り組みにより自社発電による再生可能エネルギーのさらなる利用拡大を実現するとしている。

 NECでは、従来から各事業場に太陽光発電設備を設置し、再生可能エネルギーの自給率向上に向けて取り組んできた。特に、通信機器の試験・評価を行う我孫子事業場では、2019年から太陽光発電や蓄電池設備の設置を進め、2021年には「我孫子実証センター」を立ち上げ、リソースアグリゲーションに関する制御技術や需要予測技術の研究開発や検証を実施している。こうした取り組みの一環として、我孫子事業場の太陽光発電設備で余剰となった電力について、NEC内の他拠点に自己託送を行う仕組みの整備を進めてきた。

 NEC本社ビルへの自己託送は、約4MWの発電能力を有する我孫子事業場の太陽光発電設備において、事業場内の消費電力が少ない休業日などに発生した余剰電力を電力会社の送配電ネットワークを利用して送電する。自己託送を行うためには、発電量と電力消費量の予測からその差分を計算して電力広域的運営推進機関に自己託送計画を提出し、自己託送当日のインバランスを管理・抑制する仕組みが必要となる。

 今回の自己託送の運用では、NECが独自開発したAIを用いることで、事業場内での消費電力の実績データや将来の気象データなどから高精度に発電量や電力消費量を予測し、さらに蓄電池設備と組み合わせることで高度なインバランス管理を実現している。

 今後も、我孫子事業場では太陽光発電設備の増設を予定しており、NEC本社ビルの需要に対して、自己託送による割合を将来的には約20%まで高めることを目指すとともに、NECグループ全体における拠点間の自己託送の取り組みを進めていくと説明。また、NECでは今回の導入実績における知見やノウハウを生かし、企業や自治体向けに提供している「NEC Energy Resource Aggregation クラウドサービス」の自己託送支援機能を強化していくとしている。