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日立ハイテクネクサス、厳密な温度モニタリングによりカンパチの付加価値を上げる実証実験
最適な輸送品質を構築し、輸送コストや環境負荷の低減を目指す
2024年1月31日 11:50
株式会社日立ハイテクネクサスは30日、垂水市漁業協同組合、株式会社萌すと連携し、「カンパチの付加価値を上げる鮮度保持に向けた実証試験」を開始すると発表した。株式会社日立製作所(日立)および株式会社日立ソリューションズが開発した温度検知QRコードラベルによる温度管理サービス「MiWAKERU」を活用し、エンドトゥエンドでの、商品の最適なコールドチェーン構築を図るという。
今回の実証試験は、鹿児島県の「令和5年度かごしまのさかな稼ぐ輸出応援事業」を活用し、垂水市漁業協同組合で水揚げされた養殖カンパチが現地の飲食店に到着するまでの間、コールドチェーン(生産地から消費地まで、所定の温度に保ったまま流通させる仕組み)を維持したままで輸送できる、最適な輸送品質の構築を目指すものだ。
具体的には、まず、貼り付けた対象物そのものの温度を検知する「MiWAKERU」の温度検知QRコードラベルをカンパチに貼り付け、カンパチ自体の温度検知を行う。また、商品ケース内外に温度ロガー(時間経過に伴う温度変化を記録可能な温度計)を設置することで、カンパチ周辺の環境温度も測定する。こうして、個品単位からコンテナ単位に至る広範囲において厳密な温度モニタリングを実施し、輸送品質の見える化を実現するという。
なお、輸送時の温度モニタリングに使用される温度ロガーでは、従来、コンテナ内や商品ケース内の空間温度をトレースしていたが、「MiWAKERU」の温度検知QRコードラベルは、温度管理対象物そのものの温度を検出できるため、細部にわたって輸送品質の見える化を実現可能な点が大きな特徴となる。
これにより、過剰もしくは過少冷却されている可能性が考えられる、コールドチェーンの実態を把握し、商品ケースに投入するカンパチ、保冷剤の最適入り数を見極めて、最適な輸送品質を構築。カンパチの付加価値向上を図るとのこと。
さらに、最適な輸送品質を構築することで、食品ロスの低減につなげるとともに、保冷剤の最適入り数の見極めにより、輸送コスト、到着地での保冷剤廃棄量、CO2排出の削減効果を検証するとしている。