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ニッセイ・ウェルス生命、仮想デスクトップ基盤を「Azure Virtual Desktop」ベースのクラウド環境へ移行

TISが移行を支援

 TIS株式会社は6日、日本生命グループのニッセイ・ウェルス生命保険株式会社(以下、ニッセイ・ウェルス生命)が、TISの支援のもとで、仮想デスクトップ基盤をクラウドへ移行したと発表した。

 ニッセイ・ウェルス生命では、データセンターのオンプレミス環境からクラウド環境への移行に注力しており、2018年には最初のクラウド化の取り組みとして、物理サーバー上の業務システムを、仮想基盤ごと日本マイクロソフトの「Azure VMware Solution(AVS)」へ移行した。

 続いて同社は、リモート環境から社内システムへの接続時にアクセスする仮想デスクトップ基盤のクラウド移行に目標に定め、プロジェクトを展開している。

 同社はこれまでの約10年間、1台の専用物理サーバー上で仮想デスクトップ基盤を運用してきたが、社外から接続する営業担当者やテレワーク従事者が900人規模にまで増加したことで、リソース不足が深刻な課題になっていたという。

 このパフォーマンスを強化するには、物理サーバーのメモリやCPU、ストレージといったリソースの拡張が必須であり、数年サイクルで訪れるサーバー保守切れへの対応など、日々の運用業務負担が大きい状況だったため、仮想デスクトップ基盤のDaaS(Desktop as a Service)移行を決定。すでに業務システム基盤として実績があるMicrosoft Azure上で提供されている、「Azure Virtual Desktop(AVD)」を移行先として選定した。

 なお移行にあたっては、将来的な社内の全PC端末のDaaS化も視野に入れ、十分な検証期間を設けて実用性や安全性を検証した上での導入決定を図るため、2021年11月にPoCをスタートさせたが、その際の支援パートナーに、業務システムのクラウド化を支援した実績から、TISを指名している。

 このPoCの結果、AVDのマルチユーザー環境は、アプリケーションを仮想化したユーザー単位での共用を前提としているため、従来の仮想デスクトップ基盤のように、仮想マシン1台ずつに業務アプリケーションをアタッチするといった使い方が想定されていないことが明らかになったが、TISでは、シトリックスが提供する仮想デスクトップの管理サービス「Citrix Cloud」をAVDにと組み合わせ、必要な機能を補完する構成を検討した。

 そして、ニッセイ・ウェルス生命が希望する、業務アプリケーションの仮想化が可能になる点と、AVD標準のコンソール画面よりも機能を強化できる点から、導入を決定。2022年4月からスタートしたプロジェクトで、TISによるクラウド環境の設計・構築やマスターイメージの作成などの支援を受け、大きな技術課題に直面することなく、3カ月で完了したという。

 なお、この新システムは導入から1年が経過し、リモート接続数は900から1200に増加しているものの、段階的にリソースを強化したことで、映像・音声が円滑に再生できないなど、これまでに発生していた課題を解消し、スムーズなMicrosoft Teams会議や、2台のモニターを同時使用する資産運用業務が、自宅で行えるようになったとのこと。

 加えて、設定画面で仮想マシンのパフォーマンスを簡単に強化できるため、Windowsのバージョンアップで要求されるリソース増にも対応できているとした。

 さらに、以前の環境では、Windows認証とは別に、デスクトップ仮想化基盤にログインする作業が必要であったため、認証手順の問い合わせが非常に多かったが、Citrix CloudではMicrosoft Entra ID(旧称:Azure AD)と同一のID・パスワードで自動ログインできることから、認証手順の問い合わせがほとんどなくなったとしている。

 あわせて、TISのVDI運用サービスを利用し、仮想デスクトップ基盤の運用管理業務の大半をアウトソーシングしているので、マイクロソフトの月次更新パッチの適用や、リソースの拡張、特定部署用のマスターイメージ作成などの対応のために、専属の要員を社内に常駐させる必要がなくなったとのことだ。