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日本HP、ハイブリッドワーク環境を向上する新ソリューションを提供

KDDIとの協業による、データ通信5年間無制限のモバイルPCなど

 株式会社日本HPは16日、ハイブリッドワークに適したPC環境を実現する新たな法人向けソリューションを発表した。同日には、ハイブリッドワークに関する取り組みや新ソリューションの概要などについて説明会が行われた。

会見で握手する日本HP 代表取締役 社長執行役員の岡戸伸樹氏(左)とKDDI 執行役員常務 ソリューション事業本部 ビジネスデザイン本部長の那谷雅敏氏

 今回新たに発表したのは、KDDIとの協業によるMVNOサービス「HP eSIM Connect」を利用した法人向けデータ通信5年間無制限モバイルPCと、最新AMDプロセッサ搭載のデスクトップワークステーション「HP Z6 G5 A」、電源オフ・通信オフラインの状態で利用できるMDM(モバイルデバイスマネジメント)ソリューション「HP Protect and Trace with Wolf Connect」。あわせて、2022年9月に統合したPolyブランドから、Polyルームソリューション向けVideo OSと、最新ワイヤレスヘッドセット「Poly Voyager Surround 80 UC」も紹介した。これらのソリューションによって、ハイブリッドワーク環境における通信、セキュリティ、コミュニケーションの向上を支援していく。

ハイブリッドワークを支援するソリューション

 日本HP 代表取締役 社長執行役員の岡戸伸樹氏は、新ソリューションを提供する背景について、「HPが今年6~7月に世界12か国で行った独自調査『HPワークリレーションシップ・インデックス』によると、仕事と従業員との良好な関係構築につながる主な要因として『充実感』『リーダーシップ』『人中心主義』『スキル』『ツール』『ワークプレイス』の6つが挙がり、この2~3年で従業員が仕事に期待することが劇的に変化していることがわかった。特に、新しい働き方において重要な『ツール』と『ワークプレイス』については、従業員の期待値と現実の間に大きなギャップが生じていた。そこで今回、このギャップを解消し、コロナ禍を経て導入期から定着期へとシフトしつつあるハイブリッドワーク環境のさらなる向上を実現するソリューションをリリースする」と説明した。

日本HP 代表取締役 社長執行役員の岡戸伸樹氏

 まず、ハイブリッドワークの通信環境の向上に向けては、KDDIと協業し、au回線を利用したMVNOサービス「HP eSIM Connect」による法人向けデータ通信5年間無制限モバイルPCを本日から販売開始する。日本HPとの協業にあたり、KDDI 執行役員常務 ソリューション事業本部 ビジネスデザイン本部長の那谷雅敏氏は、「今回の協業で日本HPは、NVMO事業者となり、au回線を利用した通信サービスを提供可能となった。これにより、法人向けデータ通信が5年間使い放題という素晴らしいモバイルPCが実現したと思っている。従来のモバイルPCは、本体とは別に通信サービスを契約していたが、これをシームレスにワンストップで提供することで、本体を買ってすぐに常時接続を使うことが可能になる。このことは通信キャリアにとっても非常に価値があるものであり、当社では今後、同ソリューションの活用が広がるよう全面的にバックアップしていく」との考えを述べた。

KDDI 執行役員常務 ソリューション事業本部 ビジネスデザイン本部長の那谷雅敏氏

 「HP eSIM Connect」対応モデルとしては、13.5インチ型ハイエンドモバイル「HP Dragonfly G4」と、14インチ型スタンダードノート「HP ProBook 445 G10」の2機種をラインアップ。「HP Dragonfly G4」にはLTE/5G通信モジュールを搭載、「HP ProBook 445 G10」にはLTE通信モジュールを搭載し、5年間のデータ量無制限auネットワーク通信サービス利用権(法人限定)が付いた常時接続モデルとなっている。価格は、「HP Dragonfly G4」が39万8200円から、「HP ProBook 445 G10」が25万4980円から。

写真左から:HP Dragonfly G4 法人限定 HP eSIM Connectモデル、HP ProBook 445 G10 法人限定 HP eSIM Connectモデル

 日本HP パーソナルシステムズ事業本部 CMIT製品部 部長の岡宣明氏は、常時接続モバイルPCを導入するメリットについて、「当社が実施したオンライン調査では、リモートワーク中の従業員の76%が、Web会議で通信の切断や遅延などのトラブルを経験したことがあると答えていた。また、エンタープライズ企業のIT部門の69%が、通信環境がクラウド利用やPC管理のボトルネックになると回答する一方で、66%が4G LTEや5Gの導入を妨げる理由として通信コストを挙げていた。こうした課題に対して、今回の常時接続モバイルPCを活用することで、オンライン上での開通申請やアプリによる簡単設定など、通信開通プロセスの工数を大幅に削減できる。また、SIMカードやモバイルルーターの管理コストを削減するとともに、データ容量無制限、速度制限なしで4G LTE/5G対応の通信サービスを常時使うことができる」としている。

日本HP パーソナルシステムズ事業本部 CMIT製品部 部長の岡宣明氏

 また、ハイブリッドワークのパフォーマンス向上として、最新のAMD Ryzen Threadripper Pro 7000 WXシリーズを搭載したデスクトップワークステーション「HP Z6 G5 A」を12月中旬から販売開始する。同製品は、バーチャルプロダクションや3Dレンダリング、AI、機械学習などの用途に対応するよう設計された新モデルで、HPワークステーションで最多の96コアを備え、最大3枚のハイエンドグラフィックスカードを構成することができ、高い生産性とパフォーマンスを実現する。さらに、リモートデスクトップソリューション「HP Anyware」により、ハイブリッドワーク環境でも優れたワークステーションパワーを利用できる。さまざまなネットワーク接続下で、高い色精度と低遅延な3D VFXやAI、機械学習ワークフローを実現する。価格は49万5000円から。

デスクトップワークステーション「HP Z6 G5 A」

 ハイブリッドワークのセキュリティ向上に向けては、電源オフ・通信オフラインの状態で利用できるMDMソリューション「HP Protect and Trace with Wolf Connect」を2024年2月以降にリリースする。同ソリューションでは、電源オフ時やインターネットに接続されていないときでもPCの位置情報を検索し、ロック、データ消去を行うことが可能となる。携帯電話ネットワークを利用することで、接続性が安定するため、IT部門は、各地のハイブリッドワーカーのPCを容易かつ確実に管理でき、ハイブリッド環境の従業員はデータとデバイスが安全に管理されている環境で安全に仕事をすることができる。

 日本HP ワークフォースソリューション事業本部 サービスビジネス部 担当マネージャーの中宏樹氏は、「既存の一般的なMDMソリューションは、ノートPCを管理するために、本体の電源が入っているか、ネットワークに接続されている必要がある。これに対して、『HP Protect and Trace with Wolf Connect』では、紛失または盗難されたノートPCが電源オフ状態、またはWi-Fiやインターネットに接続されていない場合でも、グローバルレベルでノートPCのデータを保護する。NIST(米国国立標準技術研究所)が定めるパージ(除去)レベルをクリアするデータ消去を遠隔から実施できるほか、強力な操作ロックや現在地の探索も可能。ハイブリッドワークで使用するHP製PCのリモート管理の信頼性を大幅に向上できる」と、デモを交えながらメリットを訴えた。

日本HP ワークフォースソリューション事業本部 サービスビジネス部 担当マネージャーの中宏樹氏

 最後に、ハイブリッドワークのコミュニケーション向上に向けたソリューションとして、Polyルームソリューション向けVideo OSおよび最新ワイヤレスヘッドセット「Poly Voyager Surround 80 UC」を紹介した。

 日本HP ハイブリッドワークソリューション ペリフェラル プロダクトマネージャーの是枝日登志氏は、Polyルームソリューション向けVideo OSの特徴について、「Poly製品は、ファームウェアの更新によって常に最新技術を提供している。最新の映像技術『Poly DirectorAI Perimeter』では、ガラス張りやオープンスペースの会議室でも、参加者だけを正確にフレーミングすることができる。カメラがとらえる映像の範囲をあらかじめ指定しておくことで、自動カメラトラッキングの精度を向上し、ガラスや窓越しの顔を映しだすのを防ぐ。また、音声品質を補正する『Sound Reflection Reduction』では、ガラスの壁や硬い表面によって引き起こされる残響やエコーを低減し、快適なコミュニケーションを実現する」と説明した。

日本HP ハイブリッドワークソリューション ペリフェラル プロダクトマネージャーの是枝日登志氏

 「Poly Voyager Surround 80 UC」は、集中力や没入感を高めることにこだわって設計されたオーバーイヤー式のブームレスワイヤレスヘッドセット。臨場感ある豊かなオーディオと適応型アクティブノイズキャンセリング(Adaptive ANC)により、周囲の雑音を遮断し集中力を維持、自分の声だけを相手に伝える。また、洗練されたデザインで、柔らかいイヤークッションと調節可能なヘッドバンドは長時間の快適な装着感を実現する。通話時間は最大21時間、自動通話応答のためのスマートセンサーを使用し、優れた操作性を維持することができる。価格は6万9740円。

ワイヤレスヘッドセット「Poly Voyager Surround 80 UC」