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児童相談所の業務負荷軽減をAI活用で支援――、NECと静岡市が新システムを構築

システム全体イメージ

 日本電気株式会社(以下、NEC)は13日、AIを活用して、児童相談所の業務負荷を軽減するシステムを静岡市と構築すると発表した。静岡市の児童相談所にて2024年4月から運用開始となる予定で、2022年12月~2023年3月に行った実証実験では、約54%の対応の質向上、約33%の業務時間削減を実現したという。

 今回開発するシステムは、業務負荷が増大する一方で、ベテラン職員が減少しつつある児童相談所の職員を支援するためのもの。児童相談所内のリスクアセスメントデータと、それにひも付くベテラン職員の知見・ノウハウをAIに学習させることで、児童虐待対応における通告時、調査時、処遇時の各フェーズに応じて、通告内容の過去類似事例や、ベテラン職員からのアドバイスなどの有益な情報を提示してくれるという。

 なお、同システムは伴走ツールとして補助的に使用するものであり、経験の浅い職員でもベテラン職員と同じような着想で行動することを支援し、組織全体の対応の質向上を実現する。また、システムにはNECソリューションイノベータのホワイトボックス型AIを搭載しており、AIが提示した情報の選定根拠が確認できるとしている。

AIによるアドバイス画面のイメージ

 さらに、職員の業務において負担となっている、面談記録や会議の文字起こしを音声認識AIにより自動で行う機能も備えた。児童相談における専門的な用語を学習したAIを搭載しているため、認識精度が高く、記録業務の効率化を図れるとのこと。

 加えて、虐待の初動対応は“48時間ルール”に基づきスピード感を持って行われるため、音声入力やタブレット端末へのタッチ入力により、システム操作の手間を最小限に抑えるよう設計しているという。

 NECではシステムの導入にあたり、静岡市に対して、このシステムの操作に関する内容だけではなく、AIを活用したシステムの特徴と注意点について適切に理解してもらうための研修を実施する予定だ。

 なおNECでは、静岡市での実績を生かして、全国の児童相談所への展開を見据え、電話による通告時の音声文字化など、音声認識AIのさらなる機能強化を進めていく考えである。