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Red Hatはオープンソースのスピードでイノベーションを育んでいる――、マット・ヒックスCEOが初の来日会見

日本法人新社長の三浦美穂氏も

 レッドハット株式会社が都内で開催した年次イベント「Red Hat Summit: Connect 2023」にあわせ、レッドハット株式会社の代表取締役社長の三浦美穂氏と、米Red Hatの社長兼CEOのMatt Hicks(マット・ヒックス)氏の記者会見が10月11日に開かれた。

 三浦氏は7月1日付けで社長に就任しており、今回がレッドハット株式会社社長としての初めての記者会見。またHicks氏は2022年7月にRed HatのCEOに就任し、今回が日本での初めての記者会見となる。

レッドハット株式会社 代表取締役社長の三浦美穂氏(右)と、米Red Hat 社長兼CEOのMatt Hicks氏(左)
「Red Hat Summit: Connect 2023」

「カルチャーのバトンを受け継ぐ」

 三浦氏は会見の冒頭で、7月に社長に就任して前任の岡玄樹氏から「カルチャーのバトンを受け継ぐ」と語った。

 具体的には3つ。1つめは、「レッドハットのビジネスモデルを継承する」、つまりオープンソースをベースにサブスクリプションで企業に使ってもらうことで、三浦氏はこれを一丁目一番地だとした。2つめは「オープンソース業界への貢献と高い技術力を正しく伝える」で、レッドハットの高い技術力を日本ではまだすべてを正しく伝えきれていないところがあるとして、メディアや教育プログラムなどを通じて伝えていくと語った。

 3つめは「対話による信頼関係の構築」。プロダクトアウトに「OpenShiftいりませんか?」というのではなく、「本当にお客さまやパートナーが必要としている困り事、やりたいと思っている変革をきちんと伺って、それに寄り添って進められる会社になりたい」と三浦氏は述べた。

レッドハット株式会社 代表取締役社長 三浦美穂氏
7月に社長に就任して「カルチャーのバトンを受け継ぐ」

 その上で三浦氏は、2023~2024年の日本国内での成長戦略を語った。中心となるのは、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)・OpenShift・Ansibleといった「コアビジネスの拡大」、クラウドプロバイダーと協業してその上での「クラウドサービスの確立」、そして三浦氏が「日本では2~3年先だが、成長の糧になると考えている」とする「エッジビジネスの基盤」の3つだ。

 そしてそれを下支えするのが、顧客がアジャイルやデジタルトランスフォーメーションへと社内文化を変えることの、伴走型のコンサルティングだ。「そこのケーパビリティを日本で特に評価されている」と三浦氏は語った。

 さらに、レッドハット1社では実現できないとして、SIerやISVなどのパートナー企業と協力して取り組むことも氏は挙げた。

2023~2024年の日本国内での成長戦略

 三浦氏は最新の顧客事例も紹介した。1つめは関西電力系列の通信事業者・小売電力会社の株式会社オプテージの事例で、10月5日に発表された。顧客のニーズに柔軟に対応するSoEアプリケーションのプラットフォームとしてOpenShiftを採用。さらにRed Hat Advanced Cluster Management for KubernetesとRed Hat Quayも採用した。

 2つめは第一生命保険株式会社・第一生命情報システム株式会社の事例で、会見と同じ10月11日に発表された。サーバー構築台数が増加するなかでAnsible Automation Platformを採用し、構築までの時間を約80%短縮した。

最新の顧客事例:株式会社オプテージと、第一生命保険株式会社・第一生命情報システム株式会社

「Red Hatはオープンソースのスピードでやっている」

 Matt Hicks氏は、Red Hatのビジネスのモデルについて説明した。

 氏は、現代は圧倒的な技術変化の中にあり、その中でRed Hatのモデルはオープンソースに基づいていると言う。Linuxに見るように、オープンソースは世界中の開発者により驚くべきスピードで進歩しており、「Red Hatはそのスピードでやっている」と語った。そして、そうしたイノベーションを育み、企業が使えるようにする橋渡しの役割だと説明した。

 また、プラットフォームビジネスについて説明。OpenShiftでモダンなアプリケーションを複数のマシンにまたがって安定して動かし、構築の複雑なオペレーションをAnsibleで共通化し、それをRHELに適用するのがコアのプラットフォームだとした。

 さらに、どんなアプリケーションもどこにでもデプロイできるようにする必要性を語り、データセンターやクラウドだけでなくエッジでも同じように動かす重要性を述べた。

米Red Hat 社長兼CEOのMatt Hicks氏

基調講演では最新製品デモも

 「Red Hat Summit: Connect 2023」の基調講演では、Hicks氏と三浦氏の講演のほか、株式会社日本総合研究所 代表取締役社長の谷崎勝教氏に三浦氏が聞く対談も行われた。谷崎氏はデジタルイノベーションを「デジタル技術で企業や社会を変革する」ことだとし、新しい組織文化を根付かせる上でRed Hat元CEOのJim Whitehurst氏の著書「オープン・オーガニゼーション」を参考にしたことを語った。

株式会社日本総合研究所 代表取締役社長 谷崎勝教氏

 また、5月に米国で開催された「Red Hat Summit」でも行われた最新製品デモも行われた。デモは、「開発者」「自動化」「インフラ」「セキュリティ」の4分野。「開発者」では社内開発者ポータルの「Red Hat Developer Hub」とMLOpsプラットフォームの「Red Hat OpenShift AI」を、「自動化」ではAnsibleのプレイブック作成を生成AIが助ける「Ansible Lightspeed」とイベントをトリガーにAnsibleを実行する「Event-Driven Ansible」を、「インフラ」では「Red Hat Insights」からのOSイメージの作成・デプロイやセキュリティ情報の影響把握を、「セキュリティ」では「Trusted Pipeline」など開発から運用までライフタイムの各ステージにおけるセキュリティ確認を見せた。

「Red Hat Developer Hub」
「Ansible Lightspeed」。提案されたコードの元の情報も表示できる
「Red Hat Insights」からImage BuilderでOSイメージを作成
「Red Hat Insights」で脆弱性情報と自システムへの影響を見る
「Trusted Pipeline」でのセキュリティ確認