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DNP、自社従業員向けコンビニで顔認証決済の実証実験を開始

 大日本印刷株式会社(以下、DNP)は7日、DNPの従業員専用の店舗である、DNP市谷加賀町第3ビル内のコンビニエンスストア「ナチュラルローソンDNP加賀町アトリウム店」にて、顔認証を活用した決済サービスの実証実験を行うと発表した。期間は9月4日~11月30日で、顔認証決済に関して、小売業界やサービス業界における有用性と利用者の受容性などを評価・検証するとしている。

 小売業界では現在、店舗での販売員等の人手不足や、感染防止の観点などから、生活者自身が決済するセルフレジや無人店舗のニーズが高まっているが、現状のセルフレジ等の仕組みでは、年齢制限などがある特定の商品を販売する際に対象者を確認できないといった課題があるという。

 DNPではこれまでも、こうした課題の解決に向けて、自身の顔写真を一度登録するだけで複数のサービスを利用できる認証の仕組みや、本人確認・年齢確認の機能を持つ顔認証決済サービスの検討を進めてきた。今回はそうした取り組みの一環として、小売店への導入に向けた実証実験を実施するとのこと。

 この実証実験では、店舗を利用する社員が、専用の登録アプリで事前に顔写真を撮影・登録しておくと、対象のコンビニエンスストアのレジに導入した顔認証対応の端末を用いて、商品を購入できるようになる。利用客は、顔の特徴をもとに個人の判別を行って認証され、決済時に、カードや現金、スマートフォン用アプリなどは不要。パスワード入力などの動作も必要ないため、利用者がパスワードを忘れたり入力を間違えたりすることもないという。

 また、料金の支払いは社員証決済と連動しており、社員証決済が可能なDNPグループ社員は誰でも利用できる。なおDNPでは、同社が長年培ってきた個人情報管理のノウハウを生かして、高いセキュリティ環境を構築しているので、利用者は安心して決済を行えるとした。

 システム面については、顔写真を登録するWebサイトの構築、顔写真を含む個人情報の保管、顔認証アプリの開発、店頭什器の制作など、顔写真データの登録から利用・保管まで一貫してDNPが実施する。加えて、利用者ができるだけ簡潔かつ直観的に顔認証決済を行えるようにアプリを設計している点も特徴で、社員情報を使ったシングルサインオンによって、スムーズに本人認証を行うとともに、支払い方法を社員証決済に連動することで、安全・安心かつシームレスな顔認証決済を実現した。

 DNPでは、今回の実証実験の成果をもとに、高度なセキュリティと利便性の高さを併せ持つ顔認証サービスの開発を進めていく考え。さらに、小売業やサービス業の無人店舗・省人化店舗の効率的な運営の実現に向け、顔認証決済の有用性を評価・分析するなど、店舗での顔認証サービスの導入に向けた効果と課題を把握して、生活者の買い物体験価値の向上に貢献するとしている。