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IBM Consulting、企業の生成AI導入加速に向けマイクロソフトとの協業を強化

 米IBMは17日(現地時間)、米Microsoft(以下、マイクロソフト)との協業を強化し、企業の生成AI導入の加速に向け、ビジネスプロセスを刷新し、生成AIの活用を効果的に拡大していくために必要な専門知識と技術を提供する新たなサービスを発表した。

 IBM Consultingとマイクロソフトの協業強化により、両社は企業のAzure OpenAI Serviceの実装と適用拡大の支援に注力していく。新たなオファリング「IBM Consulting Azure OpenAI Service」は、デベロッパーやデータサイエンティストが、GPTシリーズやCodexシリーズを含む強力な大規模言語モデル(LLM)を適用できるフルマネージドAIサービスで、Azure Marketplaceで提供される。企業の生成AI導入戦略と、固有かつ付加価値のある初期生成AIユースケース策定の支援を目的としている。

 この新サービスに加え、IBMとマイクロソフトは、IBM ConsultingのスキルとAzure OpenAI Serviceを活用し、将来性のある解決策を作り出したり特定のユースケースに取り組んだりするため、AIに関する協業を進めていく。

 調達とソーシングについては、両社が共同で、Microsoft Power PlatformとAzure OpenAI Serviceを組み合わせた「IBM Consulting Global S2P Platform」を提供。企業が手作業に依存し、断片化した調達・購買プロセスを自動化し、サプライチェーンに関する新たな洞察を得られるよう支援する。このサービスは、業務効率の改善や時間の削減、ユーザー向けの新しい実用的な洞察を生成するように設計されている。

 要約とコンテンツ生成については、金融機関や銀行は、生成AIの要約を通じて、顧客向けにカスタマイズしたコンテンツの開発をどのように加速できるかを模索していると説明。例えば、IBM Consultingとマイクロソフトは、ジュリアス・ベア・グループとのハッカソンで、財務レポートを効率的に処理し要約すると同時に、レポートの音声バージョンを自動的に作成するユースケースに取り組んだという。

 医療プロセスの合理化については、IBM ConsultingはAzure OpenAI Serviceを活用して、複雑な医療記録や医療方針を自動的に取り込み分析することで、事前承認プロセスの自動化を支援する「IBM Consulting Prior Authorization OpenAI Solution」を提供する。さらに、医師や看護師が患者の医療記録から情報の収集を支援するバーチャルアシスタントを開発した。このサービスは、事前承認リクエストの処理に必要な時間を短縮し、管理負担を軽減し、臨床医の体験向上することを目的としている。

 エンタープライズサーチとナレッジベースの事例としては、IBM Consultingとマイクロソフトは、Wintershall Deaの膨大なナレッジベース内の情報検索用に設計された、ナレッジ抽出ツールの実装を共同で支援した。OCRとMicrosoft Azure OpenAI Serviceを統合することで、手作業によるブラウジングを不要としたユーザーフレンドリーなツールが開発され、ユーザーは価値ある洞察を簡単に検索できるようになったとしている。