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NECなど4社、河川災害対策にローカル5Gなどを活用する実証実験を実施

 国際航業株式会社、日本電気株式会社(以下、NEC)、西尾レントオール株式会社、電気興業株式会社(以下、DKK)の4社は24日、総務省の「課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証(特殊な環境における実証事業)」において、ローカル5Gを活用した河川災害におけるリアルタイムな状況把握と安全かつ迅速な応急復旧の実現を目的とした提案を行い、採択されたと発表した。

 実証事業では、東京都北区および足立区(荒川下流域)において、河川区域内にローカル5G環境を構築し、ドローンを活用した高精細映像のリアルタイム伝送による被害状況の迅速な把握や、三次元地形データの作成および建機の無人化施工による安全かつ迅速な応急復旧、平常時の河川管理の高度化・効率化の実現に向けた実証を行う。

 気候変動が引き起こす異常気象などにより災害が激甚化・大規模化する中、洪水などの災害が発生した場合には、対応にあたる関係者間で状況を素早く共有し、避難指示や応急復旧などの意思決定を迅速かつ的確に行うことが求められる。

 これらの状況に対応するため、ドローンの活用による被災地の高精細映像の取得や、水位低下後の河川周辺の地形画像を活用した三次元地形モデルの作成、高精細映像の活用による無人化施工建機の安全かつ迅速な応急復旧など、近年は被災状況の詳細な把握を可能とする技術が開発されている。一方で、これらの技術を活用するために必要なデータは容量が非常に大きくなるため、高速大容量で低遅延かつ多数同時接続の特徴を持ち、独立したネットワーク網を構築できるローカル5Gの活用が期待されるという。

実験イメージ(災害時対応のイメージ)

 こうした背景を踏まえ、実証では、河川災害時におけるローカル5Gなどを活用した情報収集と応急復旧の迅速化に関する技術実証と課題実証の2つの実証を行う。

 技術実証では、1)河川の線状地形を考慮した置局(カバーエリア、調整対象区域)と電波伝搬モデル精緻化、2)災害時の復旧進捗を想定し、河川の堤内地、堤外地を考慮した電波伝搬モデル精緻化、3)レピータおよび複数基地局を使用し、河川の線状地形におけるカバーエリアの改善・柔軟性向上――を実施。河川の特殊な線状地形における電波伝搬モデルの精緻化や、中継器を使用した柔軟な電波カバーエリアの構築を行い、データ容量の制限や送受信の遅延の少ない安定した通信環境の提供に向けた取り組みを行う。

 課題実証では、1)災害発生段階におけるドローンによる高精細映像のリアルタイム伝送、2)応急復旧段階におけるドローンによる静止画のリアルタイム伝送、3D地形データ作成、復旧設計データ作成の作業効率化、3)応急復旧段階における施工データの取得から無人化施工までの安全性の向上かつ作業効率化――を実施。ドローンによる高精細映像のリアルタイム伝送および、無人化施工建機を活用した復旧作業の効率化の実現に向けた有効性の評価、課題の抽出、実装に向けた具体的な検討を行う。さらに、これらの仕組みを平常時から活用するため、河川の巡視や点検、施工監理などでの実装に向け、船舶上のカメラからのデータ伝送試験を行う。

 実証実験の概要の時期は2023年1月下旬から2月中旬。場所は荒川下流域(東京都北区岩淵地区、足立区新田地区)。実証において、国際航業はプロジェクトの推進・管理、課題実証の総括、検証、ローカル5G端末搭載ドローン、3次元空間解析技術の提供を担当。NECは、技術実証の総括、検証、ローカル5Gの機器の調達、設計を担当する。西尾レントオールは、課題実証(無人化施工建機)の検証を担当。DKKは、ローカル5Gを搭載した可搬型機器の調達、設計、中継器(レピータ)の調達、設計を担当する。