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NECファシリティーズ、リアルタイム映像解析による工場設備の異常検知システム「NEC DFM PresagioⅡ」を構築

 NECファシリティーズ株式会社は20日、施設管理業務の強化に向けて、リアルタイム映像解析による工場設備の異常予兆検知システム「NEC DFM PresagioⅡ」を構築したと発表した。

 NECファシリティーズでは、工場設備の経年劣化に伴い、ボイラーなど各種インフラ設備の状態管理の重要性が高まっているが、一般的な工場設備には遠隔での集中監視ができていないものが数多く、点検作業者による巡回点検で設備の稼働状況や異常の有無を監視していると説明。点検作業者には多数の点検ポイントを理解し、点検結果から設備の状態を判定するノウハウが必要で、その習得には5年から10年の期間を要するが、昨今の人材リソース不足により、点検作業者の確保および育成に時間をかけることが難しくなっており、また、現状の集中監視システムも老朽化対応や改修のコスト負担増加などの課題を抱えているという。

 こうした課題に対し、NECファシリティーズでは2021年4月に3Dウォークスルービューと振動診断の仕組みを組み合わせた、設備の異常予兆検知システム「NEC DFM Presagio」を発表し、これを活用した巡回点検作業の効率化に取り組んできた。さらに、キヤノンマーケティングジャパン株式会社の協力を得て、生産現場の自動化など生産性向上を支援する、キヤノンの画像処理ソフトウェア「Vision Edition」の機能を追加したNEC DFM PresagioⅡを活用して、点検作業者による巡回点検業務から自動監視への代替に向けた運用を始めた。

 NEC DFM PresagioⅡを活用した目視点検作業では、半導体工場を中心に蓄積してきた施設管理業務のノウハウを有するNECファシリティーズの熟練技術者が、多くの点検対象設備の中から重点監視ポイントを選定する。選定した監視ポイントを画像処理ソフトウェアに登録することにより、監視カメラが監視ポイントを自動撮影し、異常の有無を判定する。

 画像処理ソフトウェアのVision Editionが、アナログメーターの読み取りや数字の認識など、映像の種類に合わせてリアルタイムで映像を解析する。NECファシリティーズの施設管理ノウハウを生かし、複数の監視ポイントの解析結果を組み合わせて、異常を判定できるロジック(判定フロー)を画像処理ソフトウェアに搭載することで、単一の監視ポイント異常だけではなく、設備の系統全体での異常判定を実施する。

異常予兆検知システム「NEC DFM PresagioⅡ」の全体像(赤枠が今回の追加機能)

 NECファシリティーズでは、新システムを活用することで、施設管理業務の大半を占める目視点検作業の8割程度を削減し、点検作業者に依存しがちな判断基準を均一化できると見込んでいると説明。今後、システムを活用して、施設管理業務のアウトソーシングサービスの作業効率と品質を向上していくとしている。また、12月20日から、NEC玉川事業場(神奈川県川崎市)で受託している施設管理業務において、新システムの運用を開始した。

 今後は、キヤノンマーケティングジャパンと協力し、水漏れ、蒸気漏れなどのトラブル検知に取り組み、異常予兆検知システムの機能をさらに拡張することで、目視点検作業の代替範囲を拡大する計画と説明。NEC DFM PresagioⅡが、施設管理業務のアウトソーシングを一層拡大するものと位付け、Total IFM(Integrated Facility Management)を通じた工場施設運営事業において、2025年に2000億円の売り上げを目指すとしている。