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日立とJR東日本、鉄道設備の復旧対応を支援するAIシステムを開発 2023年春から首都圏指令にて運用開始予定

 株式会社日立製作所(以下、日立)は28日、鉄道設備の輸送障害発生時に、指令員による早期の障害原因の特定や復旧方法の指示を行えるAIシステムを開発し、東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR東日本)との現場実証を経て実用化したと発表した。

 このシステムは、鉄道設備の輸送障害発生時に、設備の状態確認を実施すべき箇所や原因の絞り込みを行うことで、指令員による早期の障害原因の特定と、復旧方法の指示を可能とするもの。日立が独自開発した、膨大な過去の記録から類似事象を判定・抽出するリコメンドAI技術を用いた「オペレーション・リコメンデーションシステム」をベースとする。

 具体的には、障害発生時、発生したエラー内容や現場で行った確認事項を、現場の後方支援や指示を司る指令員が入力すると、日立独自のリコメンドAI技術により、過去の障害対応に関する記録から類似度の高い事象を判定して、ダッシュボードにて一覧化し、過去の類似事象の原因や対策をグラフィカルに分かりやすく提示してくれるという。

 また、人の経験や知識からは類似性に気付くことが困難な、発生頻度の低い稀な事象についても、発生事象の稀さ(レア度)を加味した類似度判定により、類似事象を抽出・提示できるとした。

 なおJR東日本と日立では、2020年4月から共同で、同システムの実証実験(PoC)を軌道回路にて行ってきたが、その有効性を確認できたため、2023年4月より山手線などの首都圏在来線にて本番運用を開始する。PoCでは、従来、復旧に約2時間を要した事象に対して、1時間程度に短縮ができる結果を得るなど、50%程度の復旧時間の短縮が確認されたとのことだ。