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国内データセンター市場は年平均9.4%で成長継続、事業者には省エネ対策が求められる~デロイト トーマツ ミック経済研究所調査

 デロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社は19日、国内のデータセンター市場と消費電力に関する調査「省エネ・ゼロエミッション化に向けたデータセンタ市場の実態と将来予測2022年度版」(調査期間:2022年6月~9月)を発刊したと発表した。

 日本国内のデータセンター(DC)市場の売上高やデータセンターの消費電力量、延床面積、省エネ対策などについて、主要データセンター事業者・クラウドベンダー25社の面接取材による個別実態調査と過去調査データにより全体を推計している。

 調査では、データセンター市場を「ハウジング、ホスティング、クラウド(SaaS・ASP、PaaS、IaaSなど)サービス関連売上」と定義。データセンター消費電力量を「IT機器消費電力量:データセンター内のサーバー、ストレージ、ネットワーク機器等の消費電力量」と「ファシリティ設備消費電力量:データセンター内の空調機器、電源設備(UPS他)、照明、その他設備の消費電力量」と定義している。

 2021年度の国内データセンター市場は3兆9575億円(前年度比9.8%増)、国内商用DCの消費電力量は199.5億kWh(同3.5%増)となった。市場拡大に合わせてデータセンター消費電力も増えるが、ファシリティ設備の消費電力を抑えた最新鋭データセンターの稼働率向上や既設データセンターでの継続的な省エネ対策により、ファシリティ設備の消費量が抑えられ、消費電力量全体はデータセンター市場の成長を下回ったと分析している。

 資源エネルギー庁が発表するエネルギー需給実績より、2020年の総消費電力量(9135億kWh)に占めるデータセンターの消費電力の割合は2.1%となった。企業システムのアウトソース活用、AIやIoTなどの稼働アップも見込まれるため、データセンターの消費電力量は年を追うごとに増えることが想定され、2030年には総消費電力量予測(8640億kWh)に対して、データセンター消費電力(268.7億kWh)の割合は3.1%になると推定している。

 日本国内の消費電力削減に向けては、企業のITシステムのアウトソーシング化が進められ、その成果として、総消費電力の数パーセントで稼働するデータセンターに多くのITシステムが集約されたと分析。国内全体の消費電力量削減に寄与するデータセンターだが、今後は2030年までの10年間で総消費電力量が約5%減となるのに対し、データセンターの消費電力量は約40%増となるため、データセンターには一層の省エネ対応が求められると指摘している。

 2022年の省エネ法改正では、データセンターのベンチマーク指標は「PUE値1.4以下」が定められている。新設データセンターについてはその省エネ効率は高く、ベンチマークの達成は見込まれるが、国内のデータセンター施設数の半数超を占める、2010年以前に開設された旧来型データセンターは省エネ対策を進めた結果で、現在のPUE値は「1.4~1.8程度」になったという。旧来型データセンターは満床状況での稼働が大半で、省エネへの大幅な追加投資が難しいため、当面PUE値向上は見込めない状況となっているとしている。

 なお、「2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること)」に向けたグリーン成長戦略では、「データセンターは2040年までのカーボンニュートラル」が目標として定められ、データセンター事業者は中長期計画にて、データセンター稼働の効率化、省エネ対応とともに、脱炭素化も並行して進めなければならない課題もあるとしている。

データセンター(DC)市場とデータセンター消費電力量の推移予測(2020~2026年度)