ニュース

DNP、実世界の人流データを活用したOMO型マーケティングサービスを提供

オンライン/オフライン双方のデータ解析や連動、デジタル広告など、企業のマーケティング活動を支援

 大日本印刷株式会社(以下、DNP)は15日、米Nearと協業し、実世界の人流データを活用したOMO(Online Merges withOffline)型マーケティングサービスを発表した。DNP独自の広告取引経済圏「DNP Marketplace」に組み込んで提供開始する。

 Nearは、世界規模でオフラインの行動データを保有し、企業のマーケティング支援やビックデータの解析、デジタル広告サービス等を展開する企業。DNPは、同社と提携することにより、本人の同意を前提に取得した生活者の位置情報と、基盤となる地図情報をAIで解析し、高精度なターゲティング広告を実現できるサービスを提供する。

 具体的なサービスとしては、DNP独自の広告取引経済圏である「DNP Marketplace」に、プライバシーに配慮した「OMO型のNearサービス」を組み込み、各企業への提供を開始するとした。

実世界の人流データを可視化(イメージ図)

 この新サービスでは、国内の約5000万人がスマートフォン等のアプリの利用を通じて提供している位置情報と、約500万件の場所データをマッチングさせ、匿名の状態で生活者の行動を可視化する。こうした“人流ビッグデータ”を用いて、実店舗等の利用者やその近くにいる生活者を抽出するほか、匿名の生活者の、来店までのルート(起点・滞在地・訪問先等)を確認できるという。

 さらに、上記のデータを、企業が保有する会員データ(ファーストパーティーデータ)と連動させることによって、店舗を訪問したりサービスを利用したりする会員の行動や嗜好などの、一層の理解につなげることが可能。加えて、過去の訪問履歴を利用し、実際に来店した生活者にデジタル広告を配信することで、さらなる来店の促進につなげられるとした。

 また、地図上の情報(地点名・ランドマーク・店舗名・ブランド名等)と生活者の情報(年齢層・性別等)を指定することにより、来店者数を可視化し、その対象者に広告を配信することもできる。

 このほか、デジタル広告を用いたキャンペーンの際に、各広告の識別IDと対象店舗等の地点を登録し、キャンペーン実施後の来店者の計測を行う機能を備えているので、広告をきっかけとした来店効果の計測(アトリビューション計測)も行えるとのことだ。

 なお、新サービスを活用して大手小売企業で実施した実証実験では、人流データの解析によって来店顧客の理解が深まり、Nearの広告配信で従来のデジタル広告と比較して約300%増の反応が得られ、1.69倍の来店促進につながったほか、競合店の顧客を流入させることもできたという。

 DNPではこうした実績を踏まえて、実店舗を保有する小売・不動産・金融サービス・観光・レストラン・自動車等の業界の企業や、公共施設などに新サービスを展開していく考え。またDNP Marketplaceを生かし、実世界(オフライン)の人流データとオンラインの行動データの連動を強化して、企業のマーケティング支援をさらに拡大するとしている。