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AVEVAとNEC、プロセス産業の工場のDX推進・「データドリブン型ものづくり」の実現に向けた協業を開始

 AVEVA株式会社と日本電気株式会社(以下、NEC)は21日、日本のプロセス産業における工場のDX推進に向け、高品質・高効率なものづくりを持続的に行う、データドリブン型ものづくりの実現に貢献することを目的とした協業を開始したと発表した。

 AVEVAとNECでは、日本の製造業を取り巻く環境が複雑化する中、製造業の現場では、労働生産人口の減少による熟練技能者の不足とともに、急速な社会情勢の変化による不確実性の高まりや、環境負荷低減への対応が求められていると説明。日本の製造業がさらに発展するためには、これらの課題解決に対応するとともに、高品質・高効率なものづくりを持続的に行っていく仕組み作りが必要になり、これらを実現するために、デジタルデータを活用したデータドリブン型のものづくりが求められるとしている。

 両社が目指すデータドリブン型ものづくりへの貢献を実現するためには、ものづくりの管理を支援するIT領域と、ものづくりの製造実行を支援するOT(制御・運用技術)領域の双方のデータを活用した、デジタルツインプラットフォームが必要になると説明。IT領域に強みを持つNECと、プロセス産業のOT領域に強みをもつAVEVAが、日本のプロセス産業の工場のDXを推進するデジタルツインプラットフォームの提供に向け、パートナーシップを締結したとしている。

 協業では、データドリブン型ものづくりの構想企画からシステム導入まで、一気通貫でつなげる推進方法論を両社で強化、開発、提供する。

 データドリブン型ものづくりの実現に向けて、NECの「ERP」「SC(Supply Chain Management)M改革ノウハウ」「PLM(Product Lifecycle Management)」「ものづくりデータプラットフォーム」「MI(Materials Informatics:情報科学の手法を応用し、材料開発の効率を高める取り組み)」などと、AVEVAの「MES(製造実行管理システム)」「PIMS(プラント情報管理システム)」などを組み合わせた、先進的なデジタルツインプラットフォームを提供する。

 また、両社が、これまでプロセス産業の顧客に対して導入を支援してきた実績をベースとして、日本の機能性化学および食品業界に対するテンプレートを開発、提供する。

 こうした仕組みにより、工場における製造品の検査値などのデータや設備の稼働データをAIで可視化・分析することで、非熟練者であっても高品質なものづくり・高効率な操業を可能にすると説明。グローバルで導入実績が豊富なAVEVA製品の活用により、海外を含めた国内外の工場に同一のシステムの展開が可能で、市場の変化に応じて迅速に増産・減産などの事業判断を行うことや、データからPDCAを回すことで意思決定を加速し、事業のレジリエンス(柔軟性・強靭性)を向上する。

 また、自社工場内でオペレーションミスの抑止やトレーサビリティに加えて、サプライヤや顧客をまたがるサプライチェーンのデータを結合・活用することで、製品品質の改善や品質保証強化により、企業の社会的信頼性の向上に貢献する。

 AVEVAとNECは共同で、システムの導入・構築、顧客開拓・マーケティング活動を行う体制を確立し、同領域で2026年度までに40億円規模の事業を目指すとしている。