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AI画像解析で茶葉の収獲時期を判断――、伊藤園と富士通が新技術を開発

 株式会社伊藤園と富士通株式会社は10日、AI画像解析により茶葉(茶芽)の摘採時期を簡便に判断する技術を共同開発したと発表した。伊藤園が展開する茶産地育成事業の契約産地(以下、契約産地)にて、試験運用を開始するという。

 茶葉は、摘採(収獲)する時期が遅れると収穫量は多くなる一方で、品質が低下する特性を持つが、日々変化する茶葉の生育状況から摘採時期を判断するためには、生産者の長年の経験から得られるノウハウ、または茶葉を採取・乾燥・粉砕のうえ専用機器で分析して見極める方法が一般的という。

 しかし、生産者の後継者育成や新規参入に際しては、摘採時期の判断は容易ではなく、生産力向上と持続性を両立するうえで課題の一つになっているとのこと。

 そこで今回は、茶畑で茶葉をスマートフォンで撮影するだけで、クラウド上での分析によってアミノ酸量と繊維量を推定でき、茶葉の摘採時期の判断を簡便に行える新技術を開発した。具体的には、株式会社富士通鹿児島インフォネットの画像解析技術と、富士通のAIの機械学習を活用し、さらに伊藤園の茶栽培に関する知見を組み合わせることで、摘採前の茶葉の画像からアミノ酸量や繊維量などを推定する画像認識アルゴリズムを共同開発している。

 画像認識アルゴリズムの開発については、約2年をかけて契約産地の一部で撮影した、約4000枚の茶葉の画像をもとに、色味調整など加工を施した合計約8500枚の画像を用いてAI学習を行った。この画像認識アルゴリズムの正確性や実用性を検証するため、2022年の新茶摘採から、撮影対象地域などを拡大して試験運用を行い、画像認識アルゴリズムの正確性や実用性を検証。2023年から契約産地での本格展開を目指すとした。

 伊藤園と富士通では、こうした取り組みによって、生産者の高齢化や後継者不足の折に、茶農業への新規参入の障壁となる課題を解決し、茶農業の生産力向上と持続性を両立することに寄与すると説明している。

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