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Seagate、ビデオ専用ドライブの新製品「SkyHawk AI 20TB HDD」を発表 大容量ストレージ製品のロードマップも公開

 米Seagate Technologyの日本法人である日本シーゲイト株式会社は24日、AI対応のビデオイメージングおよび分析(VIA)を実現するビデオ専用ドライブの新製品「SkyHawk AI 20TB ハードディスク・ドライブ(HDD)」を発表した。

 同日には、エンタープライズ向け大容量ストレージの製品戦略および新製品の概要について説明会が行われた。

SkyHawk AI 20TB HDD

 説明会では、まず、日本シーゲイト 代表取締役社長の新妻太氏が、データストレージ市場の最新トレンドについて解説。「SeagateのRethink Dataレポートによると、2022年までに世界の企業のデータは年率42.2%で増加することが見込まれている。一方で、日本ではビジネスデータの76%が活用されていないというのが実情であり、ストレージ容量のさらなる増加とともに、総保有コストの削減とデータ管理の煩雑さ解消が求められている。また、スマートシティやスマートファクトリー、自律走行車などのIoT分野でも大容量ストレージの需要が高まっており、クラウドおよびエッジへと“データグラビティ”が急速にシフトしつつある」と述べた。

日本シーゲイト 代表取締役社長の新妻太氏

 「こうした市場環境の中で、当社では、HDDの大容量化とパフォーマンス向上を両立させるための技術研究に取り組み、データを効率的に保存し、ストレージインフラの総保有コストを大幅に削減できるソリューションの提供に注力してきた。そして、エンタープライズ向け大容量ストレージの可能性を最大限に引き出す新技術として、HDDの性能を2倍に高めるマルチアクチュエータ技術『MACH.2』と、HDDの容量(面密度)を増大させる次世代の記録技術『HAMR(熱補助型磁気記録)』を開発した。当社では現在、既存のPMR(垂直磁気記録)/SMR(シングル磁気記録)方式で最大20TBのHDD製品を展開しているが、今後は、『MACH.2』と『HAMR』の採用により、2026年までに50TB以上の大容量・高性能HDDの実現を目指す」と、大容量ストレージの製品戦略と今後のロードマップを明らかにした。

大容量ストレージのロードマップ

 今回の新製品「SkyHawk AI 20TB HDD」は、米国ネバダ州ラスベガスで開催されている展示会「ISC West 2022」で発表されたもので、Seagateのビデオイメージングおよび分析(VIA)デバイス製品シリーズの新たなラインアップとなる。エッジセキュリティアプリケーションを念頭にAI対応のネットワークビデオレコーダー(NVR)専用に設計されており、ユーザーのAI環境にインテリジェントに適応することができるという。

 日本シーゲイト 営業本部 本部長の安河内智氏は、新製品の概要について、「当社では、大容量20TB HDD製品として、ラックスペースの効率化を実現する『Exos X20』と、中小企業向けNAS専用モデルの『IronWolf Pro 20TB』をラインアップしている。今回、新たに発表された『SkyHawk AI 20TB HDD』は、今後データ量の増加に最も影響を及ぼす要因とされているIoTデバイスに対応した、ネットワークビデオ専用の20TB HDD製品となる。32のAIストリームに対応し、最高64台のHDカメラを録画することができる。ビデオを録画して分析すると同時にGPU分析をすることも可能だ。また、ImagePerfect AIファームウェアを搭載しており、コマ落ちゼロやAIナレッジの損失防止を実現し、優れたイメージインテグリティを提供する。さらに、200万時間の平均故障間隔(MTBF)と年間550TBの作業負荷率という高い信頼性を備え、標準的なVIAドライブの3倍以上の作業負荷をサポートする」と説明した。

日本シーゲイト 営業本部 本部長の安河内智氏

 このほか、3年間のRescue Data Recovery Services(データ復旧サービス)を付帯しているため、自然災害や万が一のユーザー過失などに起因する予期せぬデータ損失からもデータを復元することができる。

 「SkyHawk AI 20TB HDD」の活用シーンとしては、セキュリティ分野では小型カメラや高度な監視カメラ、ホームセキュリティシステムなど、ヘルスケア分野では患者を遠隔監視するIoTデバイス、モビリティ分野では交通パターンに基づいてルートを最適化するインテリジェント街路灯、エネルギー分野では家庭でのエネルギー消費の追跡を可能にするスマートメーターなどを想定している。

「SkyHawk AI 20TB HDD」の活用シーン

 価格は8万8400円(税別)。国内では4月中旬から提供を開始する予定だ。

 日本市場での今後のビジネス展開について安河内氏は、「日本でのビジネスは好調に推移しており、当社システム製品の売上は、2022年第2四半期と第3四半期の比較で300%増を記録した。日本では今年、オンプレミスからクラウドへのデータ移行が加速し、保存データ量増加の2番目に大きな要因になると予想されている。その中で当社は、引き続き最高クラスのストレージソリューションを提供し、ローカルチャネル戦略に力を注いでいく。特に、重点エリアに対しては、StorONEなどの主要なソリューションパートナーによるシステムウェビナーを実施するほか、DC Co-Creation Place(DCC2P)や日本データセンター協会(JDCC)などとの連携も強化していく」との考えを示した。