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チェンジとコニカミノルタパブリテック、自治体DXサービスを提供する合弁会社「ガバメイツ」を4月に設立

愛媛県松山市から全国へサービスを提供

 株式会社チェンジとコニカミノルタパブリテック株式会社は26日、自治体向けDXサービスを提供する合弁会社「株式会社ガバメイツ」を、4月1日に設立することを発表した。

 同日には、合弁会社を設立する背景や狙い、また新会社の戦略について説明会が行われた。

写真左から:コニカミノルタパブリテック 代表取締役社長の別府幹雄氏、チェンジ 代表取締役兼執行役員社長の福留大士氏

 少子高齢化社会による医療・介護需要の増大や労働力不足、住民の地方中核都市へのシフトなど、様々な社会課題に直面している地方自治体では、公務員が大幅に減少する一方で、自治体が抱える業務や課題は複雑化し、公務員一人当たりの業務量が増加している。さらに、2025年度末までに17システム業務の標準化や2021年に成立したデジタル改革関連法への対応など自治体における業務改革にビジネスプロセスリエンジニアリング(BPR)の必要性がさらに高まっている。

 こうした状況を受け、合弁会社のガバメイツでは「自治体業務と職員の働き方を、豊かでスマートに」をビジョンに掲げ、自治体業務のDXによる場所・時間にとらわれない働き方の実現、自治体職員の業務改善による付加価値の高い行政サービスレベルの向上、また行政コストの削減といった領域の支援を通じて、地域間格差のない社会を目指すという。

 チェンジ 代表取締役兼執行役員社長の福留大士氏は、コニカミノルタパブリテックとの合弁会社設立に至るまでの背景について、「チェンジでは、官公庁に向けたAI開発の実績や様々なデジタル活用支援、デジタル人材育成で実績をもっている。また、全国の9割を超える1600以上の自治体との取引実績やプラットフォーム運営のノウハウを有している。一方、コニカミノルタパブリテックは、累計120自治体の職員約20万人分、190万件の全国自治体業務データを保有し、分析・可視化による自治体における業務改革(BPR)の提案、および自治体DX支援プラットフォームの開発・提供実績がある。両社は2年前から協業を開始しており、自治体業務の課題解決や標準化を支援するAIの共同開発に取り組んできた。今回、この協業をさらに深め、両社のシナジーを加速していくため、合弁会社『ガバメイツ』を設立する」と述べた。

チェンジ 代表取締役兼執行役員社長の福留大士氏

 「合弁会社は、地方都市の中でもとくに積極的にDXに取り組んでいる自治体の一つである愛媛県松山市に本社を構え、『誰一人取り残さない自治体サービス』の実現を目指し、愛媛県および県内の20自治体で全国展開モデルを開発していく。愛媛県は平成の大合併により自治体が20に集約され、人口規模別の内訳は全国自治体モデルの縮図といえる。合弁会社は、この愛媛県に本社拠点を置くことで、『地方発』のプラットフォーマーとして、地方から全国に自治体DXを広げていく」との考えを示した。

合弁会社ガバメイツの拠点

 ガバメイツの具体的な戦略については、コニカミノルタパブリテック 代表取締役社長の別府幹雄氏が説明。「『ガバメイツ』は、Government(行政)とMates(仲間達)を合わせた造語で、自治体に寄り添い、共に課題を解決していく真のパートナーとしての存在である意味を込めて名付けた。同社では、『自治体の革新を支援し、地域間格差のない社会を創る』をパーパスとし、『自治体業務と職員の働き方を、豊かでスマートに』をビジョンに掲げ、地域共創パートナー戦略、データ蓄積・活用戦略、自治体ワンストップ化戦略の3つの戦略を通じて、自治体業務の支援を推進し、地域間格差のない社会を目指す」とした。

コニカミノルタパブリテック 代表取締役社長の別府幹雄氏

 地域共創パートナー戦略では、チェンジとコニカミノルタパブリテックの営業基盤を活用した顧客開拓(直販)に加え、両社が保有する各地域のパートナーネットワークを強化・拡大しながら、全国の自治体、とくにその地域特有の課題を抱える基礎自治体に寄り添ったサービスやソリューションを提供。地域内での協業などを通じて、地元の雇用創出による地域貢献や、地域の活性化を目指す企業や団体、住民を巻き込んだ地域の課題解決に取り組む。

 データ蓄積・活用戦略では、業務量調査やBPRを通じて得られる様々な自治体業務データの蓄積、およびパートナーが保有する各種行政・住民データを組み合わせ分析・活用し、自治体の業務効率化・標準化に寄与するための新たな付加価値を提供する。

 自治体ワンストップ化戦略では、全国規模で展開する大手ソリューションプロバイダから各業務領域に強いSaaSベンダーまで、これまで以上に幅広い各種パートナーとの協業を強化。地域のDXに必要な各種サービスを自治体のニーズに合わせて組み合わせ、課題解決パッケージをワンストップで提供する。そして、この自治体ワンストップ化戦略の基盤となるサービスとして、自治体DX支援プラットフォームGovmatesを展開していく。

 「自治体DX支援プラットフォームGovmatesは、これまでコニカミノルタパブリテックで培った自治体業務の整流化・標準化の手法、および累計120自治体から保有した業務データに基づき、両社の強みを生かし、業務の『可視化』、『業務分析』、『最適化』、『標準化』の4つのサービスを提供する。また、4月1日からは、4つのサービスで提供している全庁業務量調査に加えて、新たにDX推進計画策定支援や基幹業務システム標準化のための業務フロー策定支援などのサービス提供を開始する。さらに、それらのサービスを支えるLGWAN対応クラウドツール『Govmates Pit』も合わせて提供する」(別府氏)という。

自治体DX支援プラットフォームGovmatesのサービス内容

 「Govmates Pit」では、自治体職員自らクラウドにアクセスし、庁内の業務フローや手順書の一元管理が行えるだけでなく、先進自治体の改善事例との比較ができる。また、業務標準化支援AI(GAIA)による他自治体の改善事例の検索・閲覧を可能にし、自治体職員自身によるBPRを支援する。
いう。

LGWAN対応クラウドツール「Govmates Pit」の概要

 今後の展開について別府氏は、「まずは、各市町村の業務ごとに可視化・業務分析・最適化のステップを進め、全庁での統一プラットフォームの利用を目指す。次のステップで、複数の市町村をまたいだ広域自治体におけるプラットフォームの標準化(共同化)を図る。そして、将来的には、このプラットフォームを全国の自治体に広げ、地域格差のない豊かな生活とより良い社会の実現に寄与していく」と意欲を見せた。

今後のロードマップ