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日本マイクロソフト、Azureの活用による日本企業のDX支援策を拡充へ

物理スペース、教育、データサービス、アプリ開発など各分野での支援を提供

 日本マイクロソフト株式会社は26日、Microsoft Azure国内展開戦略に関する記者説明会をオンラインで開催。主に日本企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)支援策として、マーケティング支援や、Microsoft Baseの拡大、データ&AI分野のサービス、開発関連パートナープログラム、企業内起業家のDX支援プログラムなどを展開していくことが紹介された。

 日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 Azureビジネス本部 本部長の上原正太郎氏は、「日本マイクロソフトは、日本のお客様、パートナーとともに、最新テクノロジーを活用し、日本のDX推進を加速させるためのプラットフォームやリソースを作り上げられるよう、持続的な支援を提供し続けます」と語った。

日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 Azureビジネス本部 本部長 上原正太郎氏
日本マイクロソフト株式会社 Azureビジネス本部 プロダクトマーケティング部 部長 田中啓之氏

FAMA受付開始、Microsoft Baseの物理拠点も拡大

 日本マイクロソフト株式会社 Azureビジネス本部 プロダクトマーケティング部 部長の田中啓之氏は、まず「Find new value on Azure」というタグライン(キャッチフレーズ)とキービジュアルをアナウンスした。11月26日より、これを用いて、日本企業のDXを推進するためのマーケティング施策を展開する。日本の顧客の課題をふまえたうえでDXの推進するための、日本独自の施策だという。

 その具体的な施策としては、「Find new value on Azure Marketing Accelerator(FAMA:ファーマ)」を同日より受付開始した。田中氏は、日本マイクロソフトやパートナー、顧客企業が一緒になってDXを推進していくものだと説明する。共通クリエイティブの無償提供、特設サイトでの露出、Microsoft Base blogへの投稿の権利、Azureの各種支援プログラムの利用相談、PoC用途でのAzure無償利用環境が含まれる。

Find new value on Azure
Find new value on Azure Markegint Accelerator(FAMA)

 デジタルの支援のほか、Microsoft Base(旧名:Azure Base)での支援も拡大する。全国の物理拠点を、ハイブリッドワークスペースやハッカソン/ワークショップ、トレーニング、地域のスタートアップ支援、コミュニティへの施設の無償提供などに利用しているとのことだ。

 なお、Microsoft Baseの物理拠点はいったんクローズしていたが、11月26日から活動を再開することを田中氏はアナウンスした。さらに、虎ノ門のMicrosoft Base Toranomon(JBSによるフランチャイズ)と、長野のMicrosoft Base Nagano(TOSYSによるフランチャイズ)の2拠点を3月までに開設することもアナウンスした。

Microsoft Base(旧名Azure Base)の物理拠点再開
新たに2拠点を開設予定

データサービスの国内事例と、AzureでのOpenAI技術

 データの分野については、「Find new value on Azure」のWebサイトにおいて、Data & AIに関するさまざまな情報発信を開始したことを田中氏は紹介した。

 また田中氏は、この分野で最も力を入れているものとして、データ分析プラットフォームのAzure Synapse Analyticsを挙げた。国内でも、2021年2月の正式リリースから売上が35%増となり、導入企業が240社以上あるという。

 公開事例も17社公開され、その中から田中氏は、株式会社NTTドコモが、1日16億件のデータを処理するTraffic-DWHを、プライベートクラウドとSynapse Analyticsのハイブリッド構成へ移行した事例と、株式会社アドインテが、データ分析基盤としてSynapse AnalyticsとDatabrickwを併用している事例を紹介した。

Azure Synapse Analyticsの国内事例

 Synapse Analytics以外では、統合データガバナンスソリューションのAzure Purviewの国内初事例として、横河電機株式会社の事例を田中氏は紹介した。複数のデータベースにまたがる膨大なデータソースにおいて、どこでどいういう処理をしているかを一元的に把握するという。

 また、Azure Purviewについては期間限定PoCオファーを実施していることも紹介した。2022年3月まで、ISIDやジールともに、PoCを実施する費用を一部無償提供する

Azure Purviewの国内事例
Azure Purviewの期間限定PoCオファー

 AIを使ってデータを活用する場面については、2019年からのOpenAIとの協業の成果として、Azureで「Azure OpenAI Service」をローンチしたことが、11月の「Microsoft Ignite 2021」で発表された。OpenAIによるGPT-3の言語モデルをAzureのAPIで呼び出せるものだ。現在プライベートプレビューで、すでに数十万社からへの参加申請があると田中氏は語った。

OpenAIの技術を使えるAzure OpenAI Service

アプリケーション開発と新パートナープログラム

 次のアプリケーションモダナイゼーションの分野について、田中氏は「アプリケーションをモダナイズして市場投入までの時間を短くして新しい体験を顧客に屆ける」と説明した。

 それに重要な要素3つとして、Microsoftのテクノロジー&製品、また日本においてはパートナー&ソリューションを活用、そして顧客のスキリング(スキルを身につける)を氏は挙げた。

 田中氏は、DX実現に向けたアプリケーション開発の理想のシナリオとして、チームがどこにいてもコラボレーションしながら1つのアプリケーションを迅速に開発し、セキュアにコードを管理するシナリオを語った。そして、それを実現するための製品群として、GitHubとAzureの連携やVisual Studio、セキュリティサービスなどを紹介した。

DX実現に向けたアプリケーション開発の理想のシナリオ
それを実現するための製品群

 その中で、IDEの「Visual Studio 2022」が11月8日に発表されたことを説明した。64bit化されたことなどの特徴がある。さらに、2020年10月からVisual StudioにGitHub Enterprise(占有型のGitHub)のライセンスをバンドルした「Visual Studio with GitHub Enterprise」を販売していることも紹介した。

 VSCode+GitHub Enterprise+Azureの国内事例としては、東部ガスの事例が紹介された。東北と九州での遠距離でのアジャイル開発などを実現したという。

Visual Studio 2022
Visual Studio with GitHub Enterprise
VSCode+GitHub Enterprise+Azureの国内事例

 このように、データの活用とアプリケーション開発を推進していくことで、企業のデジタルイノベーションを促進していくと田中氏は語った。

 そのための日本独自の取り組みとして、「Solution Competency Center」を新しく田中氏は発表した。日本マイクロソフトと日本のパートナーが持っている知見をあわせていくもので、8月からパイロットとしてすでに運用を開始しているという。

 すでにアバナード、AZPower、日本ビジネスシステムズ(JBS)、SBテクノロジー(SBT)、システムサポート(STS)、アクアシステムズ、システムエグゼ、富士ソフトの8社がパートナーとして参加しているが、さらに会計年度2022年度には、10社の追加を目指すとしている。

日本独自の「Solution Competency Center」発表
8社が参加、10社の追加を目指す

企業内の起業家のDX支援プログラムのSeason 3を開催

 最後は人材育成だ。DXにおいては、特に国内エンドユーザー企業でのデジタル人材の不足がしばしば指摘される。そのため日本マイクロソフトは、デジタル企業・人材開発支援のプログラムを用意している。田中氏は、グローバル展開のプログラムに加えて、Microsoft Baseや日本独自のプログラムがあることを紹介した。

デジタル企業・人材開発支援のプログラム

 その一つとして田中氏は、企業内の起業家のDX支援「Empower Japan Intrapreneur Community」を、一部クローズドで実施していると田中氏は説明した。日系企業で新規事業開発を担当しており、現在日本マイクロソフトに所属している社員が有志で運営しているものだという。

 そのSeason 2が2021年4~9月に行われた。23社36名が参加。一人ひとりが独自の自社新規ビジネスプランを検討し、半年かけて日本マイクロソフトが技術面で支援。非エンジニア向けのTech Sessionや、参加者同士でのディスカッション、パートナー/スタートアップ企業の紹介がなされたと田中氏は説明した。

 実績としては、Season 1から生まれたJR東日本のツアー検索「BUSKIP」が紹介された。Empower Japan Intrapreneur Communityから生まれ、プラットフォームにAzureを採用しているという。

Empower Japan Intrapreneur Community
Empower Japan Intrapreneur Communityの支援内容
Season 2参加者の所属企業
Season 1の実績

 そして、新たにEmpower Japan Intrapreneur CommunityのSeason 3を開催することを田中氏は発表した。2022年2月から募集を開始し、4月から半年間プログラム開始予定。募集人数は約30名。

Empower Japan Intrapreneur CommunityのSeason 3を開催

 最後にグローバルのスタートアップ支援プログラム「Microsoft for Startups」を田中氏は紹介した。世界14拠点で展開し、日本で350社を超えるスタップ企業が加入している。ここではグローバル企業でのコネクションや、ビジネス支援プログラム、社会起業家の支援などを提供し、スタートアップ企業の成長につながってきたと田中氏は語った。

 新たに10月中旬には「Microsoft for Startups Founders Hub」という新しいプログラムもローンチし、さらに参加しやすくなった。メリットとしては、まず、条件が緩和され未上場のスタートアップ企業すべてが支援対象となった。2つめは、最長4年間にで35万ドル相当のベネフィットが提供される。グローバル進出の足がかりとなるメンターネットワークも提供する。

Microsoft for Startups
Microsoft for Startups Founders Hub