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シスコ、東京2020大会における取り組みと成果を説明 卓球日本代表の石川選手・張本選手に試合映像の分析サービスなどを提供

 シスコシステムズ合同会社(以下、シスコ)は21日、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会)における取り組みに関する記者説明会を開催した。

 説明会では、東京2020大会のネットワーク機器のオフィシャルパートナーとして、シスコがどのような取り組みを行ってきたのか、その舞台裏と成果、今後の展開について説明した。

 また、シスコのアスリートアンバサダーである卓球日本代表の石川佳純選手と張本智和選手をゲストに迎え、シスコが提供したテクノロジーを大会でどのように活用したのかなどを語ってもらった。

卓球日本代表の石川佳純選手(左)と張本智和選手

3大会連続でネットワーク機器のオフィシャルパートナーとして参画

 まず、東京2020大会での同社の役割について、シスコ 代表執行役員会長の鈴木和洋氏は、「当社は、ロンドン、リオ、東京と3大会連続で、ネットワーク機器のオフィシャルパートナーとして大会に参画し、オリンピック会場のネットワーク構築を支援してきた。今回の東京2020大会は、ベイエリアとヘリテイジエリア、東北地区に、43競技会場と本部、IBC(国際放送センター)/MPC(メインプレスセンター)、選手村の3大規模施設が分散し、オリンピック史上最多拠点の大会となった。そのため、これらの主要拠点をすべてカバーするネットワークを、高い信頼性、高い可用性をもって構築・運用することが求められた」と述べた。

シスコ 代表執行役員会長の鈴木和洋氏

 大会期間中のネットワーク運用状況としては、大会ネットワークには18万6000台のデバイスが接続され、シスコ製品については、ロンドン、リオを超え3大会中最多の2万2000台が導入されたという。その中で同社は、50人以上のエンジニアが24時間体制でネットワーク運用のサポートを行った。また、トータル・インターネット・トラフィックは過去最大の1.6PBを記録したが、大会期間中に重大なセキュリティインシデントが発生することは1回もなく、100%のネットワークアベイラビリティを実現した。

東京2020大会のネットワーク運用状況

 東京2020大会での新たな取り組みについては、「大会史上最多拠点のネットワークをカバーしたことに加え、国内最大規模のIoTネットワークの設計・構築・運用を支援した。6000台を超える監視カメラ、3000台を超えるセンサーを提供し、高速かつ高信頼の大規模IoTネットワークを実現した。また、今大会では、NBC Olympicsの国際放送センターのオペレーションがオリンピック史上初めてオールIP化され、その放送制作を支援した。さらに、データを活用したアスリート支援を実施。特に、卓球日本代表の石川佳純選手と張本智和選手には、試合映像の視聴やデータ分析アプリの提供のほか、大会期間中はWebexのボット機能を使った試合映像のクイック検索サービスなどを提供した。このほか、ダイバーシティやIT人材育成の支援にも取り組んだ」(鈴木氏)と紹介した。

オリンピック史上最多拠点のネットワークをカバー
国内最大規模IoTネットワークの構築・運用を支援

 今後の展開としては、「東京2020大会は、デジタルテクノロジーを高度に利活用した『新しいオリンピックモデル』を示した大会になったと考えている。今大会での知見を生かして、パリ2024大会は、過去最高のオリンピックとなることを目指す。そして、当社の事業展開にも、今大会の学びや経験を活用し、日本企業のデジタル変革を支援するとともに、日本社会全体のデジタイゼーションおよび社会課題の解決に貢献していく」との考えを示した。

 次に、ゲストとして、シスコのアスリートアンバサダーである卓球日本代表の石川佳純選手と張本智和選手が登場した。東京2020大会でシスコが提供した試合映像サービスや分析データの活用法について、石川選手は、「対戦相手の試合映像を見る時には、相手選手のサーブを中心にチェックするようにした。また、3球目攻撃のコースやバックハンドなど、見たい場面を検索することができるので、勝っている試合、負けている試合を見比べたりして相手選手を研究した。何度も対戦している相手でも、分析データから新たな弱点に気づかされたことも多く、より戦術イメージが立てやすくなった」と話していた。

卓球日本代表の石川佳純選手

 張本選手は、「対戦相手の試合映像は、相手が得意なコースを調べるのに役立った。例えば、バックハンドが得意だと思っていた選手が、実はフォアでの得点が多いことが映像を見てわかった。また、対戦相手の分析データからサーブの傾向を研究して、試合の中で生かすことができた。特に団体戦の準決勝では、対戦相手に序盤リードされてしまったが、事前に分析データをチェックしていたので、冷静に立て直して逆転につなげることができた」と語った。

卓球日本代表の張本智和選手

 シスコからのサポートについて、石川選手は、「オリンピック前の国際大会の段階から、どんな情報があれば試合に役立つのかなど、何度も意見交換をしてくれて、とても充実したサポートだった。試合映像のサービスも使いやすく、試合の前でもタブレットですぐにチェックすることができた」とのこと。張本選手は、「サーブやレシーブの映像が連続して見られるサービスは今までにはなかったので、素晴らしい技術のサービスを提供してもらえたと感じている。使い方もオリンピック前にわかりやすく説明してくれたので、大会でしっかり使うことができた」と述べていた。