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富士通、特許などの化学文書検索をAIで支援する「SCIDOCSS」 材料開発のヒントとなる情報を効率良く探索

 富士通株式会社は8日、研究者が求める材料情報を容易に検索できるAI化学文書検索ソリューション「FUJITSU Digital Laboratory Platform SCIDOCSS(サイドックス)」(以下、SCIDOCSS)を提供開始すると発表した。

 SCIDOCSSは、化学メーカーなどが材料開発時にアイデア発掘のために行っている、特許などの化学文書検索を、AIによって支援するソリューション。キーワードによる検索時には、AIが化合物の名称や通称の違いを名寄せしてくれるほか、数十行にわたる文章や、化学構造式そのものによる検索にも対応する。

 また、富士通の自然言語処理技術を適用することで、サービスに内包する化学文書データベース内の文書に対し、AIが検索キーワードの頻出度などから重み付けを行って、検索キーワードとの関連度が高いものを、利用者にとって重要度が高い情報と判定することが可能。さらに、化学構造式による検索時には、構造式の合致度が高いものを重要度が高い情報と判定する仕組みが搭載され、キーワードと化学構造式の2つを同時に検索すれば、より重要度が高い順に検索結果の表示を行えるとのこと。

「SCIDOCSS」の検索結果画面

 これらの機能により、化学メーカーなどが新たな材料開発のアイデア発掘のために行っている、特許を含む膨大な化学文書から適切な情報を検索する業務を容易にし、効率的に精度の高い結果を得られるとのこと。富士通が事前に行った実証実験の結果では、従来は約5日かかっていた化学文書の検索業務を1日に短縮できたとした。

 なお今後は、化合物の物性および物性値を文書中から抽出する機能の追加や、検索対象を化学論文へ拡大するなど、さらなる機能強化を実施する予定。さらには、富士通が保有する材料インフォマティクス技術との連携を図り、材料開発業務のさらなる効率化を支援するとしている。

 価格(税別)は、SaaS版が年額1000万円(100ユーザー)から。パッケージ版は、ライセンス費用が1600万円、環境構築サービスが100万円。