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Dynabook、身に着けて運用できるWindows 10デバイス「dynaEdge DE200」発売
製造・メンテナンス・建設などで“現場のDX推進”を支援

 Dynabook株式会社は7日、モバイルエッジコンピューティングデバイス「dynaEdge DE200」を発表した。新開発の「Dynabook Edge AIエンジン」を搭載することにより、現場DXの実現を推進するという。

 また今後は、オフィス内や自宅のなかでもdynaEdge DE200をコンパクトデスクトップとして持ち歩くという、新たな提案を行う考えも示した。

dynaEdge DE200

 Dynabook 国内事業統括部 国内B2B営業本部 MEC営業部の守屋文彦部長は、「昨今の社会環境の変化もあり、現場のDXを、より加速させたいという声が増えている。そうした声に対応すべく進化させた製品だ。AIエンジンなどとの組み合わせで、現場の課題解決を推進する現場DXプラットフォームとして提供していくことになる」と位置づけた。

Dynabook 国内事業統括部 国内B2B営業本部 MEC営業部の守屋文彦部長

身に着けて現場で運用できるWindows 10デバイス

 dynaEdge DE200は、2017年9月に発売して以来、メガネ型ウェアラブルデバイス「AR100」との組み合わせ提案などによって、製造現場やメンテナンス、物流、建設現場など、約500社への導入実績を持つ「dynaEdge DE100」の後継機だ。片手で持ち運べる197×85×20mm、約340gの筐体に、第11世代インテルCoreプロセッサ、Windows 10 Proを搭載。バッテリーの大容量化で、従来比1.3倍となる約7.5時間の駆動時間を実現した。なお、筐体は従来モデルに比べて上下方向に32mm長くなっているが、「幅と厚さは変更しておらず、装着性を維持している」という。

主な仕様
軽量・コンパクトかつ堅牢な筐体を実現

 小さな筐体に高性能CPUを搭載することにあわせて、側面吸気、側面排気のエアフロー設計を進化。ホルスターに装着した際の冷却性能を最大化したほか、新設計の冷却ユニットではヒートパイプの採用により、冷却性能を向上。現場での利用に最適化した進化を遂げている。

冷却設計の進化により、コンパクト筐体に最新世代のCPUを搭載

 Dynabook ニューコンセプトコンピューティング統括部 ニューコンセプトコンピューティング商品企画部 グループ長の小川岳弘氏は、「現場のDXは、多くの時間や膨大な投資が必要だと考えられるが、dynaEdge DE200によるウェアラブルソリューションを活用することで、1人からでも、1台からでも、身近なところで現場のDXを開始できる。遠隔地と情報共有をしたり、マニュアルを表示したり、認識技術やAIの現場活用も可能になる。現場のさまざまな課題に応えることができるのがdynaEdge DE200。業務効率化と生産性向上にエッジの効いた答えを提案できる」と語る。

Dynabook ニューコンセプトコンピューティング統括部 ニューコンセプトコンピューティング商品企画部 グループ長の小川岳弘氏

 dynaEdge DE200の特徴は、従来モデルから踏襲した前面配置の5ボタンキーだ。ボタンのサイズをひと回り大きくして操作性を向上したほか、上ボタンにはリブがついているため、手袋をつけていても触っただけで方向が確認でき、ウェアラブルユースのさまざまな利用シーンで、簡単に操作が行えるようにしている。

 「従来モデルでは、ボタンにあわせて専用のアプリケーションの作り込みが必要だったが、dynaEdgeコントローラーの採用により、さまざまなアプリケーションのキー操作を設定できる。既存のアプリケーションをウェアラブルで活用したいといったニーズに応えることができる」(Dynabookの小川グループ長)とする。

 ここでは、キー入力操作やマウス操作、ウェアラブルデバイスであるAR100のライトのオン/オフ、メニュー位置の変更、カメラの設定なども行える。

dynaEdgeコントローラー

 また、ロック機能がついた電源スイッチにより誤操作を防止。電源LEDも上端に配置しており、着用状態でも見やすくした。マイク・ヘッドホン端子、電源コネクタ、USB3.1(Gen1)Type-Cコネクタ、USB3.1(Gen1)Type-Aコネクタも搭載している。Type-Cコネクタを使用して、モバイルバッテリーからの給電も可能とした。また、バッテリーは取り外し交換が可能だ。

 現場での利用を想定した堅牢性を実現。外周には衝撃吸収ラバーバンドで保護している。Dynabook独自の品質試験をクリアしているほか、米国防総省のMIL-STD-810Hに準拠したテストも実施する予定だという。

 DE200向けに新たに設計したホルスターなどのオプション製品も充実させている。また、LTE通信モジュール対応モデルを2021年度中に提供する予定だ。なお、AR100も継続的に提供し、DE200との連携提案を行っていく。

AR100

dynaEdge DE200を活用したソリューションも提供

 dynaEdge DE200やAR100の活用によって現場DXプラットフォームを実現する上で、いくつかのソリューションも提供する。

 ひとつめが、新開発のdynabook Edge AIエンジンである。

 エッジ端末側でテータに対する高速処理を実現する同AIエンジンで、AR100などで撮影した映像を、dynaEdge DE200に搭載した高性能CPUを利用して、高速データ処理することができる。

 処理したデータは、Microsoft Teamsをはじめとするさまざまなアプリケーションに渡すことができるが、渡す前に処理することで、クラウド側でAI処理を行うのに比べて、高速性、リアルタイム性のある活用が可能になる。

 さらに、dynabook Edge AIエンジンに搭載した仮想カメラ技術を活用することで、「ゆれ補正機能」を提供。頭部に装着したウェアラブルカメラの作業中のゆれを補正して、撮影した画像を見やすくすることができる。また、トラッキング機能では対象物の移動にあわせて注目領域を追いかけることが可能。そのほか、逆光の現場でも対象を見やすくする明るさ補正機能や、アプリケーションのUIに影響を受けずに、カメラで撮影した映像を全画面表示するモニター機能も提供する。

 今後は、パートナー企業が、dynabook Edge AIエンジンを活用できる開発環境を用意。パートナー連携による現場ソリューションの提案を加速する考えだ。「dynabook Edge AIエンジンは、継続的に機能強化を進めていく」としている。

dynabook Edge AIエンジン

 2つめは、作業支援ソリューションのVision DE Suiteだ。DE200に搭載した5つのボタンキーだけで、現場の作業を支援。マニュアルなどの表示が可能なビューア機能、作業記録をカメラによる撮影で残せる録画機能、Microsoft Teamsとのコミュニケーションで、現場作業者の視界の様子を見ながら、遠隔からアドバイスできる遠隔支援機能などを提供する。

 「DE200とVision DE Suiteを組み合わせることで、ウェアラブルのWindows端末としては、唯一、Microsoft Teamsとのコミュニケーションが行えるようになる。遠隔臨場といった動きも加速しており、それに対応できる作業支援ソリューションは、コロナ禍において導入が促進されている」という。dynabook Edge AIエンジンのモニター機能を活用して、作業者の画面にカメラ映像を大きく表示することも可能だ。

Vision DE Suite

 さらに、パートナーソリューションとして、東芝システムテクノロジーが開発した「AR作業ナビゲーション」、「ピッキング支援ソリューション」が用意されているほか、パートナーが開発したハードウェアやソフトウェアとの連携提案が増加していることも示した。

 「さまざまな現場の課題に取り組む企業に対して、パートナーとともに最適なソリューションを提供していく」という。

パートナーソリューションを提供

オフィス内や自宅での活用など、新たな利用提案を実施

 一方、dynaEdge DE200の340gという軽量化を生かして、今後は、新たな利用提案を行う姿勢も明らかにした。

 ひとつめは、オフィス内や自宅のなかでも、コンパクトデスクトップとして持ち歩くという新たな提案だ。ビジネスノートパソコンのdynabook B55が2.3kg、モバイルノートパソコンであるdynabook G83が888gであるのに対して、dynaEdge DE200は340gという大幅な軽量化を実現。デスクトップ環境を持ち出して、オフィスや家庭のディスプレイに接続するだけで、さまざまな場所で同じ環境で仕事を行える環境が整う。いざというときのデータ保全にも活用できる。在宅勤務が一般化したニューノーマル時代の使い方として提案する。

モバイル・デスクトップ用途
ディスプレイの裏側に装着可能

 2つめは、コントローラーPCとしての用途だ。工場ラインで使用するPC端末として、デジタルサイネージ用のPC端末として、デジタルホワイトボード(電子黒板)などの制御端末としても利用できる。ここでは、シャープが持つ液晶ディスプレイとの連動提案や、同じくシャープのBIGPADやWindows Collaboration Displayとの連携も可能になるという。

コントローラーPC用途

 Dynabookでは30年以上に渡り、オフィスワークの領域に向けてパソコンを提供してきたが、これらの技術とクラウド、AIなどの新たな技術を組み合わせることで、「オフィス・テレワーク」のほか、「文教」、「現場」、「テレマティクス」、「ヘルスケア・医療」、「エンタテインメント」の領域にも新たな価値を提供する「ニューコンセプトコンピューティング」の実現を目指している。

 また、サービスを組み合わせることで新たなワークスタイルを実現する「Digital Work Place」のコンセプトを打ち出しており、オフィス・テレワークでは、いつでも、どこでも安心して快適に利用できる「Remote Work Solution」、文教では新たな学びで未来をつなぐ「Education Solution」、現場では働く人をアップグレードする「dynaEdge Solution」、テレマティクスでは安全運転支援を行う「Telematics Solution」、ヘルスケア・医療では働く人の健康サポートを行う「HealthCare Solution」を提供する考えを示している。

Digital Work Place