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東大、早大、富士通、日立の4者、IoT機器増大に対応する無線周波数利用効率の向上技術を開発

 国立大学法人東京大学、学校法人早稲田大学、富士通株式会社、株式会社日立製作所(以下、日立)は26日、IoT機器の普及やそのデータを流通・活用するサービスの拡大に向けて、総務省委託研究「IoT機器増大に対応した有無線最適制御型電波有効利用基盤技術の研究開発」の技術課題の一つである「有無線ネットワーク仮想化の自動制御技術」において、各機関の開発技術を統合した実証実験を2020年11月1日から2021年3月25日まで実施したと発表した。

 IoT活用が進む中、高精細映像や多数のセンサーデータを伝送するために、高速かつ低遅延な通信を可能にするプライベートLTEやローカル5Gなどの利用が検討されているが、それらの無線通信の効率的な利用について、従来のネットワーク仮想化技術では、さまざまなIoTサービスごとにそれぞれ独立してネットワークリソースが使われているため、ネットワーク全体に対してバランスのよいリソース配分ができておらず、無駄にリソースを消費してしまうという課題があった。

 この問題を解決するために、4者による研究開発では、有無線ネットワーク(LTEや5Gをはじめとする無線のアクセスネットワークと有線のコアネットワークで構成されるネットワーク)において、トラフィックの混雑状況や利用者からの要求に応じて、オンデマンドで仮想的にネットワークリソースを割り当てる自動制御技術を開発した。

 実証実験では、東京大学の構内に構築されたプライベートLTE(sXGP)の環境を利用して、各機関が開発した技術を統合した検証を実施した。ネットワークに流れるトラフィック全体の増減などの傾向をIoTサービスごとに分割して分析することで、トラフィックモデルやデータの冗長性などの情報を取得し、それらの情報に基づいて3つの技術を連動させることで、無線周波数の利用効率の向上効果を確認した。

実証実験の構成イメージ

 開発した技術のうち、「IoT指向ネットワークオーケストレーション技術」は、複数の異なるIoTサービス間で重複するデータへのアクセスを調査し、ネットワークのトラフィックの状況に応じて、データを自動的に集約・分配して削減する。「IoT指向ファンクションオーケストレーション技術」は、IoTサービスを構成する画像分析や画像加工処理などの機能をネットワーク上の複数のノードに対して適切に分散配置することで、ネットワークの負荷を軽減する。「IoT有無線ネットワークのスケーラブルリソースプーリング自動化技術」は、複数のIoTサービスにおけるデータ転送のタイミングを最適化することで、一時的に大量のデータが流れるバーストトラフィックを防止する。

 効果検証の結果、無駄なリソース消費を抑えることで、技術の適用前と比べて、無線周波数の利用効率を大幅に向上できることが確認され、今後はプライベートLTEやローカル5Gなど、IoTに関わる幅広い分野への技術の適用を目指すとしている。

実証実験の結果