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クラウディアン、チャネルパートナーやテクノロジーパートナーとの戦略的連携を強化 2021年度の事業戦略について説明

 オブジェクトストレージベンダーのクラウディアン株式会社は5日、2021年度の事業戦略についてオンラインで記者説明会を開催した。

 当日は、米Cloudian CEOのマイケル・ツォ氏がグローバルにおける事業概況および今後の展望について、クラウディアン代表取締役のブライアン・バーンズ氏が国内の事業方針について、それぞれ発表した。

 米Cloudian CEOのマイケル・ツォ氏は、まず2020年のグローバルビジネスを振り返り、「当社は、クラウドネイティブのオブジェクトストレージを企業に導入することで、データストレージに革命をもたらすことをミッションとし、『Cloudian HyperStore』を中核とした先進のソリューションを展開している。昨年は、Gartner社による評価レポート『2020 Critical Capabilities for Object Storage』において、すべてのユースケースでトップランクを獲得するなど、オブジェクトストレージ業界での認知度がさらに高また。また、ビジネスも急速な成長を続けており、過去5年の総顧客数の年平均成長率は61%となっている。特に昨年は、全世界の顧客基盤を36%拡大し、総顧客数は550社を突破した」と、オブジェクトストレージのリーダー的ポジションをより強固なものにしたと述べた。

米Cloudian CEOのマイケル・ツォ氏

 今後のビジネス展望については、「新型コロナウイルスのパンデミック後も、企業の設備投資への意欲は縮小しておらず、当社のターゲットとなるオブジェクトストレージ市場は2021年以降さらに拡大することが見込まれている。その中で当社は、引き続きパートナーにフォーカスしたビジネスモデルを展開し、VARパートナー(付加価値再販業者)、ソリューションパートナー、OEMパートナーとともに多面的なアプローチで顧客獲得を図っていく。そして、コロナ後のデジタル化が進んだ世界では、データ分析の需要はますます高まると予測しており、そこでの当社のポジションは確固たるものになっていると確信している」(ツォ氏)との考えを示した。

多面的な顧客獲得アプローチ

 続いて、クラウディアン代表取締役のブライアン・バーンズ氏が、日本市場におけるビジネス状況について説明。「2020年のストレージ容量は、2018年の9.25倍に拡大し、年平均成長率は204%となった。国内全体でのスケールアウトオブジェクトストレージ容量の年平均成長率は31.9%であり、当社はこれを大幅に上回る成長率を達成している。その背景としては、国内でも多様なオブジェクトストレージのユースケースが増加している点が挙げられる。また、バックアップソフトベンダーやサーバーOEMパートナー、チャネルパートナーなどと緊密に連携し、ハイブリッドクラウドやプライベートクラウド、データのリパトリエーション(回帰)、データ保護方法の変化といった市場動向に対応している」とした。

クラウディアン代表取締役のブライアン・バーンズ氏

 2021年度の事業方針としては、パートナーシップ戦略では、ディストリビュータとリセラーネットワークによるビジネスの拡大に注力する。既存販売代理店に加え、昨年新たに参画した戦略的チャネルパートナーであるネットワールドと緊密に連携。ネットワールドの広範で付加価値の高いリセラーネットワークにより、日本の主要顧客のデジタルトランスフォーメーション(DX)を可能にする戦略的プラットフォームを提供していくだ。

 また、戦略的パートナーであるVMware Japanと、セールスとマーケティングの両面で連携し、サービスプロバイダやオブジェクトストレージを必要とする新規および既存のVSANの導入を推進していくという。

 製品・ソリューション戦略では、ハイブリッドアーキテクチャによる次世代分析プラットフォームの実現に取り組む。日本市場には、世界でも有数の最先端研究施設があり、こうした大規模な研究センターでは、オンプレミスのプライベートクラウドとパブリッククラウドの両方のメリットが求められている。

 これに対して「Cloudian HyperStore」は、ネイティブS3とNFSをサポートし、任意のパブリッククラウドに階層化できるため、オンプレミスのリソースが制限されたときにパブリッククラウドに移行することが可能となる。2021年は、国内のほかの研究センターや大学でも、コストとパフォーマンスを最適化したハイブリッドアーキテクチャを実現できるようにする予定。

 また、バックアップ、アーカイブ、ランサムウェア対策への取り組みをさらに強化する。「現在、日本のすべての企業は、データのバックアップとアーカイブを必要としている。そこで当社は、世界で最も革新的で費用効果の高いバックアップソフトウェアベンダーと緊密に連携し、クラス最高のエンドツーエンドソリューションを構築していく。また、国内でもランサムウェア攻撃が急激に増加している中で、『オブジェクトロック』によるデータの不変性を実現するランサムウェア保護機能を提供する」(バーンズ氏)としている。

 具体的には、「オブジェクトロック」によるデータの不変性をサポートする主要なバックアップベンダーとのパートナーシップを強化し、ランサムウェア攻撃からのデータ保護だけでなく、内部の管理者であってもバックアップの改ざんや削除ができないようにするという。

 そして、ネイティブS3 APIや高度なマルチテナント機能、クラウドライクな操作のしやすさなど「Cloudian HyperStore」独自の機能を日本市場で引き続きアピールしていく。

 バーンズ氏は、「『Cloudian HyperStore』の最もユニークな機能は、一度インストールすると、パブリッククラウドと同様に使用できる点だ。これによって、実質的に自己管理型ストレージとなり、運用上のオーバーヘッドがほぼゼロで大規模なクラスターの管理が可能になる。例えば、100TBでも100PBでも実質的には同じ運用ワークロードとなる。日本の技術者不足が深刻なことを考えると、これは莫大(ばくだい)なコスト削減につながり、エンジニアはより戦略的な取り組みに集中することができる」と強調した。