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パートナー企業のITエンジニアにGoogle Cloudを届けたい――、Googleがパートナー重視の姿勢を強調

 グーグル・クラウド・ジャパン合同会社(Google Cloud)は25日、パートナーエコシステムに関する記者説明会をオンラインで開催した。パートナー重視の戦略が語られ、Google Workspaceの認定ディストリビューターに新たに2社が参画したことが発表された。また、アクセンチュア株式会社と株式会社野村総合研究所(NRI)のパートナーとしての取り組みも紹介された。

日本のITエンジニア人口はパートナー企業に多くいる

 まず、石積尚幸氏(上級執行役員 パートナー事業本部)が、Google Cloudのビジネス戦略について語った。なお石積氏は9月に日本オラクルの副社長から移籍して「2カ月ちょっと」(石橋氏)だという。

 石積氏はGoogle Cloudのビジネス戦略について「アフターコロナで社会の不確実性が増す中で、企業がいかに競争に勝ち抜いていくかをお手伝いする」と語り、注力分野として「データドリブンな経営モデル+新しい社会モデル」「IT基盤のモダナイゼーション」「ワークスタイル改革」の3つを挙げた。

 「データドリブンな経営モデル+新しい社会モデル」については、「いままでのエンタープライズはモノリシックな1つのシステムをきちんと守るものだった。しかし、ビジネスの新たな知見は、複数のシステムを横断した分析や、パブリックなシステムとの組み合わせ、リアルタイムに発生するストリームデータの分析することから見いだされる。それを実現するためのインフラ、ツール、技術を提供していく」(石積氏)。

 「IT基盤のモダナイゼーション」としては、「そんな(新しい知見を得るような投資の)お金はどこにあるんだということになる。そこで、IT基盤をLift&Shiftしてモダナイズすることで、運用コストの低減を実現し、その分を新たな投資に使う」と石橋氏は説明した。

 3つ目の「ワークスタイル改革」では、石積氏自身がGoogle Cloudに入社した際の経験を語った。「Google Cloudに入って毎日が驚きの連続だ。これまでも、ITツールを使って100%リモートを実現したつもりでいた。しかし、これまではファイルをダウンロードし、フォルダーに分類し、それを添付し、相手によっては暗号化したり共有サーバーにアップロードしたり、ということを自分で考えなくてはならなかった。それがGoogleに来たら全部解放され、とにかくすべて共有して皆で共有するようになり、必要な情報をタイムリーに得られるようになった。そのほか、メールやリモート会議、チャットなどのツールといった、ワークスタイルの環境をすべて提供している。この驚きをぜひみなさまにお届けしたい」(石積氏)。

 そのうえで石積氏は日本でのパートナーについて語った。日本のITエンジニアの人口は圧倒的にユーザー企業よりパートナーに多くいることを挙げ、「パートナーにGoogleのソリューションが届いていないということで、私は声をかけられた」として、Googleソリューションをリセールするパートナーや、自分たちのソリューションに埋め込むパートナー、インテグレーションするパートナーなど、パートナーを重視していると語った。

グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 石積尚幸氏(上級執行役員 パートナー事業本部)
3つの注力分野

Google Workspaceの認定ディストリビューターに新しく2社が参画

 続いて最新動向について、高橋正登氏(執行役員 パートナー事業本部長)が説明した。

 1つめのテーマは、コロナ禍で加速したワークスタイル改革だ。これについては、G SuiteからリブランドしたGoogle Workspaceや、ギガスクール構想によるChromebookの躍進、ゼロトラストネットワークの「BeyondCorp」を高橋氏は挙げた。

 この分野での新発表として、シネックスジャパン株式会社とダイワボウ情報システム株式会社が、Google Workspaceの認定ディストリビューターとしてパートナーに参画されたことが紹介された。

グーグル・クラウド・ジャパン合同会社 高橋正登氏(執行役員 パートナー事業本部長)
ワークスタイル変革
シネックスジャパンとダイワボウ情報システムが、Google Workspaceの認定ディストリビューターに

 2つめのテーマは、インダストリーへのフォーカスと、業界ごとにカスタマイズされたソリューションだ。

 その1つとして、JCBの事例を高橋氏は紹介した。従来のサービス基盤では金融での開発が追いつかないことと、ミッションクリティカルのためのグローバルな可用性とセキュリティの必要性から、これから開発する新しい金融サービスはコンテナ化することにした。また、Google Cloudを利用しつつも、一部の機能は他社クラウドやオンプレミスに残るため、Anthosでのハイブリッドクラウドを採用したという。

インダストリーへのフォーカス
JBCのAnthos採用事例

アクセンチュアとNRIのパートナーとしての取り組み

 記者説明会には、パートナーとしてアクセンチュア株式会社と株式会社野村総合研究所(NRI)も登場した。

 アクセンチュアの濵田晋太朗氏(ビジネスコンサルティング本部 ストラテジーグループ ライフサイエンスプラクティス シニア・マネジャー)は、Google Cloudの上で動く製薬企業向け統合プラットフォーム「INTIENT」(1月発表)を紹介した。創薬を支援する「INTIENT Research」、臨床試験の効率化・最適化の「INTIENT Clinical」、市場に出たあとの副作用や有害事象を集めて管理する「INTIENT PV」、患者のアウトカムの「INTIENT Patient」の4つのコアモジュールが用意されている。

 NRIの竹本具白氏(常務執行役員)は、Google Cloud活用の中からコールセンター分野の取り組みを紹介した。とある顧客において、3密や人手不足対策として、Contact Center AI機能とNRIの日本語認識技術を使って自動応答し、そこから必要に応じて人間につなぐようにした。短期間で実装し、クラウドによる容易な管理や拡張性が得られたという。

 NRIではこうしたことから、Google Cloudに精通した技術者からなるNRIグループ横断組織「NRI Google Cloud Business Unit(NGBU)」を立ち上げた。Google Cloud認定資格取得者が、3年でのべ500名超になる体制を整備する計画だ。

 なお11月25日には、企業のGoogle Cloud導入・活用を支援する「Atlax for Google Cloud」を発表した。DXに関するコンサルティング、およびGoogle Cloud導入の検討支援からシステムの設計・構築・運用まで一括で提供するサービスで、IT基盤やアプリケーションモダナイズ、データ分析・マーケティングソリューション、Google WorkspaceやChromebookによる新しいデジタルワークプレースなどのサービスを提供するという。