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SAPジャパン、カスタマーエクスペリエンスを再定義する顧客データ基盤「SAP Customer Data Platform」

 SAPジャパン株式会社は11日、顧客データプラットフォームとなる「SAP Customer Data Platform」を発表した。

 同社によると、SAP Customer Data Platformはカスタマーエクスペリエンスを再定義するもので、同プラットフォームを活用することで「シームレスでパーソナライズされたカスタマーエクスペリエンスを、いつでもどこでも提供できるようになる」(SAPジャパン バイスプレジデント SAP Customer Experience事業本部長 富田裕史氏)という。

SAPジャパン バイスプレジデント SAP Customer Experience 事業本部長 富田裕史氏
SAP Customer Data Platformにより、「シームレスでパーソナライズされたカスタマーエクスペリエンスを、いつでもどこでも提供できるようになる」

 パーソナライズされたエクスペリエンスは、「データに基づき、最も関連性の高い情報を適切なタイミングで提供することによって実現する」と富田氏。また、シームレスなエクスペリエンスは、マーケティングやセールスなどのフロントオフィスから、生産や配送などのサプライチェーン、人事、会計といったコーポレート業務までを相互連携することで、「企業間の垣根を越え、一貫したジャーニーを提供できる」としている。

 さらに、必要なすべてのタッチポイントにおいて顧客とかかわり、どこでも同じようにパーソナライズした対応をすることで、「オムニチャネルにおける適切なエクスペリエンスが提供可能だ」と富田氏は説明する。

 多くの企業では、複数の部署に顧客データベースが散財し、データがサイロ化されている。データの一貫性も失われ、データ量も管理できないほど膨大だ。こうした課題をSAP Customer Data Platformが解決すると富田氏はいう。

なぜSAP Customer Data Platformが必要なのか

 SAP Customer Data Platformは、組織内のすべてのソースから顧客データを取り込んで結びつける。取り込むデータは、ファーストパーティーのCRMデータだけでなく、セカンドパーティーデータ、サードパーティーデータ、オフラインデータ、イベントやアクティビティストリーム、トランザクションデータ、行動データ、エクスペリエンスデータ、バックオフィスデータなど幅広い。これにより、顧客プロファイルがリアルタイムに更新され、データの鮮度が保てるようになる。

 カスタマーエクスペリエンスにおけるリアルタイム性の重要度について、SAPジャパン SAP Customer Experience事業本部 ソリューションエンジニアリング部長の臼谷悠太氏は、「昔は店舗で購入したものを交換したいという顧客に対応できればそれでよかったが、今ではEコマースサイトで物品を購入した顧客が、1分後に発注を間違えたといって電話してきた際にすぐに対応できなくてはならない。その際に顧客プロファイルがリアルタイムに更新されていなければ、複数のチャネルで同じ対応ができないことになる」と説明する。

SAPジャパン SAP Customer Experience事業本部 ソリューションエンジニアリング部長 臼谷悠太氏

 「顧客はさまざまなチャネルを利用して企業と接するが、購入時の経緯がサポートに伝わっていないなど、チャネル間データがリアルタイムに連携されていないケースは多い。シームレスなエクスペリエンスが分断されるとストレスにつながる」と臼谷氏は述べ、SAP Customer Data Platformを利用することで、「企業は活用可能な顧客プロファイル上で個人情報に配慮して顧客との信頼関係を築くことができ、顧客はストレスのないエクスペリエンスが受けられる」としている。

プロセスの分断でカスタマーエクスペリエンスにストレスが生じる
SAP Customer Data Platformによるメリット

 臼谷氏によると、同プラットフォームは「コンサルタントやIT部門に頼らなくても、業務ユーザーが自らデータ管理できることを目指している」という。データ連携も容易で、専用コネクタやAPI連携、ファイル連携などが可能とのこと。

 SAP Customer Data Platformは、11月中に提供を開始する予定だ。富田氏は、「企業が提供できる価値は何かを考えている人や経営者が中心となって導入を検討してもらいたい」と述べた。

SAP Customer Data Platformの画面イメージ
Q&Aセッションの様子