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住信SBIネット銀行と日立の共同出資会社、トランザクション・レンディング向けにコンソーシアム型AI審査モデルを開発

 住信SBIネット銀行株式会社と株式会社日立製作所(以下、日立)は6日、両社が共同出資するDayta Consulting株式会社が、トランザクション・レンディングを対象としたAI審査サービスの提供に向け、コンソーシアム(集団参加)型AI審査モデルを新たに開発したと発表した。

 トランザクション・レンディングとは、主に財務情報をもとに借入条件(借入可能額および借入利率)を決定する従来の融資形態ではなく、日々の取引データをもとに借入条件を決定する、FinTechを代表する新しい融資形態。

 Dayta Consultingでは、2019年10月に開始した住宅ローン向けAI審査サービスの取り組みを通じて、地域金融機関をはじめとした金融機関におけるトランザクション・レンディングにおいて、AI審査サービスの利用ニーズを確認し、複数行の取引データの活用と審査精度などの検証を推進してきた。

 具体的には、2020年3月から株式会社東邦銀行、株式会社愛媛銀行、住信SBIネット銀行株式会社をはじめ、多数の地方金融機関において、AI審査モデルの開発に向けたPoCを開始し、トランザクション・レンディングにおける複数の銀行データを活用したコンソーシアム型の新たなAI審査モデルの構築に取り組んできた。今後、参加行を拡充しながら、サービスの本格的な提供開始を目指してさらなる検証を進めていくとしている。

 サービス向けに新たに構築したコンソーシアム型AI審査モデルは、複数行のデータを用いることで、豊富かつ多様なデータをAIの学習に反映できるため、債務不履行となるデータの特徴を高精度に捉えて、PD(Probability of Default、債務不履行の確率)の推計が可能。このため、融資に伴うリスクを精緻に把握できるほか、融資判断の迅速化と信用コストのコントロールを可能とし、より多くの融資引き受けに寄与する。

 Dayta Consultingは、地域金融機関をはじめとした金融機関に対し、稀な事象の発生を予測する日立の人工知能「Hitachi AI Technology/Prediction of Rare Case」と、住信SBIネット銀行のデータハンドリング技術・ノウハウを組み合わせ、住宅ローンを対象とした革新的なAI審査サービスを開発・提供してきたと説明。今後、法人向けトランザクション・レンディングに対象範囲を拡大し、地域創生に対する取り組みや業務効率化などをさらに支援していくとしている。

AI審査サービスと従来の与信審査との比較