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NEC、LiDARを用いた異常検知分析エンジンを開発 設備点検業務における業務変革を支援へ

 日本電気株式会社(以下、NEC)は7日、リモートセンシング技術のひとつであるLight Detection And Ranging(LiDAR:ライダー)を用いる異常検知分析エンジンを開発したと発表した。対象物の外観データを可視化して異常を検知できるため、変電設備など、異常値に関するデータ学習が困難な設備での活用が期待されているという。

 LiDARとは、レーザー等の光を対象物に照射し、その反射光をとらえることで、その対象物までの距離や輝度を測定して対象物の形状・輝度を読み取る技術。測定結果は点群データとなり、このデータをもとに対象物を可視化することができる。

 NECは今回、この技術を元に異常検知分析エンジンを開発した。新開発されたエンジンでは、得られたデータに基づき、周辺と異なる輝度、過去データと異なる形状・輝度を分析し、対象物の異常を検知することができる。

 また、異常値に関するデータの学習・蓄積をせずに検知が可能なことから、まれにしか不具合が発生せず、異常値のデータをあらかじめ収集困難な設備において、巡視点検を代替する手段として特に活用が期待されているとした。

 なおNECでは、LiDARの現場業務への活用可能性を検証するため、2019年8月より、福島県南相馬市の東北電力ネットワーク総合研修センターにおいて、研修用変電設備の異常検知に係る技術検証を実施した。

 この検証において、営巣、漏油、がいし破損などの異常を模擬した環境を用意し、検証したところ、LiDARから20m以内に設置した模擬異常のすべて(営巣3カ所、リード線外れ2カ所、がいし破損1カ所、漏油5カ所)を検知できたとのこと。

 NECではさらに、東北電力ネットワークの変電所において、このエンジンを用いた巡視点検システムのフィールド検証を2020年10月から実施する予定で、LiDARを活用した異常検知分析エンジンの改良を進め、2020年度中の製品販売開始を目指すとしている。

フィールド検証イメージ
異常模擬環境セットアップの様子